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n番煎じの脇役令嬢になった件について  作者: 此花サギリ


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第63話 北方都市の拡張

 北方の空は高く、澄み渡っていた。


 三年前、ただの荒野だったこの地には、今や巨大な町が広がっている。


 石畳の大通り。

 整備された水路。

 倉庫街。

 市場通り。


 そして遠くまで続く農地。


 町の中央には大きな広場があり、その周囲には商店や食堂が並んでいた。


 旅人、商人、職人、農民。


 人の往来は絶えない。


 人口はすでに二千五百人を越えている。


 北方では異例の規模だ。


 開拓開始から三年。


 レスティーナ・フォン・グランテが王命で統治するこの土地は、ついに北方最大級の都市へと成長していた。


 その町を見下ろす領主館の執務室。


 レスティーナは窓際に立っていた。


 窓から見えるのは石畳の大通り。


 荷車が行き交い、商人が呼び込みをし、子供たちが走り回っている。


「……本当に大きくなったわね」


 レスティーナは小さく呟いた。


 三年前。


 ここには何もなかった。


 木も少なく、道もなく、人もほとんどいなかった。


 だが今は違う。


 町が生きている。


(ググル先生)


『はい』


(都市としてどれくらいの規模?)


『中規模都市の入口です』


「入口かぁ」


 レスティーナは苦笑した。


「まだまだね」


 都市は完成するものではない。


 成長するものだ。


 レスティーナは机の地図を広げた。


 現在の都市区画。


 中心に広場。


 周囲に市場。


 その外側に住宅街。


 さらに外に農地。


 そして北側には倉庫街。


 しかしまだ空いている土地が多い。


「ここ」


 レスティーナは地図の一角を指差した。


 そこは町の西側。


 まだ建物が少ない区域だった。


「ここを次に開発する」


 その時、扉がノックされた。


「領主様」


 エルガルトだった。


「どうぞ」


 彼は部屋に入り、軽く礼をした。


「商会メモワールから報告です」


「何?」


「帝都から新しい商人団が来ています」


「何人?」


「三十人ほどです」


 レスティーナは目を細めた。


「多いわね」


「北方交易を本格化させたいそうです」


「なるほど」


 それはつまり――


 この都市が交易拠点として認められ始めたということだ。


 レスティーナは窓の外を見る。


 三年前の荒野。


 今の都市。


 その変化を思うと、不思議な気持ちになった。


(ググル先生)


『はい』


(北方交易ってどれくらい重要?)


『今後さらに拡大する可能性があります』


「だよね」


 レスティーナは頷いた。


 北方には資源が多い。


 木材。


 毛皮。


 鉱石。


 そして広大な土地。


 交易が増えれば都市も成長する。


 そこへもう一人入ってきた。


「呼びましたか」


 ジェイだった。


 十五歳だった少年は、今では十八歳。


 領主館の仕事を支える重要な存在になっている。


「ちょうどいい」


 レスティーナは言った。


「新しい商人団が来てるって」


「聞きました」


 ジェイは頷いた。


「宿も足りません」


「でしょうね」


 レスティーナは笑った。


「だから次の開発区画よ」


 地図を指差す。


「西区」


 ジェイは地図を見て言った。


「宿屋街ですね」


「正解」


 レスティーナは頷いた。


「宿屋」


「食堂」


「馬車宿」


「それと工房」


 エルガルトが腕を組む。


「一気に広げますね」


「都市は勢いが大事だから」


 レスティーナは笑った。


 もちろん、ただの思いつきではない。


(ググル先生)


『はい』


(宿屋街って都市発展に重要?)


『非常に重要です。交易都市では宿泊施設が経済を支えます』


「ほらね」


 レスティーナは言った。


「宿屋を増やす」


「商人が泊まる」


「商売が増える」


「税収が増える」


 ジェイが小さく笑った。


「いつもの流れですね」


「そう」


 レスティーナは窓の外を見た。


 石畳の町。


 人々の活気。


 三年前には想像もできなかった光景。


 だが――


 まだ終わりではない。


 レスティーナの都市は、まだ成長途中なのだ。


「よし」


 レスティーナは机の書類を手に取った。


「西区開発開始」


 ジェイとエルガルトが頷く。


 こうして――


 三年で生まれた北方都市は、さらに拡張を始めることになった。


 荒野から生まれた町。


 ググル先生とネットショップの知識を使い、作り上げた都市。


 そしてその都市は今、北方の未来を変える存在になろうとしていた。


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