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厄災令嬢は王太子殿下の元婚約者でした  作者: はるくうきなこ


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23/39

23警務調査官取り調べ3(マリウス)


 私は続いてユリウス・ルシフェルを呼んだ。

 彼も事件発覚後直ぐに部屋で隔離された。

 かなり憤慨したとも聞いた。

 それでも部屋に入ってきた彼は何か言いたそうだったが落ち着いてはいた。

 私は彼に座るように言って名前、所属などを聞いて昨日の話を聞き始めた

 「では、昨日の殿下の様子をお聞かせ下さい」

 「はい、昨日殿下はいつも通り午前9時頃から執務を始められました。侍従がお茶を運んで来ました。いつものお茶でした」

 「いつものお茶とどうしてわかりましたか?」

 「はい、殿下は喉によいお茶を意識して飲まれていて、あの香りは独特な臭いがあって間違うはずはないと思いました」

 「お茶を飲まれたあと殿下の様子はいかがでしたか」

 「特に変わりはありませんでした」

 「それから」

 「昼食はいつも執務室で簡単なものを召し上がるので私が厨房から直接持ってきました。ハムとチーズのサンドイッチです。ああ、その時婚約者のオールデル公爵令嬢がお茶をどうかと。侍女の方を同席してその場でお茶を煎れられました」

 「婚約者の方は同席されましたか?」

 「いえ、いつもは少しでも一緒にいたいからと同席されますが昨日はお茶を置くと直ぐに退室されました。殿下も珍しいと言われました。そしてサンドイッチとそのお茶を召し上がって、その30分後くらいでしょうか、急に呼吸が苦しいと言われて苦しみ始めて」

 「お茶を飲んだ後にですか?」

 そう尋ねた時彼の顔が私を真っ直ぐに見た。

 「はい、今思えばあのお茶が怪しいかと」

 絶対殿下の婚約者怪しいですよ。と目が言っている。

 それはわかっています。でも。

 私は表情筋を1ミリも動かさないように注意しながら話す。

 「わかりました。ですが、それはあくまで憶測ですので他言はなさいませんように」 

 「はい、もちろん。ですがその後来られたロイトン医師には話しています」

 「それは当然でしょう。では、本日の殿下の様子を伺っても?」

 私はほんの少し口調を上げて次の質問に移る。


 「はい、昨日より落ち着いておられたと思います。朝は薬湯を飲まれただけで、食べ物は召し上がっておりません。ロイトン医師と薬師のアナさんが来られて容態は安定していました。その後スーブを召し上がりました。スープは、昨日の事もあるので私が直接厨房から持ってきました。毒味は私がしました」

 「特に異常はなかったと言うことですね」

 「はい、昼食前にまたロイトン医師とアナさんが来られ少し薬の調合を変えたと聞きました。昼食を三人で召し上がって頂き殿下も顔色も良く問題はなかったと思います」

 「昼食後まで問題はなかったと言うことですね」

 「はい」

 「その後、オールデル公爵令嬢が飲み物をお持ちになったと伺っていますが」

 「はい、護衛騎士から後で聞きました」

 「後でとは?」

 「昼食後私は少し執務の事で席を外しました。殿下も休まれると言われたので、次に私が部屋に入った時殿下はもがき苦しんでいて、ロイトン医師が対応しているところでした」

 「あなたは直接殿下が苦しみ始める所は見ていないと言うことですか?」

 「はい」

 「では、毒が何かはわからないと言う事ですね?」

 「はい、ですが私が部屋を出る時は殿下は元気でした。私のいない間に起きた事も言えばあの女が持ってきた飲み物以外考えられません!」

 彼の口調が上がりテーブルの上で右手の拳を叩いた。

 気持ちはわかる。だが。

 「まあ、そこは今調査中ですので勝手な憶測は控えて頂かないと」

 彼の憤りはわかる。だが、憶測で判断すれば間違いが起こる。

 「わかっています」

 彼は拳をすっと膝に下げた。

 「話は以上です。ご協力ありがとうございました。ルシフェル卿も関係者ですので、部屋で待機して頂くようお願いします」

 「ですが、殿下の警護が」

 「その点はご安心下さい。レーニング副騎士団長配下のものが殿下の護衛についております」

 「では、コートナー法務局長が?」

 「はい、既に的確な指示が出ております」

 これくらいの情報は共有してもいいだろう。

 「わかりました。よろしくお願いします」

 彼はそれを聞いて安心したのだろうきちんと頭を下げて退室した。







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