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じゅうろく 日常のふり
不気味な出来事のあとでも、ランプの世界はいつも通り動いていた。
イベントは再開され、ランキングもリセット。
「結局また地獄やるのかよ…」
半次郎はため息をつきながら、日課のログインボーナスを受け取る。
料理人からメッセージ。
『今日も少しやる?』
「この人マジで癒し」
共闘を始めると、昨日のことが嘘みたいに普通に進む。
ポイントもそこそこ稼げて、会話も弾む。
『昨日のバグ、笑ったよね』
「笑えねぇよ!」
だが楽しい。
「まぁ、こういうのでいいんだよな」
そう思った矢先、また通知。
非公開ユーザー。
「来たよ…」
内容は一言。
『それ、楽しい?』
半次郎の指が止まる。
さっきまでの軽い空気が、一瞬で冷えた。
「……なんなんだよ、ほんとに」
日常の中に、確実に“異物”が混じり始めていた。




