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清楚系ヤンデレと天使な小悪魔と  作者: みゃゆ
一年 二学期 前半
54/87

第五十四話 教育実習

しばらく二人のヒロイン達とのイチャラブはありませんがその代わりに…………

 今日から二学期が始まる。外は晴天、清々しい朝である。それに反して俺の心は真っ暗、いや言いすぎだ、曇りぐらいか。光が差し込む隙間がないほどだ。


 準備しリビングに行くと珍しく母さんが朝食を準備していた。姉さんと藍はいない。まだ寝ているのだろう。


「母さんおはよう」


「あら、体調はもういいの?」


 体調が悪いなんてことはない。心はともかく体は元気だ。昨日夕飯を食べに行かなかったから藍がそういうことにしておいたのだろう。母さんが作った朝食をいただき準備して急いで学校へ向かおう。藍と顔を合わせるのが少し怖い。


「初と藍ならもう出て行ったわよ」


「え?」


「違ったからしら? 二人を起こしに行くのかと思ったわ」


 藍が俺より早く起きるなんて珍しいな。それならまだ時間もあるしゆっくりしていこう。行きたくない気持ちはまだあるが、学生の本分は勉強だ。休むわけには行かない。


 母さんが作ってくれた朝食をいただきながらニュースを見る。最近は海外の国が騒がしいようだ。そしてテレビではニュース特有の占いが始まった。


『週末占い三位はかに座の方です! 何事もうまくいきますが恋愛にすこし波乱があるかも!? 乗り切ればきっとハッピーに!』


 もう波乱の真っ只中ですよ。それに乗り切れる気がしないからハッピーにはなれないですね。


 そう思いながら食後のコーヒーをいただく。ちなみに俺はブラック無糖が好きだ。ただ猫舌なのでアイスコーヒーじゃないと飲めない。


「そういえばあんた、あさってから大会だって?」


 誰から聞いたのか知らないがその通りである。あさっては大会、ダンス部に入って初めての大会なのだ。練習も頑張ってきたし学園の討論会の時の様にうまく踊れるはずだ。


「応援行こうかしら」


「やめといたほうがいいぞ。若い子の熱気はおばさんには耐えられないだろ」


「それもそうね。それはそうとあんた、藍とキスしたんだって?」


 俺は盛大にコーヒーを噴出した。むせてせきが止まらない。幸いにも制服にコーヒーはかかっていないので着替え直す必要はなさそうだ。藍のやつ母さんにしゃべったのか!?


「あらあら図星みたいね」


「なんで知っている?」


「昔の私と同じ顔をしていたからよ。藍のあの顔は男を食べた後の顔だったわ。もしかしてキスの先までやったの?」


「やらねえよ! てか俺達は兄妹だ! 母さんはなんとも思わないのか!?」


 普通の親ならここで大反対を申し出るはずだが、なにせこんなことを平気な顔で聞いてくるような親だ。反対どころか賛成派だろう。


「あんた達が付き合うことになったら私と父さんは嬉しいわよ。かっこいい遼とかわいい藍だもの。ただ世間の目はそう甘くないわよ」


 やっぱり賛成だったか。だが最後の言葉はごもっともだ。親が許しても世間は許さない。


「そんなことわかっているし、俺は付き合うつもりはない。藍は妹だ。妹を悲しませるようなことはしたくない」


 これは本音だ。藍はまた昨日のようにアプローチを仕掛けてくるに違いない。あれ以上はあってはならないし母さんの言うとおり世間は甘くない。かわいい妹が腫れ物扱いされるなんてことはあってはならないのだ。


「そう、なら桜ちゃんかしら? それとももう一人のおっぱいが大きい子?」


 なぜ花の事を知っている? このババア一体俺のプライベートをどこまで知っているのだ?


「私はどっちでもいいわよ。あんたが好きなようにやればいいのよ。」


 その好きなようにやっている結果がこれだ。二人と距離を置くと決め、さらには藍が暴走する始末。もう俺にはバッドエンドしか見えないよ。


 これ以上母さんのペースに飲まれると口が滑ってしまいそうなので、家を出て学校に向かうことにした。それにしても母さんの情報源はどこなのだろう。やはり藍か姉さんなのか。


 ―――――――――――――――――――――


 花と距離を置くために学校には狙って遅刻ギリギリの時間で登校した。授業中は花から話してくることはないのでチャイムが鳴ると同時に教室に入った。一瞬目が合ったのだがすかさずそらして席に着いた。


 HRを終えた後は二学期始業式があるそうでみんなで体育館に移動することになった。


「あのっ! 遼さん!」


「平! 一緒に行こうぜ!」


 みんなが俺を見て不思議そうな顔をする。夏休みに何かあったのだろうと察したようなやつもいるがそんなことではない。純粋に花と一緒にいないようにするだけだ。


 平を引き連れて体育館へ向かう。花が追ってくることはなさそうだ。平が何か言っているがそれは後で聞こう。


「おい篠崎っ! 止まれ!!」


 体育館が目先の渡り廊下で平が力をこめて俺の腕を引っ張ったので、俺は後ろに倒れ尻もちを着いた。


 痛いぞ平。周りに誰もいなくてよかった。


「あ、悪い。しかしお前どうしたんだ? 昨日も朝はいなかったし」


 平が手を差し出すのでそれに掴まり立ち上がる。少し痛むが問題なさそうだ。


「何でもない。早く行こう」


「何でもないようには見えないぞ。さっきなんてまるで瀬戸内さんを避けているみたいじゃないか」


 避けているつもりはないのだ。俺はただ距離を置こうとしているだけだ。一緒にいるなんて距離を置く意味が無いと思う。


「まあ何か考えているとは思うけど相談ぐらいは乗るから気が向いたら話せよ」


「……ありがとう。ほら、行くよ」


 平はまだ不満そうだが俺が先を歩くと付いてきた。話せる相談ではないぐらい俺も混乱しているから落ち着いたら一成と平には相談してみるか。藍の件についてはもちろん言わないけどね。


 体育館に入るとすでに人が集まっていた。早く教室を出たはずだが平との会話が長くなったようだ。俺達のクラスも集まりだしているので平と一緒にそこへ向かう。


 並び順は決まっていないので、花はクラスメイトと前のほうにいる。俺と平は遅れ来たから後ろのほうだ。これなら近くにいないから安心できる。


 しばらくすると全校生徒が集まったようで始業式が始まったのだが、退屈でつまらない、壇上に上がる人達が何を話しているのかもどうでもいい。早く終わってくれ。


『えーそれでは教育実習の先生方を紹介します』


 教育実習があるのか。そういえば姉さんも教育実習でうちの学園に来るって言ってたな……あれ?


 周りがすごいざわついている。特に男連中が。壇上を見上げるとそこには姉さんとその他教育実習の先生立っていた。フォーマルスーツの姉さんはいつものだらしないイメージとはかけ離れちゃんとした社会人のようだ。まあ見た目は美人なのだが中身がすごく残念だからな。


 次々と教育実習の先生が挨拶をして姉さんの順番になりマイクを持ち言葉を発する。


『あーあー、篠崎初だ。ここの学園の卒業生、いわばお前らのOGだ。英語を担当する。それと一年に弟がいる。まあよろしくな』


 一瞬壇上の姉さんがこっちを見ていた気がしたが気のせいだろう。さすがに超人的な姉さんでもここまで離れていたら見えるわけがない。見えてないよね?そして我が姉よ、どこに行ってもあんな態度なのか?そのまま社会に出たら上司にぶっ殺されるぞ。


「篠崎、お姉さんどこでもあんななのか?」


「外での姉さんはわからないから俺が聞きたいぐらいだ」


 姉さんが敬語を使っているところを見たことがない。もう社会人になるんだから最低限は身に着けてほしいものだ。ほんとにうちの姉妹は将来が不安すぎる。


 教え方は間違いなくうまいのだが、あの口調じゃ生徒から怖がられても仕方ないぞ。指導者としてはいいかもしれないが、教師としては姉さんは最悪だ。


 とりあえず一年の英語は担当しないでほしいのだが、果たしてどうなることやら。

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