13 妹ですが何か?
清子が扉を開ける。
「やっぽー!おねーさんっ」
♥陽キャだ。陽キャ来た…
本当にこれ、正さんの妹なんだろうか?
突然、本当に突然、正の妹が家を訪ねてきた。
清子は戸惑ったけど、愛する正の妹を無下に追い返すこともできず招き入れる。
清子も正も、家に招きいれるような友達がいない。
だから、こうやって突然訪問されるのは苦手だった。
「おねーさん、聞いてよ~」
正の妹、陽子はそう言って、勧めたわけでもないダイニングの椅子に座った。
「うちの旦那ったらさ~」
そう言って、自分の旦那の愚痴をしゃべり始めた。
簡単にまとめると、パートに行く日を増やしてほしいと言われて腹が立ったという内容だった。
「自分の稼ぎが悪いの、私のせいにするのよ?」
そう言って怒っている。
「…ですが、現代では共働きをするのはごく普通です。全世帯の7割ほどが共働きだと言われていますから」
清子がそう言うと、陽子はため息をついた。
「わかってるわよ。働くのはいいの。でもね、じゃあ、家事も分担してよって話なのよ」
陽子はそう言って、また愚痴を言い始めた。
簡単にまとめると、働けと言うわりに、家事を全然手伝ってくれないらしい。
他人の家のことまで口を出せないと、清子はただただ聞いていた。
「子育てを私に丸投げしておいて、外でもっと働けって、ひどくない?」
そう同意を求められる。
陽子の夫婦には、4歳息子が1人いる。
「そういうことは、私にではなく、旦那様にお話されたほうがいいのではないでしょうか?」
清子がそう言うと「言ってるけど、どうにもならないから愚痴ってるんじゃない」と返された。
それからしばらく、清子は陽子の愚痴を聞くことになった。
「ただいま…ん?」
正の声が聞こえて、清子はハッとする。
♥しまった。夜ごはんの準備、全くしてない。
陽子の話を聞いていて、ついうっかり、準備を忘れてしまっていた。
「兄貴、おかえり~」
陽子がそう言って正に手を振る。
「…陽子。どうしてうちに」
♠どうして毎回、毎回、連絡なしにきて家にあがりこんでるんだっ!
清子さんが疲れている。
何を言ったんだ?
「清子さん、すみません。また、妹が連絡もなしに来てしまったんですね」
「いえ、それはいいのですが。すみません。うっかり、お夕飯の準備を忘れてしまって。これから準備をするので、30分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
清子は夜ごはんのメニューを考えながらキッチンへ向かう。
「それは、陽子が突然きたからですよね。ご迷惑をおかけしてすみません。あ、宅配ピザでもとりましょうか。あ、寿司のほうがいいですか?」
正が申し訳なさそうにジャケットを脱いでキッチンへ向かう。
♥正さんとどのピザを注文するか考えるの、楽しそう~
♠これから清子さんに夜ご飯の準備をさせるなんて申し訳ない。
清子さんのご飯が食べられないのは残念だけど。
残念だけど!!
くぅっ~…残念無念だけど…
「お言葉に甘えて、宅配ピザにしてもよろしいでしょうか?」
心配そうにキッチンをのぞいてくれた正に清子が答えた。
「え~、ちょっと。2人っていつもそういう感じ?」
陽子が突然、会話に入ってきた。
陽子の言っている意味がわからなくて、2人で首を傾げる。
「もっと夫婦っぽく話せばいいのに。なんか会社にいるみたいだよ」
そう言われて、正と清子は固まった。
♥それは、夫婦っぽくないということかしら。
2人を固まらせたまま、陽子は帰っていった。




