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何かやってしまいましたか?

「おい! なんだこれ!」


突然のAクラスの生徒の来訪にFクラスがざわめき立った。

しかも、今話題のあの人だ。


「よ! 有名人のご登場やな!」

「アイツに任せたアタシたちが悪かったのかもね……」

「アイツは学園に来てねえし! お前らなんか知らねえか!」


"アイツ"とは俺のことだが、今はライアンとしてこの場にいるので、気付かれてはいない。

目の前にいるのに自分の話題をされるのはソワソワしてしまう。


「ウチらもまさかやで。国を動かすとはようやるわ」

「確かにアイツならコネもありそうだけど、そこまでするかって感じよね」


実際のところは、俺が直接頼んだわけではない。

カイルの功績を広まることは、俺だけではなくこの学園にとっても益のあることだ。

ということで、学園長に動いてもらった。

そこで王様から直々にガレリア学園の生徒の活躍だとお褒めの言葉を出してもらえた。

そこでは流石に個人名を出すほどの話にはできなかったが、逆に誰の話なのかと注目度を上げることになる。

そこで号外の発行だ。


「それにこの記事の書き方! 盛りすぎだろ!」


カイルが手に持っていたのは、その号外として配られた新聞だ。

その一面にはデカデカと「新たな希望の星の誕生!」と書かれている。

うん、俺の願い通りで素晴らしい。


「嘘は書かれてないんやけどな」

「"レッドドラゴンを倒した時の姿はろくに防具を付けていないにも関わらず無傷だった"ってね……」

「ほとんどリマのおかげだろ! なのにこの書き方だとまるで俺が防具なしでも無傷で済むくらい強いと誤解されちまう」

「ちゃっかりあの運送会社の人のインタビューも載ってるのがな。あの人も見たままを話したら、そうなるやろし、上手い書き方やな」

「でも、なんかこれは違うだろ!」

「アイツ自身のコメントも厄介ね。"自分が出るまでもなく、彼が倒してくれました。今回は僕はサポートを行うだけで、彼が一人で倒しています。同年代にも彼のような強者が出てきているので、自分も追い抜かれないように頑張ります"って、なんだか速攻で倒したようにも聞こえるわね」

「レッドドラゴンを一人で倒すなんて普通はありえへんしな。そりゃこんだけ話題にもなるで」

「一人って言ってもあんだけお膳立てされてサポートしてもらえたら、そりゃあな……」


俺自身も実績に絡まないと、学園長の条件を達成したことにはならないし、そこはコメントを出させてもらった。

まだ俺の方が上ですよーということを匂わせることで、国民からの期待を裏切ってはいないだろう。

むしろ想像の余地を残すことで、俺の実力も高く評価してもらえるはずだ。

学園長にも今回の内容で条件を満たせていると認定してもらえたのでミッションクリアだ。


「ま、ちょっとやり過ぎだとは思うけど、アンタの手柄なのは間違いないんだから胸を張りなさいよ」

「せやせや。あんだけ死にそうになっても戦い続けたのは、アタオカ……あいや、アンタの実力や!自信持ってええと思うで」

「そ、そうか……?」


実際に現場にいた二人からのお墨付きも貰えて、カイルも今の状況をだんだんと受け入れつつあるようだ。


「……貴方が国王が褒めてた人?」

「せやで! ウチらも頑張ったんやでー」


ミーシャも会話に加わってきた。

他のFクラスのメンバーは自分たちとはあまりにも違う存在だと感じて、遠目に見るばかりだったが、ミーシャは大人しそうに見えて肝が据わっている。


「あ、ああ、一応そうなるな」

「……すごい。なぜ困ってるの?」

「俺はそこまですごくはねえんだ。嘘吐いてるみたいで落ち着かねえんだよ」

「……嘘なの?」

「いや、嘘じゃねえ、嘘じゃねえんだけどよ」

「……なら大丈夫。正当な評価」

「そう、なのか?」

「まあそうね。逆にレッドドラゴンを倒してたって正当に評価されてない人もたくさんいるわ。現にアタシだって倒したことはあってもここまで有名にはなってないじゃない?」

「確かに聞いたことはなかったな」

「同じことをやってても見せ方ってのも重要なのよ。ただ倒しただけじゃ誰の耳にも入らずに、書類上で処理されて終わるだけ。でも、アンタは名前を売りたかったんでしょ?テオはやり過ぎだったと思うけど、でも目的から考えると悪くない結果だと思うわ」


わかってるじゃないか。

人の記憶に残るにはストーリーが重要だ。

俺は勇者の息子というステータスがあるから、やりやすかったが、普通はそういう訳にもいかない。

レッドドラゴンを倒したこと自体は偉業と言っても過言ではないが、今までにも倒されてきている。

いちいち話題にするほどのことではない。

だからこそ、学生がやったとか、一人でやったとか、無傷であること、防具を付けてないことなど、色々な要素を掛け合わせてオリジナリティを作り出す。

その上で俺のように知名度のある人のパーティとして行うことで、その実績は広く知れ渡ることとなる。


「そうか。そうだな! よっしゃ! やってやったぜ!」

「よっ! その調子や!」


カイルは納得したようで満足げに教室から出ていった。

よし、これで俺は商売に集中しても良さそうだな。

俺の戦いはここからだ。


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