優しい手
「......ここは...」
リアムが目を覚ますと、そこは騎士団本部にある医局だった。
背中に焼けるような痛みを感じて、パーティーでのことを思い出す。確かマルヴォリオに襲われて...
「...サラ様!」
痛みも忘れて飛び起きると、ベッドの横でうたた寝をしていたサラが目覚めた。
「...っリアム様、よかった......!」
サラがリアムに抱きつく。リアムは状況が理解できずにただ顔を赤くして固まった。
そんなリアムの表情を見て、サラも自分が大胆なことをしてしまったと気付き「せ、医師を呼んできます......」と逃げていった。
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「私を庇って...ごめんなさい。あれから二日経ちました。リアム様がずっと目を覚まさなくて...私...」
サラの目から涙が溢れた。
その涙をリアムが優しく拭って言った。
「すみません。俺がちゃんと守りきれなくて...心配をかけました」
「...いいえ。リアム様が守ってくださらなかったら、きっと私は死んでいました。でも、あんな無茶しないで......」
サラは拭ってもポロポロと落ちてくる涙を流しながら言った。
そんなサラを愛おしげに見つめるリアムのところに、ぞろぞろと騎士団員がやってきた。
「目が覚めてよかったー、心配したぞリアム!」
レイヴンがお見舞いのフルーツ籠を持って駆け寄る。
「よくやってくれた。お前の頑張りでパーティーの客人に重傷者は出なかったよ」
後ろにいた騎士団長がニッコリ笑って言った。
「最近働き詰めだったから、しっかり休んでくれ。当面の間は支障がないよう人員配置しといたから」
「はい、ありがとうございます」
リアムがそう言うと、団長は人が変わったように団員たちに言った。
「だからお前らは副団長の分までた〜っぷり働け。コイツが休んでるうちに腕を磨かないと復帰したらまたしごかれるぞ」
恐れ慄く団員たちを連れて、団長はサラに「お邪魔して申し訳ございません」と挨拶して帰っていった。
「ふふ、騎士団の皆さんも心配だったのですね」
サラがベッドの脇にあるテーブルに花を置く。
「すみません、騒がしくて」
「騎士団の皆さんがリアム様を信頼しているのがわかります。私も今日はこれで失礼しますね。まだ目覚めたばかりですから、無理せず休んでください」
そう言って帰ろうとするサラの手を、リアムが咄嗟に掴んだ。
「......リアム様?」
リアムは自分の思いがけない行動に戸惑っていた。
「いや...あの......」
サラはそんな彼の様子に困惑しながらも、「...もう少しだけ、おそばにいてもいいですか?リアム様が、眠るまで...」と言って再び椅子に座った。
「...はい。お願いします」
リアムが掴んだ手はサラが優しく握っていた。その温かさにリアムは心地よさを感じてそのまま眠りについた。




