28誰も会わせない(コートナー)
「コートナー法務局長。どういう事です?殿下に面会もさせないとは!」
怒りに任せて開かれた扉が大きな音を立てた。
「これはガクセン財務局長」
ガクセンが眉を寄せて私を睨みつけながら執務机の前に詰め寄った。
「アルベルト殿下が毒を盛られたと聞いた。面会に行ったら会えないと断わられた。ガイアス国王代理もひどく心配されている。あなたは何の権限があってそんな事をしている?」
「私は法務局長です。殿下に毒が盛られた。これは国家にとって一大事です。だからこそ殿下への接触はさせられません」
「なぜだ?私はこの国の財務局長ですぞ。それにガイアス国王代理は殿下の親族にもなられる。それを会わせないとはどういう事です?」
「それは先ほども申し上げました。今は殿下の安全が一番です。そのための措置です。ご理解ください」
「それでは聞くがロイトン医師も取り調べを受けていると聞いたが殿下の治療はどうする気だ?」
「すでにキケル医師が殿下の治療に当たっています」
「キケルだと?国王代理でさえ疑っておいてあの医師の可能性は疑わないのか?王宮の人間すべてが調査対象のはずではないのか?」
「ガクセン財務局長。彼は医者です」
「王妃陛下の時は薬師だった」
ガクセン財務局長は意味ありげに口元を上げたがすぐに訂正の言葉を言った。
「いや、余計な事を言った。医者がそのような事をするはずがない。すまん。殿下が心配でつい。キケルは優秀な医者だ。彼なら任せても安心だろう」
さっきまでいきり立っていた事が嘘のようにガクセン財務局長が穏やかな口調で話す。
私は嫌な予感がした。
殿下は担当が変わる前から具合が悪くなっていた。万が一キケル医師が犯人だったら。彼はガクセン財務局長の息がかかった医者だ。
喉の奥がひどく乾いた気がした。
そこにマリウスが調査報告書を持って来た。
「コートナー法務局長、全員の聞き取りが終わりました。これを見て下さい」
私はマリウスが差し出した書類を見た。マリウスが横から言った。
「シャロン・オールデル嬢が怪しいです。しかもキケル医師が薬包を彼女に渡しています。それを彼女が使ったらしんです」
私は急いで扉を開けて表にいた護衛騎士に叫んだ。
「まさか。おい、すぐに殿下の様子を。キケル医師を殿下から遠ざけろ!早くしろ!」
数人が一斉に殿下の部屋を目指した。
「「「殿下は無事か!!」」」




