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金四郎のスマホ世界でのある場所の活動記  作者: pipingjam
■第4編:接触編
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にじゅうさん 「見ている誰か」

イベントサーバー崩壊の騒ぎから数日。


半次郎は、いつものように「ランプ」を開いていた。


あれだけ大きな騒動があったのに、ランプの街並みは何事もなかったように戻っている。


カラフルな建物。

歩き回るアバターたち。

流れる日記投稿。

新しいイベントのお知らせ。


画面の中は、相変わらず楽しそうな世界だった。


しかし、半次郎の中には小さな引っかかりが残っていた。


「……本当に、ただのバグだったのか?」


半次郎は自分の部屋の椅子に座りながら、前に起きた出来事を思い出していた。


存在するはずのないログ。

誰も知らないはずの日記内容。

そして、突然届いた謎の通知。


『あなたの記録を確認しました』


あの文章を見た瞬間、半次郎は背中が少し冷たくなった。


だが、怖がってばかりもいられない。


なぜなら……。


「ランプ、普通に楽しいんだよなぁ」


そう。


変なことは起きる。


でも、料理人フレンドと話したり、変なアバターに出会ったり、くだらないことで笑ったりする時間も確かに楽しかった。


その時だった。


通知音が鳴る。


ピコン。


「またか……?」


半次郎は恐る恐る画面を見る。


そこには、見覚えのないユーザーからのメッセージが表示されていた。


ユーザー名。


『非公開ユーザー』


「……いや、名前それでいいのかよ」


思わずツッコミが出る。


怪しい。


ものすごく怪しい。


普通ならもっと名前を隠すために、適当な名前をつけるものではないのか。


「非公開ユーザーって……隠す気ある?」


半次郎が画面を見ながら悩んでいると、後ろから声がした。


「半次郎さん、それ絶対押しちゃダメなやつじゃないですか?」


振り向くと、料理人フレンドが立っていた。


いつもの優しい雰囲気。


そして手には料理。


「いや、なんで今料理持ってるの?」


「緊張するとお腹空くかなと思って」


「俺がホラー映画見てる時の友達みたいな扱いされてる!」


半次郎が叫ぶと、料理人フレンドは笑った。


その空気で少しだけ緊張がほぐれる。


そこへ、突然まぶしい光が現れた。


「フハハハ!事件の匂いがするぞ!」


発光体だった。


相変わらず全身が光っている。


「いや、毎回登場が派手すぎるんだけど」


「重要人物は光るものだ」


「そんなルール初めて聞いた」


発光体は半次郎の画面を見ると、急に真剣な顔になった。


「……これは」


「知ってるのか?」


「知らん!」


「知らないんかい!」


半次郎のツッコミが響く。


すると、発光体は胸を張った。


「だが安心しろ!調査には課金が必要だ!」


「何でも課金に結びつけるな!」


いつもの騒がしい空気。


しかし、その瞬間。


画面の通知がもう一度鳴った。


ピコン。


今度は全員が静かになる。


新しいメッセージ。


『あなたたちは、まだランプを知らない』


半次郎は息を止めた。


冗談ではない。


誰かが、本当に見ている。


その時、さらに下に小さな文字が表示された。


『次は、あなたの部屋を見に行きます』


半次郎の部屋。


それは、現実の部屋ではない。


ランプ内に作った、自分だけの空間。


なのに。


なぜか、その言葉は現実まで見られているような感覚を与えた。


そして半次郎は気づく。


メッセージの送信時間。


それは――


半次郎がランプを開く前の時間だった。


「……俺がログインする前から、待ってたってことか?」


誰も答えられない。


発光体も、料理人フレンドも黙って画面を見る。


その時、遠くから眠そうな声が聞こえた。


「……それ……たぶん……前からいる……」


全員が振り向く。


そこには、いつの間にか寝転がっているアバターがいた。


「誰?」


半次郎が聞く。


すると、そのアバターは目を閉じたまま答えた。


「……寝落ち神……」


そして次の瞬間。


「……この人、ずっと見てる……」


その言葉だけ残して、寝落ち神はまた眠り始めた。


半次郎は思った。


この世界には、自分が知らない何かがある。


そして、その何かは。


少しずつ、自分の近くまで来ている――。

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