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下克上

「このまま舐められてていいわけねえだろ!」


俺がライアンの姿で、いつも通りFクラスに登校すると、またボウズ頭のコニーが騒ぎ立てていた。

やれやれ、いつものことかと思っていたが、どうやら今日は雰囲気が違う。


「そうだ!俺たちだって黙ったままじゃねえぞ!」

「やられたらやり返す!」

「入学試験がなんだ!アイツらだって同じ一年だ!」


コニーだけでなく、他の生徒たちも同様に盛り上がっているようだ。

何があったか聞いてみたいところだけど……

周りを見渡すと騒ぎを遠目に見ているアイナが目に入った。


「あの騒ぎは何?」

「ああ、あの徴収金の件でね、このまま黙って金を渡すのは癪だから、みんなでCクラスに乗り込もうとしてるのよ」


しまった。

もう金を払わなくてもいいことを伝えないと無駄な争いが起きてしまう。


「あ、あの!昨日Cクラスの人に言われたんだけど、もうお金は払わなくていいらしいよ!」


俺が声を上げると、すっと騒ぎは静まったが、人の合間をぬってコニーがこちらへとやってきた。


「ああん?なんでテメエがそんなこと知ってんだよ」

「えっと、偶然会って、皆んなに伝えるように言われたんだ」

「そうか、金は払わなくていい。それだけか?」

「え?う、うん」

「それじゃあ俺たちは舐められたままだ! アイツらの匙加減で状況が左右されちまうなら、そんな状況に意味はねえ!」


コニーの叫びと共に周りの熱気もまた上昇する。


「ここでアイツらが言うことを受け入れたら俺たちはずっとこのままだ! まだ俺たちの学園生活は始まったばかりだ! 残り3年間ずっとビクビクして過ごすのは嫌だろ!」

「「「おお!」」」

「勝負を挑んだって負けるかもしれねえ。でも、やられたっていいんだ! ここで立ち上がらないでいつやるんだ!」

「「「おおおお!!!」」」


マズい。

教室内のボルテージは最大限まで高まっている。


「行くぞ!」


もうこの勢いは止められそうになかった。

コニーたちは声を上げて教室を飛び出していった。


「行っちゃったね」

「た、大変だ! 止めないと」

「ライアンじゃ無理やろー。あんだけ湯気出してるヤツには触れたらあかんで」

「……やらせてみればいいと思う」


リマやミーシャは教室に残っていたが、止める気はないようだ。


「みんなはここに残ってるの?」

「アタシは別にCクラスだろうと舐められるとは思ってないしね」

「ウチは戦い向きの能力じゃないからなあ。こういうところでは出張ってもしゃーないんよ。まあ観戦はするけどな」

「……私は興味ない」


理由はそれぞれだが、みんなFクラスには似合わない実力を持っているがゆえの余裕かもしれない。

結局はこの世界では自分の立場を作るのは実力なのだ。


「で、でも、無理な戦いをしてもしょうがないじゃないか! アイナ、止めるのに協力してよ!」

「どうして?」

「え?」

「勝てないかもしれないのはアイツらもわかってるんだし、やらせておけばいいじゃない。もしも勝ったらそれだけ評価されるんだから、失うものもないでしょ?」

「そ、そんなこと言っても怪我をするだろうし……」

「まー、アンタは戦いとかやったことなさそうだけど、怪我なんて皆んなするもんよ。それにうちのクラスにはリマがいるんだから、最悪の事態にはならないわよ」

「せやせや。まあ最悪の一歩手前までは見てみたいけどな」

「……リマはドS」

「あっ!言ってもーたな!でも、ちゃうで、別にウチがいたぶるわけやないし、ドSとは違うで!なあ?」


ダメだ。

彼女たちには頼めなそうだ。

わかってはいたことだが、俺の感覚がだいぶズレてしまっている。

今の姿では戦いをしたことがないからわからないと思われたようだが、俺だって人並み以上に戦いの中に身を置いてきた。

怪我をすると痛い。

だが、そんなのは当たり前に避けたいもんだ。

しかも、彼らは俺と違って防御力が低いんだから、ダメージを受けやすい。

それなら無駄な戦いは避けた方がいいに決まっている。

簡単な話だと思うが、どうしてこの感覚がズレてしまうのだろうか。


「とにかく、僕は止めに行ってくる!」




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