第11話
~アルティーナ中心街~
相変わらず賑わっているこの中心街。食べ物はもちろん日用品から家具まで基本はここで必要なものが揃う街だ。よって常々人で溢れかえっている。
そんな人込みの中に2人はいた。ルークとオウル。探偵をしている2人だ。
「いやぁ、うまかったな~」
ルークは左手にいつもの傘を持っていて、右手で腹をさする。見てわかるレベルで腹が出ている。ルークは太っているわけではない。と、すると。
「そうなだぁ、久々の飯だったもんな。オレも食いすぎてしまった」
同じくオウルも出っ張った腹をさすっている。2人とも幸せそうな顔をしている。
浮気調査(4話参照)で貰うはずだった報酬はハプニングにより依頼を達成する事が出来ず貰えなかった。
だが、昨日久々に依頼があった。内容は探偵というよりスパイとか工作員がやりそうなことで、郵便局に潜入にしてある手紙を回収してほしい事だったらしい。依頼主は著名で、ただ手紙が回収されて本来届くはずった人間の元に届かなければそれでよかったらしい。依頼主としては手紙の内容を秘密にしたかったらしいが、誰かが気を利かせたのか手紙を出してしまったとかなんとか。
依頼内容としては不確定だが、ルークはとりあえず郵便局に潜入し、頼まれた手紙を回収し、念のため証拠としてその手紙を依頼主宛に書き換えて、一緒に『回収しました。ルーク探偵事務所』と書いた手紙も入れて送ったらしい。
その翌日。即ち今日。素晴らしいことに多くのお金が入った封筒が事務所のポストに入っていたのだ。空腹状態の彼らには神からの救いに思えたことだろう。
そして今に至るのだが、彼らは後先考えることが苦手なのか、封筒の中身は3分の2以上が無くなっていた。いくら腹が減っていたと言え食いすぎだ。パンパンに膨らんだそのお腹も納得がいく。そんな2人が事務所に帰ろうとしているときにルークが気づいた。
「つけられている」
「え?なんて?」
ボソッと言ったルークの声は中心街の賑わいにかき消された。オウルは普通の声のボリュームで聞き返すとルークはギリギリオウルに聞き取れる声で言い直した。
「静かに。誰かにつけられている。数メートル後ろ右の店の陰にいる」
「え、なんで?だれ?こわ」
オウルが恐怖を感じて早口になっている。そんな中ルークは冷静である。
「たぶん俺をつけているな、アイツ。オウルは少し遠回りして先に事務所に戻っていてくれ」
「オ、オウ。わかった。でも、ルークは」
冷静なルークに驚いてオウルまで冷静になってきた。2人でボソボソと会話を続ける。
「俺は大丈夫だ。それよりオウルも一応後ろに気を付けておけ」
「りょ、了解」
「じゃあ、次の十字路を俺は左に、オウルは右に。帰り方はわかるな」
「おう、ルークも気を付けるよ」
そういって2人は別れた。
後ろをつけていたソレは2人が別れたのを確認した後、後を追っかけるように左に曲がった。
ルークは人を避けて、避けて、避けていった。
一方、後をつけているソレは人を避ける気が感じられない。人にぶつかっても謝ろうともしない。ぶつかった人はよろけたり、睨んだり、倒れてしまう者も。
そんな中、ルークがスッと路地裏に入って行った。
後をつけるソレも当然その路地裏に入る。ルークが曲がっていったその路地裏に。だが、その路地裏にルークがいない。後をつけていたソレはしばらく考え込んでからその路地裏を進んでいった。ルークが奥に逃げたと考えたのだろうか。
しばらく進み完全に人目が無くなったその時、ソレが気づいた。
足元にルークの傘が落ちていることに。
刹那、後をつけたソレが背後からの危険に気づいた。その背後にバッと向く瞬間。手が伸びる。後をつけていたソレの顎と頭に手が伸びて。その顎と頭を鷲掴むと。ひねる。捻る。後ろから縦に。顎を上に。頭を下に。人間なら首が折れる捻り方である。人間なら。
バキッと折れる音がして、ガシャンと鉄の塊が硬い地面に落ちて鉄くずが散らばる。
残った体は軽く痙攣をしている。首からは小さく火花が飛び散る。ギギギと軋むような機械音がする。
ルークを追っていたのは人間ではなかった。人型の機械がフード付きのロングコートを身にまとっていただけであった。落っこちたのは頭にあたる部分で赤い目がピントを合わせるように中の絞りを開け閉めしているのが覗ける。
体にあたる部分は軽く痙攣した後に動きを完全に止めて前へ倒れていった。
ルークはそんな機械を冷たい目で見つめていた。
驚きは見えない。ただただ無機物を見つめる。
冷静さの中にほんの少しの怒りが垣間見えた。
ルークは傘を拾って路地裏を歩いて行った。
更新が少し遅れました(僕の中では少しです)
心の中では毎週更新と思っていたんですけどね、毎週って難しいです(僕にとっては)
ちなみに学生である私は絶賛テスト期間突入中なので、また更新止まります。
せっかくこれから話が大筋に乗って行くところなんですが、これはテストが終わってからのお楽しみで(笑)テスト頑張ります




