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金四郎のスマホ世界でのある場所の活動記  作者: pipingjam
■第4編:接触編
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にじゅうご 「未来から届いたコメント」

半次郎は、スマホ画面を見たまま動けなかった。


『やっと気づいたね』


たったそれだけの文章。


短い。


なのに、その一文には妙な重さがあった。


まるで、ずっと待っていた誰かから届いた手紙のようだった。


ただ問題は――。


「……未来の時間って、どういうことだよ」


半次郎は震える指で通知を確認する。


表示された時刻。


それは現在より数時間後。


普通ならありえない。


ランプ内の時計が間違っている可能性もある。


でも、これまでの出来事を思い出すと、単純なバグとは思えなかった。


「半次郎さん……」


料理人フレンドが心配そうに声をかける。


「大丈夫ですか?」


半次郎は苦笑いした。


「いや……大丈夫じゃないかもしれない」


「ですよね」


「でもさ」


半次郎は画面を見る。


「怖いけど……気になるんだよな」


それは本音だった。


普通なら逃げるべきなのかもしれない。


知らないユーザー。


未来の通知。


存在しないログ。


でも、ランプで過ごした時間は、ただのゲームではなくなっていた。


笑ったこと。


失敗したこと。


出会った人たち。


全部が半次郎にとって本物の思い出になっていた。


そこへ、発光体が腕を組んで登場した。


「ふむ」


「何かわかった?」


半次郎が期待する。


発光体は真剣な表情。


「この現象……」


全員が注目する。


「課金では解決できない」


「そこなの!?」


半次郎は思わず叫ぶ。


発光体は珍しく悔しそうだった。


「私の全財産を投入しても……」


「ランプの中で何に課金するつもりなんだよ」


「未来を見るガチャ」


「絶対ないだろ」


半次郎のツッコミが響く。


少しだけ空気が戻る。


しかし、その時。


寝落ち神がぽつりと言った。


「……あるよ」


全員が振り向く。


「何が?」


「未来を見るガチャ」


「え?」


寝落ち神は眠そうな顔で続ける。


「昔……あった」


半次郎の表情が変わる。


「昔?」


「……すぐ消えた」


「なんで?」


寝落ち神は少し黙る。


そして。


「……見ちゃいけないものが出たから」


その言葉に、空気が凍った。


いつもの変な寝落ち神ではない。


今だけは、本当に何かを知っている人の顔だった。


「何が出たの?」


半次郎が聞く。


寝落ち神は答える。


「……未来の利用者一覧」


「利用者一覧?」


「……そこに」


少し間を置いて。


「まだログインしてない人の名前があった」


半次郎は息を止めた。


未来の人間。


まだ存在していないユーザー。


そんなものがランプに表示される。


ありえない。


でも。


今、目の前で起きていることもありえない。


その時、また通知音。


ピコン。


半次郎のスマホに新しいメッセージ。


今度は非公開ユーザーからではなかった。


表示された名前。


『半次郎』


「……え?」


送信者。


自分自身。


半次郎は恐る恐る開く。


そこには一文。


『この先を見るなら、過去の自分を探して』


意味が分からない。


自分はここにいる。


なのに。


その瞬間、ランプの画面が一瞬だけ暗くなった。


そして表示される。


見覚えのない場所。


古いランプのロゴ。


今より昔の画面。


そこに一人のアバターが立っていた。


服装も。


姿も。


名前も。


全部同じ。


半次郎だった。


しかし、そのアバターの横には文字が表示されていた。


『初代ユーザー』


半次郎は画面を見つめる。


自分は初心者のはずだった。


今日までそう思っていた。


でも。


もし。


自分が知らない「前の自分」が、この世界に存在していたなら――。


ランプの秘密は、もっと近くにあるのかもしれなかった。

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