7危険すぎます!(コニア)
私の名前はコニア。ディアナお嬢様の侍女をしていた。
今はお嬢様は平民とされ救護院で働いている。私はお嬢様について一緒に救護院に入った。そして看護の仕事をしながらお嬢様と暮らしている。
そもそも私がこの国に来ることになったのは、私の母タニヤがディアナお嬢様のお母様の侍女をしていて結婚と同時にアリア王女についてオールデル公爵家に来た。
私の父はすでに亡くなっており母と一緒にアルドラーゼ国に来た。その時15歳だった。
そしてディアナお嬢様が生まれて私はお嬢様の侍女として働く事になった。
お嬢様はとても賢く優しい女の子でそれはもう可愛かった。
お嬢様が10歳の時には魔力が発現して、お嬢様はいきなり現れた魔力で魔力を暴走させて使用人にけがをさせてしまった。
優しいお嬢様はその事でひどく落ち込まれた。周りの人間も在りもしない噂に惑わされお嬢様は傷ついた。
それでも奥様であるアリア様が辛抱強くお嬢様に魔法を教えられ薬草の知識も遊びの中で学べるように工夫しておられた。
だからお嬢様も次第に魔法を使えるようになった。それでも、人前で使うのはためらわれていた。
そして15歳の時に王太子アルベルト殿下と婚約が決まりお嬢様はアルベルト殿下にふさわしい王太子妃になろうと一生懸命努力されていた。
その頃はブガリア国とも親交が深く互いの国にも良い縁談だと言われた。
それなのに運命は残酷だ。
ブガリア国とアルドラーゼ国の間に亀裂が入り、いや、それもあの王弟の一派の策略と思われたが証拠もない事を公に言う事も出来ず王妃グレイス様は毒殺。ご友人で王妃様の薬師でもあった奥様が疑われるなんて、ひどすぎる。
そして奥様は牢内で自殺したと知らせが来た。
そんなはずはない。奥様はディアナ様を残してそのような事をするはずがない。おまけに遺体は返せないと言われて旦那様は酷く落ち込まれた。
その上旦那様まで不正を疑われ宰相の職も追われてすっかり塞ぎこまれた。私の母はそんな旦那様に付き添って領地に一緒に行った。
そして二人とも流行り病にかかって亡くなった。
奥様の遺体も旦那様も遺体も母の遺体にも会うことが許されなかった。
そしてさらにアルベルト殿下から婚約白紙を告げられてお嬢様はすっかり元気を失くされた。
そんなお嬢様に追い打ちをかけるように、旦那様の弟のドボーヌ子爵がオールデル公爵家を引く継ぐと屋敷に乗り込んで来られた。
実の後継者はお嬢様なのに、あいつらは我が物顔で屋敷に居座った。
そのうちお嬢様を邪魔者扱いして私の居場所も奪われて行った。
そしていとこのシャロンがアルベルト殿下の婚約者に収まるとシャロンを虐げたと殿下はお嬢様を平民にした。
あいつ殺してやりたい!
お嬢様は少しばかりの私物を持たされると屋敷を追い出された。私はもちろんお嬢様について行くことにした。
救護院での生活は質素で厳しい者だった。慣れない看護の仕事。貴族の令嬢が平民の薬師にこき使われる。
お嬢様は普段の生活にも慣れていない。服のたたみ方や髪の整え方。皿の洗い方や洗濯の仕方まで尋ねられてそれを一つ一つ覚えて行かれた。
貴族のご令嬢なのに、いや、お嬢様はブガリア国の王族でもあるお嬢様が‥私はそんな仕事には慣れているからいいけど。胸が痛かった。
他にもお嬢様は包帯の洗濯や食事を運んだり患者に食事を食べさせたり、シーツの交換をしたりと慣れない仕事をさせられ食事の準備まで手伝わされた。
でも、お嬢様はどんな仕事も勉強になるしやりがいがあると仰って、私は心の中で何度涙した事か。
何度かブガリア国に行きましょうと言った。
でも、お嬢様は今まで自分は何も知らずに暮らして来た。幸せ過ぎたんだって。それに何かしていないとご両親の事を思い出して余計辛いからって。
それに何より目の前の人を放ってはおけないと言われて。
そんな中お嬢様は薬師の資格を取られて救護院でも一目を置かれるようになって行った。
隠された才能である治癒魔法をわからないように使われて死にかけた子供やお年寄りを助けたこともあった。
私は危険だから魔法を使わないように言ったがお嬢様は目の前の人を放っておけないからと言われて。そんなところはお母様にそっくりで私はまたこっそり涙を流した。
そんなある日王宮から呼び出しがあって、お嬢様はアルベルト殿下を助けた。あんなばかを。助けなくても良かったのに。
お嬢様は優しいから。
そして王宮の薬師として働く事になった。
ああ、もう、あんな危険なところにお嬢様を行かせるなんて、私は止めた方がいいと何度も止めたがもしかしたらお母様の事が分かるかもしれないからと。
お嬢様はお母様が王妃を殺すなんてあり得ないと思っている。もちろん私だって奥様は罠にかけられたのだと思っている。でも、その証拠を掴もうなんて万が一にもお嬢様の身に何かあったら時が気ではない。
私はこっそり奥様の友人であったレイモンド・ルシフェル様の令息であるユリウス様に手紙を出した。
一度お嬢様を心配して尋ねて来られた事があって困った事があれば何でも相談して欲しいと言われていた。
だから、どうかお嬢様を守って下さいと。
ユリウス様からは必ずディアナ様を守るから安心するようにと返事を貰った。
実は私は奥様が亡くなった時からブガリア置くとは連絡を取っている。だってお嬢様はブガリア国の王族でもあるのだから当然の事だ。
お嬢様にはこの半年、ブガリア国から派遣されているブガリア国の影であるレオンが付いている。必ずお嬢様を守ってくれるはずだ。
私はひやひやしながらも奥様や王妃様、そして何よりこの国の次期国王になられるアルベルト殿下が事実を受け止めはびこっている害悪を取り去ってくれることを祈るばかりなのだが。
あのアルベルト殿下にそれが出来るかは‥‥
かなり難しい問題。いや、きっと無理だ。
ああ、お嬢様。いっそもうブガリア国に行った方がいいかも知れませんよ。
でも、お嬢様は聞かないんだろうな。
はぁぁぁぁぁぁぁ~。




