平行線が交わる時
いつの間にかラストです(*^^*)
「家族みたいに好きなんだと思ってたわ」
ふふ、と、顔を伏せたままのルビーの口元に笑みが浮かぶ。
「は?」
「そうね、弟みたいに? かな?」
ゆっくりと顔を上げたルビーは、いつの間にか微笑んでいた。
それを見て安心したのか、ジェダイトも表情を緩め、
「そっか。オレも最初は妹みたいに思ってたけど?」
ニヤリと笑う。
「……お互い様ってところね」
そう言って、二人同時に吹きだす。
「で。ルビーはオレのことどうなんだよ?」
笑い収めてから、優しい顔でジェダイトが聞いてくる。
他の女の子には見せない、柔らかな笑顔。
「うん。好きみたいだよ」
ルビーも、自然と優しく微笑み返す。
「みたいってなんだよ」
はあ? なんだそれ? と、ジェダイトが呆れた声を上げる。
「だって、さっき気が付いたんだもん」
それでも悪びれることなくニッコリと答えるルビー。
「……ま、いっか」
ルビーの笑顔に毒気を抜かれたジェダイト。ふーっと長く息を吐き出した。
「じゃ、これ」
そう言って、握っていたルビーの手を解き、何やらカバンをごそごそとしたと思ったら、おもむろに細長い箱を取り出したジェダイト。
綺麗な白い包装紙と、かわいらしい赤いリボンでラッピングされている。
「これ、何? 誰に渡せばいいの?」
とぼけたことを質問するルビーに、ガクッとなりながらも、
「ルビーに決まってんだろが。ほら、開けてみ?」
苦笑いになりながらも開封を勧める。
「う、うん」
綺麗なラッピングを解くのがもったいないなぁ、と思いつつも、中身を想像してわくわくする。
丁寧に、破らないよう気を付けて包装紙を開き、中の箱を取り出す。
出てきた箱も、綺麗な白。
ドキドキしながら箱を開けると、小粒のルビーをハート形にカットしたものがトップに輝く、かわいらしいペンダントが入っていた。
「わあ!! かわいい!!」
その素敵さに、満面の笑みが花開く。
「だろ? これなら毎日つけていられるからな」
ルビーの反応に満足げなジェダイト。目を細めてルビーを見つめている。
「毎日?」
「そ、毎日。指輪は菓子を作るのに邪魔になるかなって思ったから、ペンダントにした。オレの代わりに毎日ルビーを守ってくれるように」
「そっかぁ、ふふふ。うれしい。ありがとう」
「喜んでもらえてよかった」
見つめ合って笑いあう二人。周りの空気も甘くなる。
「……でも」
先程までの笑みを引っ込め、一転、憂い顔になるルビー。
「でも、どうした?」
「やっぱり毎日ジェダに会えないのは、寂しいよ……。どれくらい会えないんだろう。ジル兄ちゃんなんて、夏休み、冬休みくらいしか帰ってこなかったじゃない」
目を落としたままため息をつくルビー。
「ああ、そのことだけど。オレさ、特待生で入学するんだ」
何でもない事のように、さらりと言ってのけるジェダイトだが、
「特待生? それって、ジル兄ちゃんのコネ? それともオニキス爺ちゃんのコネ?」
真顔でコネクションばかり言い募るルビー。
「コネじゃねえ!! 実力だ! 失礼な。受験の時だって偽名で受けたんだからな」
ジルコニスやオニキス爺の親族と判ると、コネと思われるのが嫌だったからだ。
「ごめんごめん。で、特待生がどうしたの?」
「特待生だと、休みが週に1日もらえるんだ。だから毎週会えるんだ」
「え? 本当? じゃあなんでジル兄ちゃんは滅多に帰ってこなかったの? きっとジル兄ちゃんも特待生だったんでしょ?」
「ああ、ジル兄は帰るのがめんどくさかったらしいよ。他にも理由があるみたいだけど」
「理由? うーん、それってアメシスさんかなぁ?」
「なあ、前にも言ってたよなぁ? そのアメシスって誰?」
「ほんとに知らないの? ジル兄ちゃんの彼女だよ。王妃様の侍女様をされてるのよ」
「知らなかった。そっか、彼女とデートするのに休みを費やしてたんだな、ジル兄」
「そうなんだ……」
「まあ、ジル兄のことは置いといて、そういうことだから心配しなくていい。毎週帰ってくるから、待ってろ。泣くのもそれまで我慢しておくこと」
「うん、わかった!」
ぱああ、とルビーの顔に晴れやかさが戻ってきた。
「2年経ったら迎えに来るから、それまでいろいろ修行してろ」
ニヤリとしながら言うジェダイト。
「は?」
「騎士になったら、独身者は独身宿舎があるけど、妻帯者にも家族宿舎があるからな。まあ、宿舎が嫌なら違うとこ借りてもいいし」
「って、え? え?」
話の展開についていけていないルビー。目を白黒させている。
「騎士学校を卒業したら、結婚しよう。だからそれまで待ってて」
ニヤリとした笑みを引っ込めて、優しい笑顔に変え、それは突然ルビーに告げられたのだった。
そろそろ雪解けも始まった3月末。
教養学校も卒業式を終え、最高学年の生徒たちは各々選んだ進路へと進んでいくことになる。
修了証書を手にしながら、学校から家までの道を歩く。
これが最後の下校。
隣には、あのプロポーズの日からずっと、ジェダイトがいる。張り付いているといっても過言ではない。片時も離れようとしないのだから。
交わることなどない平行線だと思っていた、私の道と彼の道。
知らない間に引き寄せあって、いつの間にか交わることになっていた。
これは偶然? 必然?
今はまだ、悩んで考えて選んだ自分の道をまっすぐ行けばいい。
その先には、二本の道が交わった、大きな道に繋がっているのだから。
手をつなぎ、ゆっくりと最後の下校を惜しむ二人の横を、雪解けを促す柔らかい風が吹き抜けて行った。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
またどこかで出没すると思います(笑)←すでに出没済みですが(^^)v
そのときは、「あ、やつらだ!」とニヤリとしてください☆




