はじまった二人暮らし
ヴィステジア王国では王女の婚姻が発表された。
普段から表舞台に姿を表さなかった王女だが、国中が王家の慶事を喜んだ。
しかし、相手が王立騎士団副団長であるリアムだということは、王女の身の安全のため伏せられた。そのため、国民の間では王女の結婚相手が誰なのか噂が飛び交っていた。
「え!?リアムが結婚!?誰と!?」
騎士団本部ではレイヴンが驚きのあまり叫ぶ。
「副団長...恋人いたのか...」
「俺は前にデートにオススメな場所聞かれたから怪しいと思ってた」
「まぁモテますもんねぇ......」
他の団員たちも今朝飛び込んできた一大ニュースに食いついていた。リアムの結婚相手を予想し合っていたが、同じ時期に結婚した王女の話題があがると「...まさかな!」と笑い飛ばされた。
一方、リアムは騎士団長に結婚の報告をしていた。
「......もしかして、相手は王女か?」
「...はい。でも彼女の身の安全のため、伏せておきたいです」
リアムが真剣な顔で言う。
団長は葉巻を咥えながら一息ついて言った。
「そうか...王城の護衛で王女の顔を見たことがある隊員もいるが、私から口止めしておこう」
「ありがとうございます」
「しかしまぁ、騎士団に来たときは壊れたロボットみたいに顔が動かなかったお前が...結婚か。...おめでとう」
リアムが一礼して部屋を出る。
団長はしみじみとリアムに出会った日を思い出していた。リアムが騎士団に入団してから八年の間、父親のように面倒をみていたのだ。
「ちったぁ人並みに笑えるようになったんか...」
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リアムは騎士団の仕事を終えて家に帰る。今日は同僚たちから根掘り葉掘り聞かれて疲れ果てていた。
サラと一緒に住むため、騎士団の寮を出て王都のアパートに暮らすことにした。
城とは比べものにならないほど狭い家だが、サラはとても気に入ったようで、少しずつ家具が増えてきている。
「...ただいま」
リアムが家のドアを開けると、サラが出迎えた。
「おかえりなさい!」
部屋に広がる美味しそうな匂いの中、リアムは幸せを感じていた。
「こんな風に、誰かが待っている家に帰るなんて...久しぶりだ」
サラにただいまのキスをして、リアムは団服から着替えた。
「ご飯、できてますよ」
サラがシチューを作ってくれていた。ルイスはサラのことを「王室育ちで何もできない」と言っていたが、実際はサラは手慣れた手つきで家事をしていた。
「...何か困ったことはなかったか?町のやつに絡まれたりとかは...」
「大丈夫です。みなさんとても親切で、田舎から越してきたと言ったら色々教えてくれました。あ、おすすめのレストランも聞いたんです」
「そうか、今度一緒に行こう」
二人はそんな会話をしながら温かい夕食を共にした。




