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厄災令嬢は王太子殿下の元婚約者でした  作者: はるくうきなこ


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33/39

33ディアナに毒が?(ユリウス)


 俺はディアナの所に急いだ。

 牢に中にぐったりと床に横たわったディアナを見つけた。

 「ディアナ!!おい、何があった?誰にやられた?おい」

 俺は牢の鍵を開けると急いでディアナを抱き上げた。

 青白い顔、口の端からは血が流れ出ている。

 「ディアナ!しっかりしろ。誰にやられた?」

 俺は彼女の身体を揺すりディアナの手のひらを握りこみむ。

 氷のように冷たくなったその手に心臓がぎゅっと縮む。

 まさか‥いや、そんな。そんな事あるはずがない。喉の奥で考えてしまいそうな言葉がこぼれ落ちそうになって慌ててそれを飲み込む。

 「ディアナ!おい、しっかりしろ!」

 大声でディアナと名を呼んだ。

 「‥‥‥」

 ディアナの口元は呼吸もしていない。俺は生きた心地すらしない。

 「しっかりしろ。すぐにロイトン先生の所に連れて行く。だから‥」

 俺はぐったり力のないディアナを抱き上げると急いで殿下のいる部屋の方に急いだ。



 「ロイトン先生!ディアナが大変だ」

 俺は王宮だと言うのに大声を張り上げてディアナを殿下の部屋の隣に連れて入った。

 ロイトン先生が声を聞きつけて駆け込んで来る。後ろにはヴェスやレオン、騎士達もいた。

 「何があった?」

 「毒を飲まされたようです」

 ロイトン先生がディアナの様子を診察する。

 ディアナはベッドの上に寝かされている。

 「心臓が止まっている‥」

 「そんな!」

 いきなりヴェス様がディアナのそばに走り寄り手を握りしめた。

 「先生、私にやらせて下さい!」

 「だが‥」


 クッソ。俺はディアナのそばで拾った小瓶を見た。

 「ディアナは殿下に使われた毒と同じものを‥これがディアナのそばに落ちていました」

 俺は小瓶を見せる。

 ヴェス様がその小瓶の臭いを嗅いで確信した。

 「ディアナしっかりして、あなたには蘇生の魔力があるの。あなたはこんな毒に負けたりしない。さあ、息を吹き返してそして解毒剤を飲むの。ディアナ。真の力を放つのよ」

 ヴェス様はディアナに呼びかける。

 だが、そんな事をしてどうなる?ディアナは死んだんだ。

 蘇生の力?戻って来て?真の力?何のことだ?

 ヴェス様の言葉の意味も分からないまま俺は冷たくなったディアナの手を握りしめた。

 「ディアナ、しっかりしろ。頼む。戻ってきてくれ」

 何も出来ないけれど、今度こそちゃんと伝えるから。お願いだ。


 その時いきなりヴェス様の手のひらから淡い光が出てその光がディアナの腹に押し当てられる。

 「ヴェス様それは?」

 「ユリウス、彼女は魔法が使えるんだ。ディアナに回復魔法を注いでいる。心配するな」

 ロイトン先生が城から声をかけた。

 脳内で色々な事が起こりすぎて何がどうなっているのか処理しきれないまま俺はディアナの手をもう一度握りしめた。

 ”ディアナ死ぬな!しっかりしろ。戻って来い。”ただそれだけを祈る。



 しばらくするとディアナの胸が上下した。

 「ディアナ?」

 続いて鼻が膨らみ唇が開いた。

 「ディアナ‥」

 指先がほんの少し動いた。

 「ヴェス様?」

 「息は吹き返した。すぐに解毒剤を飲ませて」

 ヴェス様はすぐにロイトン医師に指示を出す。

 「ああ、だがまず脈を診てみよう」

 ロイトン先生はディアナの脈を取り胸の音を聞く。

 「信じられん。心臓が動いている。呼吸も戻った‥」

 ロイトン医師も驚いたようにそう呟いた。

 その間もディアナの顔色はさっきより良くなって行き呼吸もしっかりできるようになって行く。

 身じろぎして握っていた彼女の手に力が入り俺の手を握り返した。

 そしてディアナが目を開けた。


 「「「ディアナ!!」」」


 「とにかく解毒剤を飲ませよう」

 ロイトン医師の指示ですぐにディアナに解毒剤を飲ませ様子を見る。


 ぼーとしていたディアナがゆっくり顔を動かした。

 「う‥ん。わたし、ここはどこ?」

 眩しさを堪えるように目を細めて彼女は聞いた。俺と視線が交わり俺は聞いた。

 「ディアナ良かった。君は毒を飲まされただろう?」

 「ええ、無理やり。えっ?私どうして?あれ、生きてる‥」

 驚いたようにきょろきょろ視線を彷徨わせる。

 ヴェス様と目線が合うと彼女がディアナに抱きついた。

 「ディアナ、良かった。もう、あなたったら心配させて‥本当に悪い子だわ」

 「ヴェ、ヴェス様がどうしてここに?」


 ヴェス様がディアナから離れて立った。

 「実は私はあなたの母親なの」

 そう言うとヴェス様の周りがキラキラっと輝いてと同じ髪色の母のアリアが現れた。

 「お母様?!」

 ディアナは驚いて上半身を起こした。

 「「「アリア様?!」」」」

 ロイトン先生も俺も騎士も腰を抜かすほど驚いた。


 ディアナと同じ青銀色の髪。橙色の瞳を持ったアリア様が説明を始めた。


 「驚かせてごめんなさい。実は王妃が毒殺されて牢に入れられた後、私は毒を飲まされて一度仮死状態になったの。でも、私にもディアナと同じ蘇生の魔力があって。ああ、ブガリアの王族には代々毒をはねのける力が受け継がれているのよ。でも、私が生き返ったと知ったらランバートやディアナに危害が及ぶと思って死んだ事にしたのは良かったけどディアナを置いてブガリア国に帰る事なんか出来なかった。だからキャベル公爵に頼んで王宮薬師としてここに紛れ込んだのよ。それに、ガイアスを倒すための証拠も掴まなきゃならない。何よりリドボーヌ子爵領の悪事も暴露しなかればならなかったのよ。それであっちにはレイモンドが行く事になったってわけ。そうそう、ディアナお父様も生きてるわ。私が死んだ事になってランバートは死にそうになって。だから、私が生きている事を知らせてレイモンドと一緒にドボーヌ子爵領の鉱山を調べてもらう事にしたの。レイモンドとランバートはそろそろ王宮に来る頃よ。ドボーヌ子爵の悪事の証拠を持ってね。それに被害に遭っている人の為に解毒剤も開発で来たし、これであの周辺地域の人々は助かるわ」


 「お母様、ひどい。私がどんな気持ちだったか。会った日に教えてくれれば‥それにお父様まで生きてるなんて‥」

 「ごめんなさいディアナ。あなたを危険な目に合わせたくなかったのよ。でも、結局こんな目に遭わせてしまった」

 「そんな、またお母様に会えるなんて夢みたい。すごくうれしいわ。牢に入れられた時もお母様は私を励ましてくれた。私あの時お母様みたいって思ったのよ」

 「私も何度貴方に言おうかと思ったか知れないわ」

 ディアナとアリア様は抱き合い感動の再会をする。


 俺はとにかくうれしかった。

 「でも、良かった。ディアナが無事で。牢で倒れているディアナを見つけた時はほんとに心臓が止まったんだからな」

 「ユリウス様、ありがとう。あなたが私を運んでくれたんでしょう?ありがとうございます」

 「そんな、当たり前の事をしたまでだ。ディアナが無事でよかった」

 ああ。この調子じゃいつ告白で出来るんだろう?








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