32無理やり毒を飲まされた
私が牢にいると、数人の騎士と医師がやって来た。
「今から言うことをこの紙に書け!」
一人の騎士が頭ごなしに言った。
「どうしてそんな事を?」
「お前が殿下に毒を盛った事はわかっているんだ。罪を自白すれば命だけは助けてやってもいい。さあ、つべこべ言わずに言うことを聞け!」
牢のなかに騎士が入ってきて無理やりペンを持たされる。
傷だらけのテーブルの上には紙が置かれそこに身体を押し付けられた。
騎士が紙に書かれている文章を読み上げる。
「私はシャロン・オールデルです。婚約を白紙にされて殿下をずっと恨んでいました。だから、王宮に入れたチャンスをいかして殿下の薬に毒をいれました。許される事とは思っていません。自分の自死を持って償います」
「私は毒など盛っていません。信じて下さい」
「いいから、言われた通りに書け!」
「嫌です!」
「もういい!無理に書く必要はない。その代わり死んでもらう」
騎士が小瓶を出した。
蓋を取ると鼻をつくような臭いがした。
知らない臭いだった?
騎士が私の顎を掴み口を開かせた。
「い…」
小瓶の中味が口の中に注ぎ込まれる。
液体が口に入った瞬間、焼け付くような感じがした。
喉に流れ込んだ液体は容赦なく一気に胃の中まで落ちて行く。
沸き上がる吐き気。喉の奥が焼けただれるような感覚。
直ぐに呼吸が苦しくなる。
ああ、このまま死ぬのか。
母もこんな風に無理やり毒を飲まされたのかもしれない。
意識の遠退く脳裏にそんな考えが浮かんだ。




