013 オーク乱獲その2
城門を出て今日も平原へと向かう。しかし、今回は一味違う。
「お前の実力を知っておきたいから、午前中は普段通りやってくれ」
ガウェイクさんに話しかけられる。そう、助っ人がいる。本来ノエルと一緒のはずだったが、俺の準備不足で代打をお願いした次第だ。
狩場に着いたのでモンスターを探す。手始めに近くのオークに狙いを定める。監督されてるし、丁寧にいかなきゃダメかな。軽く振って斬るが、全然弱い。カウンターを落ち着いて受け流しまた斬るが、これでも足りない。また守りに入って次の攻撃でようやく倒せた。リスクは少ないものの、ペースが遅いなあ。でもHP多いと思われてないだろうし、いつものスタイルは、、、
「どうした?気にせずやっていいんだぞ。危なくなったら止めるから」
悩んでいるのを察してくれたのかな。
「どんなやり方でも大丈夫ですか?」
流石に特攻&ワンパン戦法はマズイだろ。
「攻撃をモロに一発食らっても耐えられるか?」
「はい」
「なら良い。二発目までに必ず助け出すから。お前らしくやれ」
助けられることはまずないだろうが、頼もしいな。なら、全力でやってやろう。
地図を作成し、同時に索敵を行ってみる。手動で魔力を操作しているからこそできる芸当だな。オークが10体くらい見つかった。一番近い奴へと走り出し、勢いを乗せて一閃。魔石を拾い、また近いのを狙う。ワンパンして魔石を拾う。以下同様に続ける。
ダダダダという足音、シュッと刃が肉を切り裂く音、魔石を拾うサッとした音が一定のリズムで続く。
ダダダダ、シュッ、サッ。ダダダダ、シュッ、サッ。ダダダダ、シュッ、サッ......
最初に見つけたオークを倒し切った。かなりいいペースだ。まだまだ行こう。もう一度索敵する。魔力節約の為に地図なしでやってみよう。うまくいったので、また走り出す。って、2体いるじゃないか。でも、ペースは落とさない。両方を一発で倒してやる!
「夫婦か知らんが、仲良く逝きな!!」
二体との延長線上に入り、横振りで切り裂く。肉は倍の厚さだが、力を込めて無理やり持っていく。あれ、少し大きな魔石が一つだけ落ちてる。まあいっか、次だ。
しばらくして、また周囲の敵がいなくなった。立ち止まって探しなおすのも面倒だ。いっそ常時索敵ONでやってやろう。MPなんていっぱい有るし。
「”索敵”、起動!」
この後は、一度も途絶えず倒し続けた。今何体か確かめたくなるが、我慢して淡々と討伐をこなす。できるだけ経験値を取らないと。
「オラッ!」
変わらず倒していくが、息が上がってきた。で、次はどこだ、、、え!?左後ろに強い気配がする。ヤバい、いつの間に。振り返り、剣を構える。
「オイオイ、俺だよ」
ガウェイクさんだった。完全に忘れてた。
「大体見せてもらったが、なかなかやるじゃないか。もういい頃合いだし、昼飯にしようぜ」
見通しのよいすこし盛り上がったところに移動して、弁当を食べる。ガウェイクさんは平たい茶色の何かを取り出した。これが食事なのか?あんまり美味しそうには見えないが。
「それ何ですか?」
こちらから話しかける。折角の機会だし、色々学びたい。
「干し肉だよ。保存食の一種だ。持ってるか?」
ガウェイクさんが干し肉を指さして問いかける。いいえ、と首を振る。
「そうか、なら持っておいた方がいい。片手で食べられて、匂いもしないから、周囲を警戒しながらの補給に最適なんだ。もちろん味は悪いし、今みたいに安全な場所なら弁当でもいい。」
ただ流石に食事より命が大事だろ、と付け加えた。
「この話は置いといて、本題に入ろうか」
大体食べ終えたところで、今度はガウェイクさんが話を振る。
「結論から言うと、さっきの戦い方は悪くないと思う。お前の実力なら、オーク程度は効率を意識した戦い方でいい。危なっかしくてもな。それに、一気に攻めるのは案外リスクが低いんだ。攻撃は最大の防御って言うだろ?」
そして、話題は戦闘の詳細へと移る。
「オークの方へ迷わず向かっていたが、探知系スキルを使ったのか?」
まあそんな感じですね。
「MPはどれくらい残ってる?」
ステータスを確認すると、2割くらい減っていた。もとが多いのでそのまま言うと面倒だ。濁しておこう。
「半分くらいですね」
「ほー。魔力が多いんだな。それくらい残ってるなら大丈夫だ。万が一に備えて常に3割は残しておくのが鉄則だ。知っておきな」
ふむふむ。勉強になるなあ。
「ちなみに、剣はどんなのを使ってる?」
「武器屋で2000Gくらいのを。ちょっとオリハルコンが入ってます」
「いいのを選んだな。それなら折れにくいだろうし、戦い方に合ってる。今は問題ないが、違和感を感じたら修理に出しておきな。ある程度使うと耐久が落ちてくるから」
戦い方を変える必要はなさそうで良かった。
「うん、大体問題ないね。最後に一つだけ。耳の痛い話かもしれないが、聞いてくれるか?」
「勿論です」
ちゃんと指摘してもらえるのは非常に助かる。学校の教師共と違って全体的に相手への敬意を持って、気を遣った口調だから、素直に聞ける。
「途中、ちょっと固いオークがいただろ」
そういえば居たわ。なんとか真っ二つにしたが。アイツの魔石もちょっと大きかったな。
「思い出したか。実はアレ、オークじゃないんだよ」
「確かに、少し見た目が違いましたね」
装備品が豪華だった。服にガラスみたいなキラッとしたのがついていた。
「そうそうそう!あいつはオークの進化種なんだ。見た目はほぼ変わらないが、普通のオーク5体分の戦闘力をもつこともあるんだ。で、進化種っていうのは、、分かるか?」
オーク以外のモンスターでもいるとか?
「大正解!他のモンスターでも、装飾がキラッとしてたら進化種だ。でな、進化種の強さはかなり幅があるんだよね。対処法は、”鑑定”して強さを見定めるんだ」
だから”鑑定”が必要なのか。
「お、理解したみたいだな。飯も食い終わったし、そろそろ行くか。あんま話ばっかしてもつまんないし、集中力が持たないだろ?続きは帰りにでも」
当たりの教師すぎるだろ。ほめて伸ばすってこういうことなんだな。
「ありがとうございます」
お礼は言って、立ち上がる。これから午後の冒険に向かう。
「想像以上の戦いを出来ていたから自信を持っていい。予定通りいこうか」
いよいよ、森へ入るのだ。
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