1幕2話 「ロイア兵団入隊式」
「着いたぁー!」
「はぁ、はぁ、はぁ、疲れたぁ、、、」
暮らしていた家からロイア兵団基地まで距離が遠く、しかも遅刻しないために全力で走ってきたため、アイラはものすごく息切れをしている。
「ほら、早く入ろうぜ」
少し待った後、アイラの手を掴み前へ進む。
「ちょっと、待ってぇ」
「こんにちわ!」
基地の門番に声をかけるとムッと睨まれる。
「貴様は?」
「ラクロって名前だ!よろしくな!」
「ちょっ!!敬語を使いなさいよ!ご、ごめんなさい!私はロネス・アイラです!」
門番は紙の束を取り出して眺めている。
「ラクロは特待生、ロネス・アイラは一般試験の合格者か。」
「は、はい!そうです!」
アイラが激しく頷く。
「よし、通れ。」
門の前から横へずれ、門を開けてくれる。
「ありがと!おじさん!」
「ありがとうございます!」
二人揃って急いで門を通過する。基地の中には見渡す限り芝生が広がり、その奥には石造りの巨大な兵舎が並んでいた。そして、たくさんの人がいた。どの人も今回新しく入る人達だろう。
「広いなぁ。」
「それ試験の時も言ってたわよ。」
「そうだっけ?」
はぁ、とアイラが呆れていると
「アイラちゃーーん!!」
前方からアイラの名前を呼ぶ声が聞こえる。人が多く、誰が呼んだか分からない。
「あっ!フレット!!」
アイラはもう見つけたようで、手を振りながら人混みの中を走っていく。
(行くあて無いし、アイラの後を追いかけるか。)
そしてラクロも人混みの中を走って行く。
◇
人混みの中、アイラを見失いそうになりながらもなんとか追いついた。アイラは緑髪で紫の瞳の女の子と話している。
「おーい、アイラぁ〜。」
「ラクロ!フレット、紹介するね。コイツは、」
「大丈夫、知ってるよ。特待生のラクロくん、だよね?初めまして。私はカーキ・フレット。よろしくね。アイラちゃんとは試験の時に隣で意気投合して仲良くなったんだ。」
「そうなのか!これからよろしく!そういや、なんでオレの名前を知ってるんだ?」
「私のパパ、ここの教官をしているんだよね。だから教えてもらったんだ。その時に初めてラクロ君を知ったの。」
ニコニコと話すが、フレットの親は教官としてどうなのだろうか、とラクロは戸惑う。
◇
フレット、アイラと談笑を続けていると
「新兵達よ!!集まれぇぇぇ!!」
基地内に野太い声が響く。すると、さっきまで話していた人達が一斉にその声の元へ 集まって行く。ラクロも皆と合わせるように動く。声の主を見てみると歳は50を超えていそうなイカつい顔のおじさんが手を後ろに組んで立っている。
「よぉし!!!皆集まったな!!!只今より、ロイア兵団入隊式を始める!まずは自己紹介しよう!!私の名はミーラン・ラクター!!貴様達の主任教官だ!」
皆、静かに教官の話を聞いている。
「今回は我らがロイア兵団に入隊してくれたことを感謝する!!皆は知っているだろう!ロイア兵団が何のためにあるのかを!!そう!!我々は弱き市民をあの恐ろしき『カルクス』から守る為だ!!!!皆は6年前のあの出来事を忘れていないだろう!!!この国は一体のカルクスの襲来によって何人もの死亡者が出た。その中には私の妻と娘もいる。皆の中にもいるだろう。大切な人を失った者が。私はカルクスが許せん。特に6年前のあのカルクスが!!!!」
はぁはぁはぁ、と息遣いが聞こえる。
「すまない。少し取り乱してしまった。先程言ったように市民達をカルクスから守るためには君たちは対抗するためには力を付けなくてはならない、カルクスについて知り、殺すための方法を探さなければいけない。そう!!訓練あるのみ!!!ここに入ったからには命を捨てたと思え!!!!守りたいもののために死ぬ気でやれ!!戦え!!共にカルクスを撲滅し!!!
あの頃の平和を取り戻すぞぉ!!!!!」
「「「「「おう!!!!!!!!!」」」」」
「いい返事だ!!!!!!これからの活躍を期待しているぞ!!!この後は全兵で国を行進して 回るため準備するように!! では!解散!!!」
張り詰めた空気がまだ漂っている。
「アイラ、大丈夫か?」
「大丈夫よ。ただ少し、ね。」
「キツかったら言えよ。」
「ありがとう、ラクロ」
『カルクス』。その単語が聞こえた時、隣にいたアイラから激しい怒りの気配をラクロは感じた。なぜ怒っているのか、ラクロはその理由を知ってる。そう、アイラもカルクスに母親を殺されたからだ。ロイア兵団に入ったのも、母親を殺したカルクスに復讐するため。そしてラクロは
(オレがここに入った理由はアイラを守る為。って言ったらアイラは怒るだろうなぁ。)




