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真面目ですが何か?  作者: 西園寺百合子


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06 当番制ですが何か?

新居で生活するようになって2週間。

清子きよこは悶々としていた。

♥どうしたら、ただしさんにお弁当を作ってあげられるかしら。


作りたいと言えばいい。

それはそうなのだが、結婚前に2人でお昼は外食にしようと話し合って決めたのだ。

家事の効率化、職場の人間関係を考えての決断だった。

しかし今、清子は正にお弁当…愛妻弁当を作りたい。


そこで、正に提案をしてみることにした。

「あの、正さん。少しご提案があるのですが、今、お時間よろしいでしょうか?」

テレビを見ている正に清子が話しかける。

正はテレビを切って、清子に向き直った。

「もちろんです。何かありましたか?」

正が眼鏡をはずした。

伊達だからはずしても問題ない。


♥きゃー!正さん、今日もカッコいい!かっこよすぎですっ!!


そう思いながら、清子も眼鏡をはずす。

清子も伊達メガネだから、はずしても問題ない。


♠でたぁっ!俺の女神っ!いや、もしかしたら創造神か?創造神なのか?

 俺を作ってくれたのは清子さんだったのかぁっ!!


「実は、お昼ご飯のことなのです」

清子は無表情のまま正を見る。

正もまた、無表情で清子を見た。

「お昼ご飯…ですか?」


「はい。結婚する前は、家事の効率化などを考え、外食にしようという結論になりました。ですが、昨今の物価高。これは予想の範囲を超えています」

「なるほど。たしかにこれほど急激に物価が上昇するとは予想していませんでした」

正がハッとした。


♠これはうまくいけば、清子さんにお弁当を作ってもらえるんじゃ?

 …いやいや、いかん、いかん。

 弁当は女性が作るものなんて固定観念、ぜったいいか~ん!


「ですから、お昼はお弁当を持参するという提案をしたいのです」

清子がそう言いきった。

「なるほど。たしかに、最近はランチで1,500円を使ってしまうことも少なくありません。ぜひ、お弁当を取り入れましょう。


♠♥やっぽ~い!!


「では、お弁当は私が担当します。…というか、家事の分担についてもこの際見直したいのですが」

清子がそう言うと「それはいけない」と正が否定した。

「お弁当は女性が作るものだというのは古い考えです。今は料理も含めて、家事は男女で分担する時代ですから」

正はうん、うんと頷く。


「確かにその通りです。家事は分担すべきだと私も思います。ですが、この2週間生活していて気がつきました。どう考えても、私のほうが楽をしていると」

清子が立ち上がる。

「買い物は2人で行きますし、掃除も2人で行います。その上で、家事を2人で交互に行うというのは平等ではありません」


「…いえ、平等ですよ?」

正が首を傾げた。

「いえ。だって、正さんのほうが通勤時間が長い上に、勤務時間も長いではありませんか。私は毎日正さんが出かけた後に出かけるし、正さんが帰宅する前に帰宅してるんです」

清子の主張通りだった。

でもそれは、仕方がないことだと正は考えていた。


「ですから、こういうのはいかがでしょうか。料理は私がおこないます。洗濯とトイレ・お風呂掃除を分担するというのは」

「それでは、清子さんに負担がかかるじゃないですか」

2人は一歩も引かない。


♠清子さんの料理は食べたい。毎日食べられるなんて超嬉しい!

 でも毎日だぞ?毎日朝も昼も夜もなんて、清子さんがノイローゼになってしまうじゃないか!!


♥正さんに料理を振るまいたい。毎日毎日、私が作ったものを食べてほしい。

 私が作ったもので正さんを形成したい!

 でも、これほどまでにこの提案を否定する理由は…


「正さん、もしかして、私の料理がお口にあわないのでしょうか?そうであれば、正直にそうおっしゃってください」


❤それしかない!私の料理、正さんのお口にあっていなかったんだわ。

 正さんは優しいから、まずいって言えなかったのね。

 なんてこと!なんてことっ!!

 明日から、お義母様に料理を習いに行こう!習わせていただきますからっ!


♠は?は?清子さんは何を言ってるんだ。

 清子さんの料理が口にあわない?

 そんな人類、この世にいるのか?

 人類に限らず、生きとし生ける全てのものが清子さんの料理にひれ伏すはず。

 星、みっつ かける 100!!でしょっ!でしょうよっ!!


「いえ。毎回、美味しくいただいています。本当にただ、清子さんにかかる負担を心配しています」

二人で顔を見合わせる。


「では、こういうのはいかがでしょう。お休みの日は、正さんに料理をしていただく、というのは」

「それだけでは足りません。どうしても料理をというのであれば、トイレ掃除と洗濯も俺の担当にしましょう」

ここが落としどころだろうかと清子は悩んだが、やはり、正にかかる負担のほうが多い気がした。


「…では、トイレ掃除はお任せします。ただ、洗濯は当番制のままにいたしましょう。…その、女性ならではのものもございますので」

こういえば、正が洗濯をすると言い張らないと清子は考えた。

清子の考えた通り、正は顔を真っ赤にして「そうですね。失礼しました」と洗濯は当番制のままであることに了承した。


こうして、新しい当番表を作成する。

料理は清子、トイレ掃除とごみ捨ては正。

それ以外の家事は当番制とした。


2人で当番表に確認印を押す。

山田の印が2つ、規則正しく並んでいた。

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