初デートは約束がもどかしい
リアムとサラの気持ちが結ばれてから数日後。
騎士団長が宿直明けのリアムを団長室に呼んだ。
「宿直ご苦労。...それで、サラ王女とはどうなったんだ?」
「な、なんで団長が知って...」リアムが驚く。
「なんでって...そりゃあ、ねぇ。パーティーで負傷したお前を看病する王女と、あんなにデレデレのお前の様子を見てたら流石にわかるわ」
「デッ!?デレてなどいません」
「まぁその様子じゃ、まんざらでもないって感じか。いいんじゃねえか。お前は仕事以外にもっと生きがいを見つけるべきだ。明日、明後日は非番にしておいたから、王女をしっかりエスコートしてデートしてやれよ」
「デッ!?デート!?」
これまで色恋には疎かったリアムは、サラと気持ちが通じただけでこのうえなく幸せだった。
団長室から出たリアムは、サラのことを思い浮かべる。相手は一国の王女だ。会いたいときに会えるわけではない。自分からデートに誘っても良いのだろうか...考え込むリアムに、レイヴンが話しかけてきた。
「リアムお疲れー、明日から連休だろ?とりあえず今日は休むとして、せっかくの連休だし何かするのか?」
レイヴンの肩をガシッと握り、リアムが迫る。
「これは俺の友人の友人から受けた相談なんだが...好き合う男女が初めてデートするとなったら、何をすればいいんだ?」
あまりの迫力にたじろぐレイヴンが言った。
「な、何って...一緒に町に出かけて美味いもの食べたり、どこかくつろげるところでまったりおしゃべりしたり......じゃないか?というか、俺が知るわけないだろ!デートしたことないのにさ」
半泣きのレイヴンを見てリアムは我に返り、「すまない...」と言ってそのまま立ち去ってしまった。
「...なんだ?アイツ......」
残されたレイヴンは首を傾げた。
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「あの日から会えていないが、いきなりデートに誘っても良いだろうか...」そんなことを考えながら王城の門前でウロウロしていたリアムを門兵が不審に思ったらしく、そのまま中に連行され取り調べを受けることになった。
リアムが王立騎士団副団長だとわかると、門兵たちの顔は青ざめて「失礼しました!お通りください!」と謝罪した。
「あ...いや......」今さら帰れない雰囲気になり、そのまま城に入ったリアムの前に爆笑するルイスが現れた。
「あっはっは!騎士団の格好をした不審者がいるっていうからまさかと思って来てみたら...リアムだったとは!すまない、門兵たちはまだ着任して日が浅く騎士団のメンバーの顔を覚えきれていないようだ」
「...そんなに笑うなよ。門兵たちは仕事をしたまでだ」
「それで、今日はどうした?...サラに会いに来たのか?」
ニヤニヤするルイスにため息をついて、リアムは尋ねた。
「...あぁ、明日デートに誘いたいんだ。いいか?」
開き直ったリアムにルイスは驚きつつ、「いいじゃないか!」と満面の笑みで言った。
「サラも今週は公務が入っていない。でも、あんまり変な場所に連れて行くなよ?」
「わかっている。絶対に守る」
リアムがそう言うと、ルイスは「頼んだぞ!」と笑った。
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ルイスと共に、リアムはサラの部屋を訪れた。
「サラ?リアムが来てるぞ。お前に会いたいって」
「え!?」
勢いよく開いたドアからサラが飛び出してきた。
「リアム様!どうなさったのですか」
サラの視線はリアムにしか向いていなかった。
「兄はスルーかよ」むくれたルイスがトボトボ去っていった。
リアムは顔を真っ赤にしながら切り出した。
「あの...もしよかったら、休みがとれたので...明日...俺とデートしていただけませんか」
サラは驚いて、そして大喜びで言った。
「もちろん!...うれしいです。リアム様が誘ってくださるなんて...でも、デートって何をしましょう?私、デートをしたことがなくて...」
サラの"初めてのデート"の相手が自分だということを知り、リアムは嬉しさのあまり壁に額がぶつかった。
「だ、大丈夫ですか...?」
心配そうに見上げるサラに、リアムは尊さを感じて、顔がにやけないようになるべく真顔で伝えた。
「じゃあ、明日10時にお迎えにあがります。城下町なら何かあってもすぐに対応できるし、二人で出かけましょう。俺が必ず守りますから、安心してください」
「はい...」サラの頬が赤く染まった。
こうして二人の初デートが始まろうとしていた。




