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厄災令嬢は王太子殿下の元婚約者でした  作者: はるくうきなこ


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25警務調査官取調べ5(アマンダ)


 私は最後にアマンダ様に話を聞いた。

 部屋に入って名前や住まいを聞くなりいきなりアマンダ様はしゃべり始めた。

 「あの女が犯人ですわ!警務調査官、こんな所で何をしているんです。早くアナを調べるべきです!」

 彼女はディアナ様が犯人だと決めつけていた。

 「とにかく今皆さんから話を伺っていますので先に質問することにお答えください」

 「早くして下さい」

 「昨日は殿下の元へ行かれましたか?」

 「いいえ」

 「今日は?」

 「今日の午後、護衛騎士が来てロイトン医師から殿下の容体がおかしいからとトコンと炭を持ってきてほしいと聞いて急いで殿下の所に行きました」

 「行ったのはその時だけですか?」

 「はい、そうです」

 「その時の状況を話して下さい」

 「私は部屋に入ると殿下が苦しんでいました。ロイトン医師が催吐剤を飲ませると言って私はトコンと炭を水で溶いて催吐薬を作りました。その間もアナを呼べと言われてだから私は彼女は信用できないからここには来ないと言ったんです」

 「それからどうなりました?」

 「護衛騎士がアナを呼びに行きました。その間にユリウス様が来てユリウス様が殿下を抑えつけてロイトン医師が飲ませようとしましたが殿下が暴れたので私が殿下に催吐剤を飲ませて、しばらくして殿下が吐き始めて、そこにアナが入って来ました」

 「あなたはどうしました?」

 「私は彼女を止めようとしました。でもユリウス様が私を止めてアナが殿下に魔法をかけました」

 「殿下の様子はどうなりました?」

 「殿下はみるみるうちに乱れていた呼吸が穏やかになって青白かった顔色に赤みがさして来ました」

 「殿下は魔法で助かったと思いますか?」

 「多分」

 「その後は」

 「ロイトン医師がもう一度催吐剤を飲ませて殿下も胃の中の物を吐き出しました」

 「あなたはその後どうしました?」

 「私は驚いていました。殿下が助かった事よりもアナが何者なのか。ロイトン医師はなぜ彼女が魔法を使えることを知っていたのか。そんな事を問い詰めていましたわ」

 「それで少しは納得しましたか?」

 「いいえ、明らかにアナは怪しいと思いますわ」

 「確かに状況を見れば。でも、彼女は殿下を助けています。昨日も今日も」

 「それは疑いを自分に向けられると分かっているです。きっと私達の目を欺くために決まっていますわ」

 「そういう見方もあるのは事実です。ですがまだ決めつけるのは早すぎます」

 「私、お父様にもお願いします。殿下の命が狙われたのです。一刻の猶予もありませんもの」


 アマンダ様は疑う余地はないと思っているらしい。困った。これでアナの素性を話したら余計混乱するか。だが、黙っていたことが分かればさらにディアナ様が追いつめられるかもしれない。

 それでも私はアマンダ様に話す事を決めた。

 「実はアナさんは平民ではないのです。彼女は元ディアナ・オールデル公爵令嬢です。なので魔法が使えるんです。あの方が殿下から平民にさせられた事はご存知ですよね?」

 「まあ、やっぱり!おかしいと思いましたわ。あの所作どう見ても平民とは思えませんでしたもの。アナがディアナ様なら殿下を恨んでの犯行ですの?」

 「アマンダ様、勘違いしないで下さい。彼女は殿下を救っていますし私がこの事をお話したのは後で疑われるのを防ぐためです」

 「そんなだから‥でも、どうやって髪色も瞳の色も違いましたわ。やはり怪しいですわ」

 「平民となられて色いろご苦労があったようです。ですが今は事情が事情ですので元の姿に戻してもらっています」

 「まあ、もう誤魔化せないと分かったからでしょう?」

 「とにかく、今はまだ犯人を確定するのは時期尚早です。くれぐれも先走られませんように。恥をかくのはあなたです」

 私は彼女を少し脅すくらいがいいと思った。

 「まあ、失礼な。私、これでも薬師ですわ。軽々しい行動は致しません」

 アマンダ様は持っていた扇をピシャリと手のひらに打ち付けた。

 「はい、あなたは信じられる方です。お話は以上です」

 「警務調査官。まだ、部屋に隔離されますの?」

 「いえ、アマンダ様はもう自由にされて構いません。ご協力ありがとうございました」

 アマンダ様はほっとした顔をするときびきびと部屋を出て行った。



 さて、そろそろ毒の判定が終わっただろうか。それが判明したらコートナー法務局長に報告が上がる。

 私はキリキリと胃の痛みを覚えていた。













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