16誤解
私は、殿下の部屋から薬師の部屋に帰ると室内には誰もいなかった。
調合室に入り過去の調合記録の棚に手を伸ばした。
王妃殿下の記録の束を見つけると急いでそれを引っ張り出した。
そこには懐かしい母の文字があった。丁寧に日々の王妃の様子。季節の変わり目の体調不良や隣国の晩餐会や夜会の後の疲れを取るために良い薬草。王妃の体質にあわない薬草や好まれるハーブも書き添えられていた。
肝心の王妃が亡くなる前に調合された薬は?
その前から王妃は少し気だるさや吐き気があったと書かれている。
そして、肝心の王妃が亡くなった前後の記録だけがなくなっていた。
うそ!
その時。
「何をしてるの?」
私は驚いて書類の束を落とす。
慌ててそれを拾おうとしたがそれより早くその書類はアマンダ様が拾った。
「これは、王妃の記録じゃないの。アナさん、こんなものを勝手に見たの?」
アマンダ様に問い詰められる。
「ち、違うんです!私、王妃様の亡くなられた原因が知りたくて」
「そんな事あなたが知ってどうするつもり?」
アマンダ様の眉が上がる。
「それは…」
言える訳がない。母が犯人にされたんです。でも、母がそんな事するはずがないんです。だから調べるつもりだった。なんて。
そこに騎士が数人走り込んできた。
「直ぐに来てくれ!殿下の容態が急変した!」
「殿下が?直ぐに行くわ」
「私も」
「あなたはここにいて!あなた、この女を見張っていて。彼女勝手に書類を見てたの。殿下の急変に関係があるかもしれないわ」
「はい、わかりました」
私の目の前に騎士が一人に立ちはだかった。




