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真面目ですが何か?  作者: 西園寺百合子


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05 美男美女夫婦ですが何か?

あれよあれよという間に、結婚式当日となった。

それぞれの衣装合わせで試着した姿は見ているものの、メイクやヘアスタイルまで整えた姿を見るのはお互い初めてであった。


「…まあ。花嫁様…その。どうして隠していらしたんですか?」

メイクをしたスタッフがメイクを終えて驚いている。

「え…?ああ。色々とございまして。あまり顔は見られたくなかったものですから」

そう言って下を向く。


「あの…先に花婿さんに会っておかれますか?」

スタッフさんがそう清子きよこに話しかけた。

「いえ。ファーストミート。結婚式の前に花婿が花嫁を見ると幸せになれないと言われておりますのでやめておきます」

そう断って、清子は少し恥ずかしくなった。


幸せになりたいと思われたかもしれないと思ったからだ。

「そう、そうですね…」

スタッフさんが部屋を出ていくときにドアが開き、廊下がザワザワしていることに気がついた。

何かあったのかなと思ったが、あと5分で挙式が始まるため待っていることにした。


しばらくして、スタッフさんに呼ばれてチャペルの扉の前に向かった。

清子が父に手をとられると、チャペルの扉が開いた。

清子は俯きながらヴァージンロードを歩く。

「……?」

何かおかしい。

こういうときは普通、花嫁を見て「綺麗ね」とか声があがるものなのに。


なんだかコソコソと話し声が聞こえる。

なんだろうと清子が顔をあげると、そこに男性が立っていた。

その衣装が着ているものは確かにただしが選んだものであったが。

この男性は誰だろうと清子はまじまじと男性を見た。

父の手から、男性の手に清子の手が託された。


❤常識的に考えれば、この人が正さん。

 え?え?このイケメンが、正さん?

 うそっ!性格いいだけじゃなくて、顔もいいの?

 どういうこと?どういうこと?


清子の頭はパニックだ。

牧師が「それでは、誓いのキスを」と言った。

正が清子のヴェールをあげる。

ようやく2人の目が合った。


「・・・」

「・・・」


❤ああ…どうしたらいいの。

 かっこいい、かっこいい。


♠どういうことだ?

 これが清子さん?

 もともと素敵だと思っていたが、こんなに綺麗だったのか。

 性格もよくて美人って、女神か?俺の女神か?

 いや~、俺のってなんだよ、俺のって~


2人とも、表情が緩んでしまいそうになるのを必死に我慢する。

神聖な場所でヘラヘラするわけにはいかない。

表情を引き締めなおすと、唇を重ねた。


♠❤1・2・3・4・5


心の中で5つ数えて唇をはなした。


♠❤短いっ!!もっとキスしていたいのに。


少し不満を抱いたまま、参列者のほうに向きなおった。

「おぉっ…」と声が上がる。


「え?田中…じゃなかった山田さんってあんな美人だったの?」

「ちょっと、旦那さんまでイケメンじゃない」


「山田ってもっさい奴じゃなかったか?」

「奥さん、どんだけ美人なんだよ」


2人の素顔を知らなかった参列者たちは、コソコソと話す。

素顔を知らなかったのは参列者だけではない。

正も清子も、お互い素顔を知らなかったのだ。

誰よりも驚いていたのは、正と清子の2人だった。


その後の披露宴では、男性からも女性からも称賛と皮肉を浴びることとなる。


♠❤こういうのがめんどくさいから隠していたんだけど。


「もう、山田さんったら。そんなにかっこいいんだったら言ってくれればいいのに」

正の職場の女性がそう言いながら近づいてきた。

「…かっこいいんです、と言うべきだったでしょうか?」

正がそう言うと、女性がひるむ。


「田中…じゃなかった。山田さん。美人なのを隠して、ちゃっかり素敵な旦那さん捕まえちゃうなんてずるい~」

清子の職場の女性にそう言われて、清子が首を傾げた。

「隠していて申し訳ありません」

素直にそう謝ると、女性が変なものを見る顔をした。


色々とあったが無事に結婚式も終了し、普段の生活が始まる。

2人はこれまで通り、伊達メガネは着用することにしたが、前髪は切ってスッキリすることにした。

「これで、作業も効率が上がりそうです」

♠清子さんがよく見えて。


「はい。視界が広いほうがいいですよね」

❤正さんがよく見えて。


あらためてお互いを見る。


♠夫婦って、どうしたらいいんだ?

❤夫婦って、どうしたらいいの?


見つめ合ったはいいが、結婚式のことまでは調べていたものの、結婚生活についての知識はなかった。

その日、仕事に出かけた2人は休み時間をフル活用して結婚生活について調べることとなる。

そこで、衝撃的な事実を知った。


♠なんてことだ!夫婦の営みは…

❤月に1回か2週間に1回程度…


広げた雑誌を握りしめて、清子がぷるぷると震える。

❤夫婦の営みって、つまりは子作り、愛し合うこと、まぐわうこと…

「ひぃっ!!」

清子は立ち上がると、一目散にダイエットの本を読み漁る。

❤無理…この体を正さんに見せるなんて無理っ!!


夫婦の営み、それが正と清子の第3の難関となりそうだ。

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