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厄災令嬢は王太子殿下の元婚約者でした  作者: はるくうきなこ


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32/39

32無理やり毒を飲まされた


 私が牢にいると、数人の騎士と医師がやって来た。

 「今から言うことをこの紙に書け!」

 一人の騎士が頭ごなしに言った。

 「どうしてそんな事を?」

 「お前が殿下に毒を盛った事はわかっているんだ。罪を自白すれば命だけは助けてやってもいい。さあ、つべこべ言わずに言うことを聞け!」

 牢のなかに騎士が入ってきて無理やりペンを持たされる。

 傷だらけのテーブルの上には紙が置かれそこに身体を押し付けられた。

 騎士が紙に書かれている文章を読み上げる。

 「私はシャロン・オールデルです。婚約を白紙にされて殿下をずっと恨んでいました。だから、王宮に入れたチャンスをいかして殿下の薬に毒をいれました。許される事とは思っていません。自分の自死を持って償います」

 「私は毒など盛っていません。信じて下さい」

 「いいから、言われた通りに書け!」

 「嫌です!」

 「もういい!無理に書く必要はない。その代わり死んでもらう」

 騎士が小瓶を出した。

 蓋を取ると鼻をつくような臭いがした。

 知らない臭いだった?

 騎士が私の顎を掴み口を開かせた。

 「い…」

 小瓶の中味が口の中に注ぎ込まれる。

 液体が口に入った瞬間、焼け付くような感じがした。

 喉に流れ込んだ液体は容赦なく一気に胃の中まで落ちて行く。

 沸き上がる吐き気。喉の奥が焼けただれるような感覚。

 直ぐに呼吸が苦しくなる。


 ああ、このまま死ぬのか。

 母もこんな風に無理やり毒を飲まされたのかもしれない。

 意識の遠退く脳裏にそんな考えが浮かんだ。







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