デッド復活
ネオデッド・外宇宙同盟軍は、銀河連合軍との決戦に備え、三十倍もある戦力の差を埋めようと、小宇宙・ユニバースの攻略を企てる。
戦争遂行には膨大な物資の輸入が不可欠で、無尽蔵の資源を確保するために小宇宙に触手を伸ばした。
二つの世界を繋げることで、小宇宙の膨大なエネルギーを得る。同盟軍は天の川銀河攻略のための、艦隊を送り込む多連ワームホールを密かに建設していた。
小宇宙の進出を目論む同盟軍の、この情報をいち早く知った連合軍は先手を打った……。
ハワイの天文台すばる望遠鏡が、宇宙の彼方で、光速を超えるスピードで動く物体を捉えた。時を同じくして、海岸に奇妙な物体が打ち上げられた。それは地球外の物質で出来たオーパーツ。以前、ケンジが大気圏で撃墜したアームキャリーの一体だった。
科学者達は光速を超えるタキオン粒子の存在を認め、この世には存在しないと思われていた物質が明らかになった。更に、南米・チリにあるアルマ電波望遠鏡の、六十六個のパラボラアンテナが謎の電波を傍受する。その電波は異星人の発した声だった。
『我々は貴方方の見方である。今、地球が、いや、この宇宙に危機が迫っている。是非とも貴方方の代表と会談したい』
多言語放送で地球人に呼び掛けた。
地球外生命体である異星人の存在を認なかった各国首脳も、その存在を認めざるを得なくなり、異星人の実在を公式に発表した。長年、その存在の論争が絶えなかった異星人の問題に終止符が打たれたのである。
常識を覆す事件が次々と起こり人々は混乱した。そして、異星人の襲来を恐れてパニックに陥り、大都市から安全な場所に避難する者が続出した。
車が路上を埋め尽くし、あても無いのに、とにかく遠くへ逃げたいと慌てふためく人々でごった返した。だが、地球内に安全な場所などどこにも無い。人々は核戦争に匹敵する、この世の終わりのように恐怖した。
一方で、人々が教会に集まり神に祈りを捧げた。彼らが頼りにするものは政府でもなく国でもない。ひたすら神に救いを求めたのだった。
やがて、地球の命運を左右する会談の日がやってきた。
地球に接近した小惑星が四つに分離し、人工衛星の軌道と同じ位置で静止した。
謎の物体は、世界宗教を象徴するシンボルが輝いていた。一つはキリスト教を象徴する十字架、もう一つはイスラム教の三日月、ヒンズー教の卍、ユダヤ教の六ボウ星をかたどったシンボルがそれぞれ輝いていた。
途方に暮れる人々は空を見上げ、光り輝く物体に祈りを捧げた。
熱狂的な信者が多くいる地球。来星にあたって、地球人に混乱を与えないよう計画されたもので、四つの謎の物体は最新鋭の防御システム(シールド)に加え、迎撃システムを兼ね備えた、地球を守るための鉄壁のバリアだった。
次いで、巨大な艦船が、アメリカ合衆国のニューヨーク市を流れる海峡、イースト川上空で停止した。
その艦船はまるで飛行船のように浮遊している。そして、自然の法則に逆らってフワフワ浮いた巨大な船体は、波一つ立てることなく着水した。
異星人の襲来に怯え見物客はいない。ただ、歴史的瞬間を映そうとテレビカメラが並んでいて、映像は全世界に向けて放送された。
やがて、艦船の中から銀髪の異星人が姿を表し、各国の首脳と会談するために国際連合本部ビルに入った。
異星人は侵略者ではなく友好的だった。人々は安心し、歴史的な異星人とのコンタクトは騒動も無く静かに行われた。
首脳会談に応じ、遣って来た地球の代表者は数人にも及んだ。
地球の代表者、つまり国際連合のトップである事務総長との会見を望んでいたが、何人もあらわれたため、当然会談はまとまらず無駄に時間だけが過ぎていく。
「ワシが代表だ」「いや自分だ」「いいや、代表は私だ」「我が国だけに、その優れた技術を提供してくれ。金はいくらでも払う」
大宇宙のテクノロジーを独占しようと、地球の危機にも目もくれず、目先の利益に群がった。
銀河連合の軍参謀は呆れ果て困惑した。地球の代表者の行為は野蛮に見え、せっかく築き上げた信頼を失う。
だが、大宇宙の危機を救ってくれた恩人をないがしろには出来ない。
会談の重要な目的の一つである安全保障を、対等な関係で結ぶと、大宇宙へと帰って行った。
アメリカ合衆国カリフォルニア州・サンディエゴ。ハンティントンビーチはサーフィンのメッカとして知られている。
そんなのどかな町に、一人の青年がトボトボと歩いていた。無造作な癖のある金髪の髪型、見るからに冴えない風貌。
彼の名はマイク・ライアン、一九歳。マイクは、毎年ラスベガスで開催される世界最大級の格闘ゲーム大会・Evolution(EVO)の前優勝者で、ゲーマーとしてその強さが世界的に知られている。
そんな彼は人生に嫌気が差していた。
空き地に、無造作に放置されている車があった。真っ赤なシボレー・コルベットコンバーチブル、電動開閉式のソフトトップだった。
イカした車だな。でも赤色、俺は派手な色は嫌いで、昔っから不幸を招くんだ……。マジ? ドアが開いたぞ……。誰もいないし、座るぐらいなら、なんの問題も無いだろう。と、自分勝手な考えで車に乗り込んだマイク。
試しにプッシュスタートボタンを押し込むと、エンジンが掛かった。
ラッキー! でも、盗難防止のため、こういうのって電子キーが無けりゃ掛らない筈なんだが……。マイクは不思議に思うも、車道を実際に駆け抜けてみたいという強い衝動に掻き立てられ抑えることが出来ない。 バーチャルな世界ではなく、実際に自分で走る体感を味わいたかった。
高排気量6.2リッターの7速マニュアル車、ローギアの一速に入れ、軽くアクセルを踏んだだけで650馬力のパワーが伝わり、体がシートに沈み込んだ。
車道を疾走すると、沿道の建物も人も瞬時に飛んで行く。
響き渡る轟音とハンドルに伝わる振動、二次元のゲームでは味わえない感覚がたまらない。
ドライブの余韻に浸って間もなく、パトカーのサイレンが鳴った。
「なんで分かったんだ? まさかこの車、盗難車――だから、エンジンが掛ったのか……。こんな所で捕まってたまるかぁ!」
金無しのマイクは、もちろん車無し。ペーパードライバーのマイクだったが、ドライビングゲームも得意で、パトカーを振り切る自信はあった。
マイクが思いっ切りサイドブレーキを引き、リアタイヤをロックさせると車は急旋回。
対向車をかわし逃げ切れると思った瞬間、車が動かなくなった。
――なんだ、どうしたんだ?
こんな時にガス欠かよ。全く、ツイてない……。やっぱり、派手な色は不幸を招くんだ。これで俺の人生、終わったな……。
パトカーから警察官二人組が降りて来て、「手を上げて足を広げろ!」と叫んだ。
こわもて警官に睨まれ、さすがのマイクも抵抗することなく観念した。そして、後ろに廻された手に錠を掛けられたマイクはパトカーの後部座席に乗せられ、そのまま拘置所へ連行された。
拘置所の独居房に入れられたマイクは、自分の惨めな運命を恨んだ。
「こうなったのも、全部、クソ親父のせいだ!」
やけになったマイクが声を荒げ、頭を押さえてうなだれた。
「君に会いたかったよ」
との声に、マイクが振り向くと、銀髪の見知らぬ男が立っていた。
「あんた、誰だよ? 何故ここにいる。確か俺一人だった筈だが……」
「名前はマイク、君をスカウトしに来たんだ。見た目は冴えないが、ゲームが得意なんだろう。何せ前回優勝者だからね。ゲームの腕は、向こうの世界では戦闘力に直結するんだよ」
「俺をスカウト? じゃあんた、ゲーム関係者なんだ。でも俺は犯罪者、何故もっと早く誘ってくれなかったんだよ」
「フッ、君が犯罪者? 私がこの星の王にしてやろう」
「ハハッ、あんた、頭がおかしいんじゃないのか。こんな独房にいたんじゃ、王になんてなれやしない。もう、俺の人生は終わったんだよ」
「あの丸い陰の中に入れば、ここから抜け出し自由になれる。あれはワームホールと言って、別の世界に行けるんだよ」
彼の指差す方を見ると、人、一人が通れる大きさの真っ暗な影が、ゆらゆらと浮かんでいるように見えた。
二人はトンネルのような秘密の通路を通って外の世界に出た。
マイクの目の前には、見たことの無い別世界が広がっていた。
彼の見たものは、同盟軍の前線基地である移動要塞。その格納庫らしい施設の中に、一体の巨大なロボットが立っていた。
「あれはアームキャリーと言って、この世界には欠かすことの出来ない万能兵器。名は『カオス』と言う」
「知ってるぞ、ニュースで見た。海岸に打ち上げられた、フジツボのくっ付いた頭の無いロボットだろ。あれとは、全然、似てないけどな」
マイクにとって、実物のアームキャリーを見るのは初めて。
連合軍の曲線的な構造の機体と違って、同盟軍は直線的なスタイル。真っ黒に塗装されたカオスは不気味さを増していた。
でもマイクは気に入った。ゲームで使用するキャラクターは、いつも黒系、派手な色は好まない。理由は簡単、ただ強そうだから。
「アームキャリーって呼ぶのか、イカしたマシーンだ。あれ、自由に操縦しても構わないんだよな」
「カオスは操縦士を選ぶ前期型エボリューション。だが、君なら拒まれることなく乗りこなせるだろう。君は初心者だが、伝説の青い雷撃に対抗する、唯一の人間だと私は読んでいるのだが」
カオスの目が光り、その輝きにマイクは包まれた。
マイクの癖、特徴を吸収したカオスは格段に強くなる。
カオスに乗って、マイクは宇宙空間へと飛び出した。
「あのコルベットと同じだな。なんて操縦し易いんだ」
背中に翼が生え、身体能力が拡張したようにマシーンと一体になる感覚。マイクは驚異的な速さでカオスを支配した。
戦闘機に変形したカオスのコックピットから、新たな視界が鮮明に映る。
超光速で疾走すると、それまで止まって見えた星々が動き出す。カオスは光の速度を超え、更にスピードを増した。
初めて経験する加速力、でも、不思議と体への負担は感じられない。
今までに味わったことの無い爽快感、マイクはその余韻に浸っていた。
試運転から戻ったマイクを迎え入れた部屋には、思わぬ人物が待ち構えていた。
「よお、前回優勝者」
見知らぬ男が声を掛けてきた。
「あんた、誰?」
マイクにはその人物が誰だか分らない。
「全く、いつも勘に障る奴だ。スカウトされたのはお前だけだと思ったか。会いたかったぞ、前回チャンピョン」
謎の人物は、マイクの他に、今年のエボの優勝者であるジョンに、準優勝者・ルーク、第三位・ホセの全米選抜選手三人もスカウトしていた。
「俺は裕福な育ちだが、二次元の物足りないゲームに飽き、刺激を求めて、この世界に来たんだ。ここでは力が全て、自分の力を試せる絶好の場所だ。お前、俺達に負けるのが怖くて、エボの大会から逃げたんだろう」
ジョンが挑発的に言うと、
「負ける、逃げる? 冗談じゃない。つまんねぇ家の都合で出られなかっただけだ。ゲームなんかしてられるかよ」
とマイクが答えた。
「俺達、この世界じゃあ、戦闘能力がズバ抜けて高いらしい。だから、ビップ待遇なんだ」
ホセが自慢げに言った。
「どうやら、戦争が始まるらしい。真っ先に、地球を攻撃するって噂だぞ。ビビッたか。こっちに来て俺達、頭が麻痺したのか、家族のことなんてなんとも思わなくなった。ちっぽけな地球のことなんて、もうどうでもいいとな」
ルークが言うと、
「こっちの暮らしに慣れると、地球での原始生活なんかに戻りたくないよなぁ」
ホセもつられて言った。
「今、この異世界と俺達のいた宇宙との間に、大きな穴を開けているんだ。大軍を送り込むための、巨大な穴をな。そうなると地球も一巻の終わりだ」
ジョンが言った。
「拘置所を抜け出した穴の、巨大版だな……」
マイクが呟く。
ますますゲームの世界の物語に近付き、背筋がゾッとした。
ジョン達の乗るアームキャリーは、『カリス型』と呼ばれる後方支援用の量産型で、ド派手なオレンジ色。その名は、アグライアー、エウプロシュネー、ダレイアとそれぞれ呼んだ。
第三世代の後機型エボリューションで、マイクのカオスより性能は優れているが、女性専用機。さすがにマイクには言えなかった。
銀河連合軍は、ワームホールを束ねた多連ワームホールを破壊するために精鋭を差し向けた。
迎え撃つネオデット・外宇宙同盟軍の先鋒の中には、マイクのほか、全米選抜のジョン、ルーク、ホセの三人の姿もある。
初めての戦闘に、夢中で操縦桿を握っているマイクは、そのうち気分が高揚してきた。
操縦桿を強く握り締める手の感覚や痛みも麻痺し、何より戦闘への罪悪感が無い。一種のトランス状態、まるでゲームをやっている感覚とシンクロした。
神経が研ぎ澄まされ雑念が消えた。ゲーム中の無敵の彼だった。
疾走するマイクの前に、一八歳に成長した加藤ヒロトの白いマルスが立ちはだかった。
白のマルスと黒のカオスが初めて遭遇、刃を交わした。
強い――地球人か? この強さはアームキャリーの性能じゃない。操縦する人間のテクニックだ。見極めが凄いから動きに無駄が無い。この凄さ、まるでケンジ叔父さんと同じ。宇宙には、まだこんな凄い人がいたんだな……果たして、勝てるのか? ヒロトが敵の強さに驚く。
対するマイクも思った。敵にも強い奴がいるんだな。だが、勝てない相手じゃない。
思わぬ強敵に防戦一方のヒロト。矢継ぎ早に繰り出されるビームサーベルによる猛攻。
防戦一方のヒロトが攻めあぐねる。
勝てない、このままでは勝てない……敵の動きを、先を読むんだ! 気を集中したヒロト。
僅かに、マイクの先の動きが見えた。
「――ここだ!」
予期せぬ一撃にマイクの動きが止まる。
なんだ! 今の? まさかマグレじゃないよな。ヤケクソで放った一撃じゃない。あれは狙って突いた一撃だった。なら、奴は未来が読めるのか? そんな馬鹿な……。
攻撃をやめたマイクが、その意思を示すためにビームサーベルを縮め、マイクに近付いた。
「よお、お前、凄いな。俺はマイク、お前の名は?」
「俺はヒロト。あんたこそ凄いよ。なあ、あんた、地球人だろう。なら、一緒に戦わないか。何故か兄弟のようで、どうしても敵とは思えないんだよ」
初めて対戦したマイクとヒロトは、お互いの才能を認め合う。
「……それは出来ない。奴らには恩があるからな。何より地球に愛着が無い。もう、どうなってもいいんだよ。じゅあな、兄弟、先を急ぐんだ。一番乗りの手柄を取られたくないからな」
連合軍の守備する陣形を突破したマイクが、ワームホールを通って小宇宙に躍り出た。
小宇宙に入った途端、パワーダウン。ダークエネルギーが無くなり、本来の力に戻った。
そんなマイクの前に、一七歳となり一人前のパイロットに成長した北山ユウマが待ち構えていた。
極度の緊張状態の中、攻撃をかわすのに精一杯のユウマ。その行動が見透かされた。
「――こいつが噂の青い雷撃・アレス? ぜんぜん、たいしたことない。白いのがよっぽどマシだ」
追い着いたヒロトがマイクを制止する。
だが、心眼が使えないヒロトに、
「勝負は後だ、先を急ぐんでな」
と言って二人に目もくれず先を急いだ。
選抜三人組みに先を越されないために急ぐマイク、勢いに乗ったマイクをヒロトもユウマも止めることが出来ない。
マイクの乗るカオスが二人を振り切って太陽系を疾走する。
やがてマイクの目の前に青く輝く地球が見えた。
「四つのシールド発生機を破壊すれば、地球は堕ちるんだよな……」
どうでもいいと思っていたマイクだったが、目の前に見える、青く輝く地球を見て気持ちが揺らいだ。
懐かしい記憶、小さい頃の思い出が脳裏に浮んだ。
優しく包み込むような地球を肌に感じたマイクの動きが止まった。
「……やぁーめた。やっぱり、俺は地球人なんだなぁー」
気の抜けたような声でマイクが呟く。
「我らを裏切るのか?」
追従する同盟軍パイロットが聞くと、
「悪いと思うから、お前達を見逃してやるよ。命が欲しいんなら、逃げるんだな」
そうマイクが忠告し、振り返ったカオスがビームサーベルを構えた。
「クッ、目に掛けてやった恩を忘れ、よくも……」
青い雷撃をも一蹴したマイクの実力を恐れ、忠告通り、攻撃部隊はバラバラになって逃げ出した。
寝返ったマイクを、追い着いたトリブルカリスの三人衆が闘いを挑む。
「一人で勝てるのか? この場で、どっちが強いかハッキリさせようぜ!」
ジョンが勝負を挑んだ。その時――。
「マイクさぁーーん!」
ヒロトとユウマが加勢する。
「チッ、青い雷撃に加え、白色のアームキャリーか。要注意人物の一人だ」
ルークが言うと、
「この借りは、きっと返してやるからな!」
ジョンも吐き捨てるように言った。
三人衆は対戦を諦め、移動要塞へと引き返した。
マイクの寝返りと、ヒロト、ユウマの活躍もあって、連合軍は多連ワームホールの攻略に成功、その全てを破壊し地球の危機は去ったのである。
小宇宙の攻略に失敗し面目を失った外宇宙銀河同盟は、軍部が暴走、独立を宣言して銀河連合を挑発した。
同盟軍の度重なる挑発に業を煮やした銀河連合は、外宇宙銀河同盟に対して、ついに宣戦布告、大宇宙は戦争状態に入った。
連合軍は同盟軍の重要拠点である前線基地の壊滅を計画し、第一陣として、最大規模の大艦隊を編成する。
三十倍の戦力を誇る連合軍は、同盟軍に脅しを掛ければ、戦わずして降伏するだろうと楽観視していた。
誰もが勝利を確信し、疑う者など誰一人としていなかった。
反攻に転じた連合軍に怯え恐怖する外宇宙銀河同盟。その同盟の一翼を担うネオデッドの本拠地、ボーグ環状銀河で異変が起きた。
ネオデッドの指導者・リンが、突然倒れた。
側近が慌てて起こそうとすると、リンが何かに取り憑かれたように白目を剥いたまま立ち上がり、
『私の名はレボス。人類を導く神である』
と言って、幹部達を見た。
「……我らの神が、お目覚めになられたぞ」
側近の一人が言うと、一同は慌ててひざまずいた。
重苦しい空気が一帯に漂う。
「積年の恨みを晴らす時が来た!」「ネオデッドが、銀河連合を倒す!」
将校の歓声が上がった。
その勢いは外宇宙全体に伝わっていく。
楽勝ムードの連合軍とは反対に、追い詰められていた同盟軍の士気は否応なく上がった。
ネオデッドの偵察部隊が危険を犯してサルガス星で採取したのはハデスだけではない。彼らが神と仰ぐデッドの中枢部こそ、最も必要としていたものだった。
デッドの起動装置を回収し復元に成功したネオデッドは、眠っていたデッドを目覚めさせた。
デッドが指導者・リンに取り憑き、人間の形として復活した。
かつてのデッドは、太古兵器の自動操縦システムに侵入して、戦闘艦を自在に操っていたが、今度は有力者に取り憑き、生身の人間を洗脳という手段で支配する術を身に付けた。
デッドは、外宇宙に侵攻して来た連合軍兵士の心の隙間に入り込み、次々と洗脳し同盟軍の戦闘員として自在に操る。
正気を失った兵士達は、それまで見方であった連合軍に襲い掛ったのである。




