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厄災令嬢は王太子殿下の元婚約者でした  作者: はるくうきなこ


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34知らなかった事(アルベルト)


 ロイトン医師がディアナが大変だと聞いて部屋から出て行った。

 俺は解毒剤のおかげかあんなに苦しかったのが嘘のように今は落ち着いていた。

 でも、まだ少し身体は重だるいし喉はヒリヒリして胃もキリキリと痛かった。


 レーニングもトレント騎士団長を拘束すると豪語して出て行きコートナー法務局長もやることがあると出て行き、部屋には後からやって来たアマンダと俺だけが残った。

 もちろん護衛騎士が5人ほどそばについている。


 「殿下、具合はいかがですか?」

 「ああ、かなり落ち着いた」

 「もう、本当に心配しましたわ」

 「すまない。まさかアナが作ってくれた薬に毒を入れられるとは思っていなかった」

 「えっ?あの人が作った薬に毒が入っていたんですの?」

 「まさか、アナの薬は昼も飲んだ。その時は何も起こらなかった。きっとキケルが混ぜ込んだに違いない。おい、そう言えばキケルはどうした?」

 俺は護衛騎士に尋ねた。

 「そう言えば催吐剤を取りに行くと行ってそのまま姿を見ていません」

 「逃げたんじゃないのか。誰かキケルを探すように言え、見つけたらすぐに拘束しろと」

 「はい、すぐに」

 護衛棋士が慌てて部屋から出て行く。


 「殿下、まだ立ちあがらない方が‥」

 俺はベッドから下りて立っていたのでアマンダが心配して手を差し伸べた。

 「ああ、心配ない」

 俺はベッドの端に腰を下ろす。

 「殿下はキケル医師が犯人だと思ってらっしゃるの?」

 「もちろん、あいつが俺に薬を飲ませた。毒を入れられたのはキケルだけだからな」

 「でも、その薬はアナが作っていたものですよね?」

 「何が言いたい?」

 「殿下は彼女の正体をご存知ですの?」

 「ああ、平民で救護院で働いている薬師だろう」

 「まあ、殿下は騙されてるんですわ。アナはディアナ・オールデルなんですよ。殿下に平民にされて彼女は救護院で働き始める時から認識阻害魔法と言う魔法を使って姿を変えていたんです。それにディアナだから魔法が使えたんです。そうでなければ平民が魔法なんて使えるわけがないじゃないですか。ロイトン医師だってそのことを知って殿下の所に呼んだんですし、だからキケル医師が毒を混ぜたと言うのもどうかと思いますわ」

 「それは本当か?ロイトンやアナは俺を騙していたと言う事か?」

 「そうですわ。彼女王妃の診療記録も勝手に探っていたんです。殿下のお母様がディアナの母親に殺された事お忘れではありませんよね?それに婚約もなくなって彼女を平民にしたのも殿下。殿下を憎む理由は山ほどありますわ」

 俺の中でアナの姿が崩れ落ちる。

 「だが、彼女は俺を助けてくれた。それなのに毒を仕込むなんて」

 「まあ、殿下。目の前で殿下が亡くなればそれこそロイトン医師やアナに疑いがかかるではありませんか」

 アマンダの指摘に俺は納得する。

 「そうかもしれんな‥」


 そこに叔父であるガイアス国王代理が入って来た。

 「アルベルト。心配したぞ。先ほども毒のやられたと聞いた。一時はどうなるかと肝を冷やしたぞ。まったく、コートナーが誰も近づけないと言ってお前の様子も見れなかったんだ。すまなかったな。それで具合はどうなんだ?」

 父とは少し年の離れた叔父は俺にとって兄のような存在だった。

 父は身体が弱く叔父が父を助けていたことは幼い頃から知っていたので、父が亡くなって叔父ガイアスが少しの間国王代理をすると言った時もそれはいい考えだと思ったくらいだ。

 まあ、そろそろ俺も独り立ちして国王をしてやらなければならない時期に来ているとは思っていた。

 それにしても二度も殺されそうになるとは。


 「はい、今回は参りました。二度も立て続けに命を狙われるとは情けない話です」

 「そんな事はない。とにかくアルベルトが無事でよかった。それはそうともう犯人は捕らえたのか?」

 「いえ、まだです。一度目はシャロンが毒を入れたと思われます。でも二度目ははっきりしていなくて」

 叔父(ガイアスが驚いた顔をした。

 「シャロンだって?」

 「はい、シャロンが持って来た飲み物に毒が入っていたんです。俺はそれを飲んで死にそうになりました」

 

 「殿下。シャロンの事ですが、王宮にディアナ。元オールデル公爵令嬢が入り込んでいるんです。もしかしたらシャロン様の時もディアナが関与しているのかもしれません。だって、ディアナからすればシャロンも憎い相手の一人。罪をかぶせようとしたのかもしれません」

 アマンダがそう指摘した。

 「アマンダ嬢。それは本当か?」

 叔父が驚いた顔をした。

 「はい、彼女を王宮に入れたのはロイトン医師です」

 「それはどうも怪しいな。すぐにトレントに動いてもらおう。今はコートナー法務局長が捜査を仕切っているが、もしかしたら仕組まれているかもしれん」

 「ですがコートナー法務局長は誠実な方です。それに警務調査官のマリウス様は私にディアナの事を隠しませんでした。ですからそんな事はされないと思いますが」

 「叔父上、こうなったらみんなを呼んで話を聞くべきです」

 「ああ、お前をひどい目に合わせたやつに罪を償わせる。護衛兵、すぐにコートナー法務局長に伝えろ。明日、取り調べを行った警務調査官以下容疑者全員を会議室に呼び出せと」

 「はは、ただいま。すぐにコートナー法務局長に伝えます」

 叔父は自分の護衛兵に言いつけた。会議室は貴族院が話し合いをする場所だ。

 「アルベルト、お前はまだ無理をしてはならん。明日は休んでろ!」

 「いえ、俺も行きます。行って真実をこの目で確かめます」

 叔父は少し驚いた顔で俺を見た。

 まあ、そうかもしれない。俺は今までなんでも人任せだった。政務も夜会も隣国との折衝などの面倒事も叔父に任せっきりだった。

 「一体どうしたアルベルト。無理をしなくていいんだぞ。お前は大切な身体。こんな事は私に任せておけばいいんだ」

 「いえ、こんな目に遭ったせいか今までと同じではいけないと思ったんです。俺も少しは変わるべきだと」

 「そ、そうか。まあ、いい事だ。会議の時間が決まったら知らせる。それまで休んでいろ」

 「はい」

 叔父はコホンっを咳ばらいをして部屋から出て行った。

 

 「殿下、私の下がります。どうかご無理をされませんように」

 「ああ、アマンダ。色々教えてくれてすまない。助かった」

 「いえ、私でよければいつでも言って下さい。失礼します」

 アマンダも部屋から出て行った。


 俺にはアナ。いや、ディアナだとまだ信じれなかった。だが、あいつにした仕打ちを思うと恨まれても仕方がないと思った。

 やはり、犯人はディアナなのか?

 少し休もうとベッドに横になったがいろいろな事を考えると休むどころではなかった。














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