7.Poor guys no money
今日はこの世界に来て三日目の朝だ。
今はヒヤシンスが晩飯をテーブルに運んでくるのを待っているところだ。
昨日、俺は彼女と隣のエル村に行ってきた――確かにかなりいい感じに整備されていた。
通りは二本とも商店街になっていて、インフラも結構しっかりしている。日本の田舎町に匹敵するレベルだ……そう、まったくもって浮いている。一瞬、自分の世界に戻ってきたのかと思ったほどだ。
そして俺たちは、決して「競合調査のつもりがむしろ相手の商品を大量に買ってしまった」なんてことはしていない。なぜなら、俺たちには金がまったくないからだ。
現在の調査で、以下の点が判明している。
この村の経済は、完全に勇者の影響力によって成立している。道端には「勇者の里」「聖女の里」「奇跡の降りた村」などと書かれた看板が立ち並んでいる。風信子が言っていたピザはどうやら受け入れられてはおらず、買って食べる人たちの動機はどちらかというと「せっかく来たし」というものだ。
勇者と聖女は故郷にかなりの金を投じている。インフラの半分以上は二人が自腹で整備したものだ。
上にいる公爵が、俺が魚を捕っていたあの川の所有権を常青村に譲渡した。
エル村には経済の神の加護があるらしく、書類が村の中央の噴水の前に金の額縁に入れて飾られている。
風信子はおそらく戸籍に自分の名前しか載っていないような子だ(あえて聞いたりはしない)……が、今はまだ彼女に手を出したりはしない。
俺は今のところ転職できない。この世界では全員が生まれつき職業を持っているため、職業を選ぼうとした瞬間に正体がバレるからだ。
つまり、一人で常青村の経済を動かすのは不可能だ。
俺にとって本当に重要なのは、やはり勇者を殺すために早く成長することだ。
奴らが俺の降臨を知らないわけがない。
喫緊の課題は、とにかくレベルを上げ、強力な装備とスキルを探すことだ。
俺は大量の固パンを頬張る風信子を斜めに見ながら、大胆で邪悪な計画を思いついた。
「ヒヤシンス、昨日お前が言ってたことについて、真剣に考えてみたんだ。」
「ん? やっぱりやる気になったか? ピザから行くのか? それとも『コーラ』って飲み物からか? 聞いたところによると――」
「どっちもやらない。」
彼女の口からパンが飛び出しそうになった。
「なんだって?!」
「落ち着け、まずは最後まで聞け。昨日お前が勇者の話をしてくれた時、一つ気になる点があったんだ――彼がエル村を豊かにしたのは、魔王を倒して英雄になってからだよな? 彼が降り立って最初の半月は、実は何もしていなかった。ただぶらぶら歩いて、話して、ブランコを修理してただけだ。」
「そ、それは――」
「なぜなら、あの時は彼はまだ無名だったからだ。正体不明の男がいきなり『俺がピザの作り方を教えてやる』なんて言ったら、あの片目の村長が信じると思うか? 村人が材料を買う金を出すと思うか?」
ヒヤシンスの翼がゆっくりと下ろされ、眉が小さくしかめられた。
「今エル村がピザなんかで稼げているのは、レシピが優れているからじゃない――『勇者の里』という看板のおかげだ。旅人は勇者の名目当てに来て、ついでに勇者が食べていたものを味わうだけだ。もし同じピザを常青村で出したとしても、誰が来る? 隣の村ですらわざわざ遠回りしようとは思わないだろう。」
「……じゃあ、いったい何をしようって言うんだ?」
「俺たちは勇者の辿った道を歩くんだ――料理を真似るんじゃない。彼が名を成した方法を学ぶんだ。」
だんだん見開かれていく彼女の緑の瞳を見ながら、さらに餌を投げる。
「考えてみろよ。もし俺たち二人――一人は転移者、一人は地元の案内人――が冒険に出て、道中でいくつかの問題を解決し、何匹か魔物を倒せば――誰かがその話を広めてくれる限り、『常青村のヒヤシンスとその異世界の相棒』ってのが立派な看板になるんだ。戻ってきたら、こっちから売り込むまでもなく、行商人が自然と噂を頼ってやってくる。」
「でも、あんたは俺にすら勝てないんだぞ……」
「勇者だって来たばかりの時はLv.1だった。それに女神が俺を転送する時に、座標をくれたんだ。あそこには……ええと、『初心者用の宝箱』があって、後の転移者のために特別に置いてあるんだってよ。」
「わあ! 本当か? どこにあるんだ?」
「秘密だ。でも、本当だ。」
彼女はしばらく黙って、翼を胸の前で組み、素足をこすり合わせていた(たまたま見えただけであって、俺は足フェチじゃない)。
「もし騙したら、今すぐ網に縛り付けて教会の前に引きずっていって、銀貨五十枚もらうからな。」
「了解だ。」
彼女はためらいながら翼の先を伸ばし、羽毛で俺の小指を包み込むように、印鑑を押すようにぎゅっと押した。
よっしゃ!
発酵生地を研究する必要もないし、バターの代用品を考える必要もない。エル村の商店街と正面からぶつかる必要もない。
これから「冒険」という名目でカトランド公国方面へ移動すれば、堂々と「カトリ」という聖女について情報を集められる。
常青村の知名度なんて……本当に強くなってから考えればいい。
どうせ風信子は冒険にどれだけ時間がかかるかなんて知らないし(笑)。
「じゃあ、明日の朝一番で出発だ! 荷物をまとめてくる! あんたは――あの制服をちゃんと隠しておけよ! 道中で教会に捕まっても知らないからな!」
「分かってるよ。」
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だが、どこへ行き、どうやって行くか――それが大きな問題だ。
勇者の語り草には、大量の空白の時期がある。
何をして、どこでやったのか、はっきりしない。たぶん人に言えないようなことなんだろう。
「知ってる知ってる! 勇者様はエル山でしばらくゴブリンとスライムを狩ってたんだ!」
ところが出発前に判明した――そこではゴブリンとスライムはもう勇者によって絶滅させられていた。
「あ! エル山には洞窟があってな! その中にすごい剣技が書かれた古い本があったんだ!」
言い終わった瞬間に気づいた。その古い本は勇者に持ち去られていたのだった。
そしてもう一つ、最も重要な問題……金がない!
そう、昨日彼女が「ピザが買えない」と言ったのは、単に外で一回食べるだけの余裕がないという意味かと思っていたが、今日の昼、彼女はもじもじしながらこう言ったのだ。
「あのさ――今日はもう、パンも食べられないんだ……」
詳しく聞くと、彼女が普段魚を捕って得る収入は自分の食事を賄うのがやっとで、この二日間俺の面倒を見たことで赤字になっていたらしい。
でも、彼女を責められるか? かわいそうな子だ……
いや、責められる。
そもそも俺をここに留めたのは彼女なんだから。
…………
…………
まあそうは言っても、まずは彼女を慰めてやろう。機嫌を損ねると俺に損が大きすぎる。
「大丈夫だよ、俺たち一緒に頑張ろう!」
俺は記憶の中の優しいアニメ主人公を思い出しながら、そう言った。
「いまのなに……気持ち悪いよ……」
……とにかく、この数日は彼女と一緒に魚を捕りながら、わずかな経験値を稼ぎつつお金を貯め、未来に思いを馳せることにしよう




