表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コンテニュー】  作者: ふがほ
第1章 「殺した未来」
9/11

1幕8話 「相克」

 運動場の中央、ラクロとウェートは向かい合う。二人の視線が空気を張り詰めさせる。


「始める前に言っておくわ。」


 トリルの一言が静寂を割く。


「今回の勝負では能力の使用は許可する。」


 一瞬、周囲がざわめく。視線がラクロとウェートに突き刺さる。


「ただし。」


 声が、わずかに低くなる。


「殺す気でやるのは禁止。危険と判断したら、私が即座に止める。」



 小さく鼻を鳴らすウェート。その目には「勝利」を疑ってなどいなかった。


「――いいわね?」


 釘を刺し、トリルは静かに離れる。


「始めッ!」


 その言葉が発せられたと同時に二人は動き出す。


          ◇


「エア・ボレアス!!」


 ウェートの手に風が収束し、弓の形を成す。迷いなく構え、狙いを定めようとする。しかし、


 目の前にラクロの姿など無かった。


「なっ、どこに....」


 言い終わるより早く、視界が跳ね上がる。


「ーーッ!!」


手を蹴り上げられる。風の弓が空中で四散した。


「くっ、!」


 咄嗟に後退する。さっきまで自分が立っていた場所にラクロがいた。微動だにせずこちらを見ている。


(......一瞬で死角に入ったのか。)


 蹴られた場所が痛む。その痛みがウェートをやる気にさせていく。


「エア・ボレアス、、、」


 まだ、構えない。


           ◇


 蹴ったところを見る。赤くなっている。


(強く蹴りすぎちゃったかなぁ。)


 一瞬、気が緩む。


(いや)


 すぐに切り替える。ウェートの手には再び風の弓。すぐには構えない。


「今の一瞬、君は能力を発動していない。」


 ラクロは何も答えない。


「素であの速さ。」


 わずかに口元が歪む。


「面白いッ!」


 弓先を地面に向ける。


「脚が速いなら、封じるまで!」


「やべっ!!」


 走る。何かする前に。だが、間に合わない。


風乗昇(ウィ・ノップ)!!」


 地面に放たれた風の矢。それはラクロの前に着弾。──爆ぜる。


「うおっ!!」


 渦巻く風が、足元から噴き上がる。体が、浮く。そのまま巻き上げられる。そして、ふっと、風が途切れる。


「おぉうっ!」


 支えを失った体が落下する。


「空の上じゃ、移動も何も出来ないだろう。」


 地に立つウェートはすでに次の矢を構えていた。


「早く能力を出さないと、」


 弦にかかる指が緩む


「死ぬぞ。」

 

 指が離れる。


風矢(ウィ・ロー)!」


 放たれた矢がラクロ目掛け、飛んでいく。避けることもできない。何もしなければ当たる。しかし、そんな状況で一人ため息を吐く。


「しょうがないなぁ。」


 右手をゆっくりと握る。


「あんまし使いたくないんだよ。」

 

 拳が黒いオーラに包まれ、


「【(まとい)】」


 寸前の矢へと振り下ろされ、風はかき消える。この光景を見て、ウェートは笑っていた。


「ほぉ、威力は低いが、いとも簡単に。」


 エア・ボレアスを構え直す。


「今度は、これだ!」


 指を離す!


「ウィ・ワレード!!」


 鋭い風の矢が放たれる。


「まだやるのかよぉ。」


 同じように黒い拳で矢をかき消す。 その瞬間、別方向から風を裂く音。反射的に身をひねる。


「うおっと!!」


 目の前を風の矢が通り過ぎる。


(別方向からの二発目ッ!)


 直後、背中に軽い衝撃。


「くっ!」


「どうした。」


 地上のウェートが冷たく言う。


「そんなんじゃ、君は死んでるぞ。」 


 一撃を躱しても、次の矢が構えられている。空中だと躱しきれない。


(まずい、早く下に!)


 地面に着くまではまだ距離がある。このまま格好の的になるのか。


(はっ、)


 一瞬、脳裏をよぎる。あの、爆発の記憶。赤く、熱く燃えた国。炎が一瞬で広がる。


「このイメージ、やってみるか!」


 右手が黒く染まる。それにウェートが気付く。


「何をしようと無駄だ。ウィ・ロー!」


 また矢が飛ばされる。


(また拳でかき消すのだろう。)


 だが、違った。ラクロは矢を──掴んだのだ。


「【(ばく)】!」


 掴まれた風の矢が、黒く染まり、膨張、そして、弾けた。まるで爆発したかのように。小さな爆風が至近距離で炸裂。


「アっッ!!」


 その衝撃がラクロを下へ叩き落とす。一気に、地面へ。


「【纏】!」


 体全体を黒に染める。直後、地面に激突。轟音と共に土煙が巻き上がる。


「いっってて...」


 立ち上がりながら、自分の体を確認する。


「あぶねぇ、体全体に【纏】してて正解だったな。」 


 土を取り払い、ウェートに目線を向ける。


「まだやるか?」


 風がウェートに集まっていく。


「当たり前だ。」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ