陽炎の先へ 1
「暑くないすか?あれ、待って?HP減ってね?」
日本時刻18:50、ゲーム内では四回目の朝だ。
最初に訪れた街【ウィールン】から猫耳パワーでテレポートしてやってきたところは、
ついさっきまでの雰囲気は見る影もない活火山の下の空洞。
活火山の下に移動した結果、暑いを超えて継続ダメージをくらうPlayers。
なのにNPCsびくともしてないの何?
あっれれー?ダメージ食らわないって言ったのはどーこのねこさんですかー?
「何でこっちを無言で見るんですか」
おめぇだよ猫耳。
「暑くないじゃないですか。
何をそんなバタバタしてるんですか?」
竹道が口を挟む。
「あのちょっと、そりゃあレアなスライムさんと猫耳さんは見た目、基礎能力値、耐性。そこから俺らプレイヤーとかとは違うだろ?そっちの基準にまだ俺たち到達してないから...」
「あ、そうだった」みたいな顔でこちらを見られても、手遅れです。
スライムが呆れた顔で言う。
「あのー、何の為にペンを持ってるんですか?」
アンジュ、それ刺さる。
描く時間が足りず死にかけたけど何とか耐熱防具を作れた。
竹道は...周りの熱を吸収する剣ってか。
継続ダメージですぐ死にそうな状況で冷静にアイデア捻り出せるのは見習いたいな。
...あとで(剣とアイデアを)パクるか。
熱湯のように熱そうな岩の地面を数歩歩いたところ、
よくゲームやアニメにある地響きが鳴る。
それにしても、さすが没入型のVRゲームといったところか、プレイしてるこっちにも
揺れとか来るんだな。頭につけてるだけなのに全身が揺れる仕組みは考えないものとする。
「あ、ちなみに私の実体験このエリア推奨レベル5転以上だと思います。」
少しずつ千秋たちの真下に亀裂が入る。
「「5てんて何?」」
「そこからですか...?」
残念、あなたの目の前にいるのはプレイして2日目のドがつくほどの初心者です。けど上級者でも知らない単語とかならきついんだが。それはこの場合どうでもよくて、
おそらく猫耳が言いたいことは「戦えるレベルじゃない、攻撃するより逃げろ塵になるぞ」って言いたいんだろう。
まぁそもそも俺ら最後だけ攻撃して経験値とる的な作戦だった気がするからな。
そう言えば猫耳って本名何?
「なぁ猫耳、お前って本名何?」
「やっと聞かれたぁ....4ヶ月も聞かないのでもう聞かれないと思ったんですけど?」
そこ未ログイン日数も含むんかい!
「私の名前は」
「呑気に会話してないで下見ろよ!」
ショートケーキが声を上げる。
クーニャです、という声は掻き消され亀裂から炎の竜が現れる。
アンジュの【スキル】詠唱なしで5Fにつき現実で20メートル移動できると言われる『倍速移動・全員【2x】』を発動。
下から何かきていることを最初に感知したのがアンジュだったのが救いだろう。
見事カスりダメージの喰らわない超ギリで避けれた。
適正レベルを遥かに下回るパセリ、ダイレクトショートケーキ、アンジュは、この場所ではかすり傷は死に等しいのである。
「本当にしっかりしてくださいよ。」
「それな」
「「ごめんなさい」」
話させてよぉ〜。まだ猫耳の名前すら聞けてないんだぜぇ?
『ボスが出現しました』
ボス名:竜炎の影 推奨レベル:6転
「転」って何だよ。
『倍速移動・全員』
パーティ全員(半径50メートルが対象)に指定された倍速の『倍速移動』を付与する。
1倍速が固定10m/5F。2倍だと20m3倍だと30m...と10m/5Fを基準にスピードが上がる。




