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14.Sigma male VS Succubus

材料は何も採れなかった……俺たちは戻るしかなかった。

このリア充め。自分が楽しいのは構わないが、なぜ他人の生活まで邪魔するんだ?

なるほど、こんな依頼があったのも、みんな月光苔が採れないからか。


しかし幸い、俺たちの手持ちの金はまだそこそこある。ヒヤシンスと二人でしばらくは生きていける額だ。

もしヒヤシンスがいなければ、同じ金で倍の日数は暮らせるのに!

「何ニヤニヤしてるんだ?」

「なんでもない〜」


拠点は、鉄砧堡の見える丘の上に決めた。見晴らしがよくて、何かあったらすぐに下へ走っていける。

俺はマインクラフトでもこういう場所に家を建てるのが好きだった。下りは水バケツで楽ちんだが、登るのは一苦労だ。でも景色がいい。


そんなわけで、俺がしゃがみ込んで枝で地面に「キャンプ設営計画図」を描いていると、ヒヤシンスは隣の石の上に座って、素足をぶらぶら揺らし、翼を少し広げて日向ぼっこをしていた。


その時、空が暗くなった。

「ぱっ」と誰かが天幕のロープを切ったみたいに、どんよりとした幕が一気に落ちてきた。

北西から黒い雲が勢いよく押し寄せ、湿った土の匂いと遠くの雷鳴を連れてくる。

風が吹き荒れ、地面の草や砂埃を巻き上げて顔に叩きつける。


「逃げるぞ!」

俺はヒヤシンスの手首を掴んで山を駆け下りた。

彼女はよろめきながらもすぐに歩調を合わせ、翼を半開きにしてバランスを取りながら、背負った荷物をがちゃがちゃ鳴らして走る。鉄鍋が袋の中で当たり、おそらく新しい凹みができたことだろう。


中腹まで来た時、初めての雨粒が首の後ろに落ち、冷たくて思わず身を縮めた。

「あっち――あっちに家がある!」

ヒヤシンスの翼の先が、山のふもとやや左手を指していた。


雨幕の向こうに、確かに建物の輪郭が見えた――尖った屋根に小さな鐘楼、灰色の石壁が雨に濡れて色を深めている。

その形に、なぜか心が引っかかった。記憶の奥で何かが顔を出そうとしているような感覚。


だが考えている暇はなかった。

ころげるようにしてその建物の入り口まで駆け寄る。

扉は観音開きの厚い木板で、表面には錆びた鉄の帯が打ち付けられている。錆びた跡を雨水が伝い、敷居の下に赤茶けた水たまりを作っていた。


押すと、木の閂がずるりと外れ、扉が「がらん」と内側へ開いた。

俺とヒヤシンスは勢いを殺せず、そのまま転がり込んで、石畳の床にうつ伏せに倒れ込んだ。ほこりが小さく舞い上がる。

ヒヤシンスが「げほっげほっ」と咳き込みながら起き上がり、俺は仰向けに寝転がって、冷たい石の床に背中を預け、大きく息を吸った。開いた扉から雨水が流れ込み、敷居のところで細い流れを作っている。


「……閉めろ。」

ぎぃ――がちゃん――ぱたん。

世界が急に静かになった。


雨音は扉に遮られて遠くなり、綿布越しに聞くようなこもった音になった。

時折雷が鳴り、屋根のほこりがぱらぱらと肩や髪に落ちる。


俺は振り返って、ようやくこの建物の中をじっくり見回すことができた。

とても暗い。

扉の隙間や割れた窓から差し込む灰色の光だけが、空間の大まかな輪郭を浮かび上がらせている。

高い身廊(しんろう)、二列の木製長椅子が歪に並び、表面は厚い埃と瓦礫で覆われている。

正面には石造りの祭壇があり、燭台は倒れ、何本かの蝋燭は床に落ちて折れ、溶けた蝋が黄色い染みを残している。

壁のステンドグラスはほとんど割れており、残った数枚もひび割れている。雨の薄明かりに透けて、ぼんやりと混ざり合った赤や青や金色の模様が浮かび上がる――かろうじて長いローブをまとった人の形を識別できる程度だ。


「?」

「どうした?」

「いや……なんでもない」


どこかでこの教会に関する情報を聞いたような気がする――だが、どこで、どんな内容だったか――


甘ったるい匂い。熟れすぎた花の蜜と体温が混ざり合ったような香り。

女のうめき声。途切れ途切れで、泣いているのか笑っているのか分からない。語尾がかすかに上がり、鉤のように絡みつく。

桃色の光。まるであのバーのような――


そうだ。思い出した。ここはあの高級淫魔のいる場所だ。


「て、天夢……ここ、お化けが出そう……でも、なんだか気持ちいい……」

「ヒヤシンス! 動くな!」


小柄な鳥人の少女は、魅入られたようにゆっくりと奥へ歩き出そうとしている。俺は彼女の腕を掴み、二発平手打ちを食らわせた。

「目を覚ませ! 中にいるのは高級淫魔だ! 入ったら死ぬぞ!」

「あ……ああ、分かった……離してくれよ……痛いってば!」

「ああ、すまん」


そして俺が手を離した瞬間、ヒヤシンスは弾かれたように跳躍し、教会の奥へと駆け出した!


「おい! ヒヤシンス!」


俺も後を追って突っ込んだ……

何せ俺はシグマ男だ。淫魔なんて相手にならない。

裸締め一発で終わらせてやる。


そう思った瞬間、後悔した。


でかい胸。でかい尻。艶めかしい肌。テカテカに光る革のシスター服……

冒涜的で、そして淫靡だ……


!!!

やばい。俺も反応してしまった。顔が火照り、体が前へ引き寄せられる。


何考えてる! 止まれ! 俺はシグマ男だ!

体! 止まれ! 止まれと命令しているだろう!


しかし俺の体はあまりにも正直だった。すでにうつ伏せになって抵抗しているのに、それでも前へ前へと進んでいく。


早く考えろ……そうだ! 寺! 大仏! 和尚! 尼!

無意味だ!


シグマな男たちを思い出せ! パトリック・ベイトマン役のクリスチャン・ベール! ギガチャド! ドゥームガイ!

やばい! あと3メートルもない!


禁欲の方法を思い出せ! 自分の股間を殴れ! 逆立ち!

あれ? なんで余計に硬くなってるんだ?


ヒヤシンスが道を譲り、淫魔が俺を抱き上げた。俺の体も彼女の首に絡みつく……

意識が遠のいていく……

淫魔の口が開いた。


だが俺はまだ諦めていなかった――


『変身』! 性病! 詐欺! 婦科病! 男科病!


———————————————————————————————————


ギルド。屈強な戦士たちや、道中で見かけてついてきた村人たちが集まり、信じられないものを見る目でカウンターの前を見つめている。


顔がトマトのように真っ赤なハーピーの少女と、顔色が練り粉のように真っ白な人間の少年。

そして彼らが床の上をずるずる引きずってきた高級淫魔の死体――

死因は、嘔吐物による窒息。


ギルドの職員はしばらく呆然とした後、ようやく一言を絞り出した。

「……依頼の完了報告は、首だけ持ってくればいいんですよ……」

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