012 A級からは逃れられないようです
目の前には見慣れた光景が広がっていた。窓から明るい日差しの差し込む昼休み。クラスの中央あたりで集まって騒ぐ者。進学に向けて早くも勉学に励む者。趣味に没頭する者。
みな違いはあれど高校生活、所謂青春を謳歌していた。自分以外は。すぐに授業についていけなくなり、よく屋上でコンクリの上に寝転がり時間を潰していた。懐かしいな、こんな感じの硬さだったんだよ......
と、目が覚めた。床で眠ったからか、昔のことが思い出された。留年する前の苦い記憶だ。でも今の俺は、あの時期に読んだラノベの知識に助けられている。人生何があるか分からないものだなぁ。
リンとノエルが見当たらない。ノエルの持ち物はあるから、先に起きて飯を食べているだけだろう。はやいとこ装備とか用意しないとな。とりあえず支度して、朝食に向かう。
朝食会場では、せっせと配膳をするリンの姿が。いつもより遅い時間だから人が多くて忙しそうだ。あれ、もう一人いる。誰だろう。こちらに気付いたのか、近づいてくる。
「ショータさん!おはようございますニャ」
ノエルだった。でもどうして?
「お手伝いニャ。すぐ持ってくるから、空いてるところに座ってて」
待っていると、ノエルが料理を持ってきた。初めての仕事だろうに、器用だな。運び終えたノエルは、隣の椅子に腰かけた。一緒に食べれるみたい。
「もしかして待っててくれた?」
「そうニャ。あと、話したいことがあって」
朝から女性の笑顔が見られるなんて最高だな!で、話ってなに?
朝食を食べながら話を聞く。どうやら、数日宿で働きたいとのこと。え、一緒に楽しく冒険して、かっこいいところを見せる気だったのに、悲しい。やっぱり距離を置きたいのかあ、でも仕方ないよな。俺が期待外れだったのかな、、、
「違う、そうじゃないの」
魔力の流れを感じた。”鑑定”を使って察したんだろうな。無理しなくてもいいのに。
「違う違う!第一、装備がないニャ」
確かに。どっちみち今日はダメか。
「あと、料理を作れるようになりたいの。本気で強くなって欲しいから」
そうだな。でも休養日とかはできるだけ手伝うよ。
「そもそも、あんまりお金ないでしょ?少しでも稼がニャいと」
「、、、はい」
無茶した買い物だと悟られていた。奴隷に気を使わせてしまうなんて、主人失格だな。
「気にしなくていいの。とにかく、A級に上がれるように頑張るニャ」
年上の頼れる女房さんみたいだ。うぐぐ、、、
食べ終わったので部屋に戻り、出発の準備を済ませる。ノエルはまた仕事に戻った。約一週間過ごした部屋ともお別れなので、何か落としていないか入念に探しておく。
「ん?なんだこれ」
隅に透明の球が落ちていた。こんなの持ってたっけ?拾い上げると、漢字で「神」と書いてある。漢字ってことはこの世界の物ではないな。文字通り神が俺向けに与えたということなのか?
”女神のビー玉を使用しますか?”
声が聞こえた。まあ、使っとくか。
”ビー玉を使用しました”
”exp獲得量が増加し、呪いが付与されます”
声の後、何かが与えられたような感覚がした。ステータスを確認する。
name:木下翔太
age:18
lv:99[max]
exp:0 [獲得×2]
所持金:3230G
HP:500 / 500 MP:5000 / 5000
攻撃:1000
速度:700
魔法:4478
スキル 1 / 1[max]
回復魔法lv1
[呪い]A級昇格で解除 期限:半年
[女神の伝言]経験値を駆使して頑張って達成してね~^^
久々の伝言。逃げ道を塞ぎに来たな。でも、経験値2倍はうまい。達成の可能性が格段に変わった。メタいが、女神は必要な分だけブーストを与えてくれたはず。ちゃんとやればまず呪いは解除できる。
他に落とし物は見つからなかったので、弁当を受け取って出発する。やっぱり昼はこれじゃないとな。今日は二人で渡してくれた。
「頑張ってくださいね」
「頑張るニャ~」
二人からの激励の言葉。今までとは違い目標ができてしまている。なんとしても彼女たちの期待に応えてやろう。
「いってきます!」
強い決意とともに、一歩を踏み出す。差し込む日差しが俺に力を与えてくれるような気がした。
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