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VRMMORPGプレイヤーがダンジョンマスターになった  作者: minaira


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ダンジョン作成

 太陽の陽射しが遮られるほど暗い森。

 そこにミストとメリルは現れた。

「メリル。ダンジョンはどうやって作ればいい?」

 管理者に事情を説明され、ダンジョンについての知識を与えられたメリルは、すぐに答える。

「ダンジョンコアに触れたまま、ダンジョンを作りたいと念じてください」

 メリルに言われたとおり、ミストが念じると、ミストたちのいる場所を中心とする半球状の立体図が現れた。

「この投影されている立体図の好きな場所にダンジョンを作成できます。魔物を産み出すなどダンジョンの力を使うためには、魔力が必要となります。そのダンジョン運営に不可欠な魔力は、主に二つの方法で集めます。一つ、ダンジョンで人間族や魔物などの生物を殺害してその身に宿す魔力を全て吸収する。二つ、自然に回復するダンジョンマスター自身の魔力をダンジョンコアに吸収させる。そのため、効率よく魔力を得られるように人間族の町や魔物の巣の近くでダンジョンを作るのが一般的です。なので、この森を移動してもっと効率的な位置でダンジョンを作りませんか?」

「…………」

 メリルの話を聞いたミストは、しばらくダンジョンの位置をどこにするか、考えていた。

「この位置にダンジョンを作る」

 ミストが立体図の中で指差した先は――――この大森林の上空だ。それもかなりの高度がある。

「何も見当たりませんが、どういうことですか?」

 メリルは疑問に思った。

「誰も来れないよう空中にダンジョンの入り口を作る」

 ミストの言葉を聞き、メリルは驚く。

「魔力をほとんど得られなくなりますよ! いいんですか!?」

「いいんだ。侵入してくる生物を殺害して魔力を得ることを諦める代わりに、ダンジョンの存在を隠すつもりだ。どんなに凶悪なダンジョンを作ったとしても、長い年月が経てばいつか攻略される日が来るかもしれない。だったら、侵入者がいないダンジョンにすれば永遠に成長できる」

 ミストのダンジョン運営方針を理解したメリルは、一つだけ確認する。

「ミストの今の最大魔力量は、この世界の一般人と同じくらいで10sしかありません。sという魔力の単位は、生まれたばかりのスライムの最大魔力量を1sとしています。ダンジョンマスターに成長限界がなく、鍛え続ければ神にも匹敵するとはいえ、最大魔力量を増やすには時間がかかりますよ?」

「わかっている。最大魔力量を増やす合間に、ダンジョン運営や剣の鍛錬、魔法の研究も行うつもりだ」

「そうですか」

 メリルは納得の表情を浮かべた。 




 ミストがダンジョンを作成すると、ダンジョンの1階層はすでに完成していた。

 先ほどまでミストたちがいた大森林を模しているようだ。

 ダンジョン最深部の2階層は《コアルーム》というダンジョンコアの機能を十全に発揮するための施設となっており、ダンジョンコアを《コアルーム》の台座から取り外すこともできるが、機能が制限されてしまう。

 その《コアルーム》にミストとメリルはいた。

 《コアルーム》を居住区に決めたミストは、《コアルーム》に備え付けられていたダンジョンコアを遠隔で操作できるタブレットのような物を使って、木製の椅子を二つ生み出す。

 一階層に生えていた一本の木を材料に指定したことで、2sという少ない魔力で二つ椅子を創造できた。

 材料なしだと、一番魔力を消費しない簡素な椅子でも10sだ。

 二つ椅子を生み出そうとしたら、20sも消費してしまう。

 消費した魔力は、予めミストとメリルがダンジョンコアに込めた16sの魔力から使った。

  走って体力を消費すると疲れるように、自身の魔力も消費するほど疲労するので、ミストたちは魔力を2sずつ残していた。

「魔力を消費すると最大魔力量を増やす鍛錬にもなるので、魔力が回復したらダンジョンコアに込めましょう」

「わかった」

 ダンジョンマスターと同様に、水の精霊であるメリルも食事と睡眠は必要ないので、キッチン、寝室、トイレを作る予定はない。

 椅子に座ったミストは、改めてタブレットの機能を確認する。

 物や生物を生み出す《創造》、スキルを付与する《強化》、侵入者の監視やダンジョンの様子を把握する《千里眼》、ダンジョンの構造を弄る《ダンジョン作成》、魔力を通貨として、ダンジョンマスターたちが商品を売買できる《取引》、ダンジョンマスターたちで情報のやり取りができる《交流》。他にはカメラ、録画などタブレットの通常機能がある。

 ミストは《ダンジョン作成》でコアルーム前に小さな部屋を一つ作る。

 これだけで、ダンジョンコアに蓄えられた残りの魔力は4sとなる。

 残り少ない魔力で何か魔物を《創造》できないか探すために、消費する魔力が少ない順にリストを表示させる。

 そして、スライムに目を留める。

 詳細情報には、『粘性の不定形で消化は遅いが雑食。日当たりの悪い水場に一匹でもいると大量に繁殖する。毒や汚れなどを全て吸収し、体の大部分が栄養豊富な水で構成されているため、多くの生物から捕食される生態系の最下層に位置する。』とある。

 ミストは一匹のスライムを1階層の大森林にある日陰の水場に《創造》した。

 1sの魔力を消費したため、残りの魔力は3sだ。

 新しく作られたばかりのダンジョンにスライムだけが《創造》されたため、珍しいことに天敵がいないスライムにとって絶好の環境となっている。

 だから、いずれスライムは大繁殖するだろう、とミストは考えていた。

 魔力が回復するまで剣の鍛錬をするために、再び木を材料にして1sの木剣を《創造》した。

「俺は隣の部屋で剣の鍛錬をやるが、メリルはどうする?」

 ミストが前の椅子に座っているメリルに、これからの予定を尋ねた。

「水の精霊としての力がどのくらい使えるのか試したいので、1階層の湖に行こうと思います」

「そうか。何か欲しい物でもあれば《創造》するから言えよ」

「ありがとうございます。今は特に欲しい物がないので、今度お願いします」

 ミストは《コアルーム》の隣の部屋へ、メリルは1階層の湖に向かっていった。


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