Fクラス対Cクラス
俺はすぐに後を追ったが、すでにCクラスへの殴り込みは行われてしまっていた。
「テメェら!表出ろ!!」
もちろん、この学園での決闘は認められている。
しかし、校舎内で威力が強い魔法を使うことは禁じられているので、全力で戦うためには校庭に出る必要があった。
教室の窓から次々と生徒たちが外に飛び出していく。
「あ、あの! 無駄な戦いは辞めましょうよ!」
俺の声は誰にも響いていないようだ。
そもそも"無駄な戦い"という概念が彼らにはないのかもしれない。
なぜそれがわからないんだ。
しかし、戦いに狂った世界の住人たちには通じない。
仕方がない。
それなら同じ土俵に立ってやろう。
「中級火炎魔法!!」
「し、初級火炎魔法!」
すでに中級までを使いこなせる人が多いCクラスに対して、Fクラスは使えて初級魔法であり、魔法を使うことすらできない人も多く見られる。
「舐めるんじゃねええ!!!」
1番気合が入っているコニーも魔法は使えないようで、拳一つで戦っている。
しかし、当然のことながら、全く相手にもなっていない。
もうこれ以上やる意味はないだろう。
「そこまでだ」
俺はテオとしてみんなの前に現れて、重力魔法を使い、両クラスをまとめて地面に縛りつけた。
「くっ、そ……、なぜ、止める!」
「周りを見てみろ!これ以上戦うことに意味があるのか?」
Fクラス側の生徒たちはすでに戦闘不能になっている人が多い。
さらに、Cクラスを押さえつけることができるギリギリのレベルで放った重力魔法だったため、耐久力に劣るFクラスには、それが原因で気絶してしまったヤツもいる。
「まだ、終わってねぇっ……」
「なぜそうまでして続けようとする」
もう勝敗は決している。
これ以上は怪我人を増やすだけだ。
Cクラスの生徒たちは戦う理由を失って既に戦意を喪失している。
「俺は諦めねぇ……
力が弱くたって、魔法が使えなくたってやれるんだってとこを見せてやる!
そうじゃなきゃ、この先の人生ずっと舐められたまま生きろってのかよ!」
コニーの悲痛な叫びが響く。
目の前に広がる光景を見て、俺は生徒会長が言った意味を少し理解した。
圧倒的な力の差はあまりにも無慈悲に現実を突きつける。
しかも、戦いが全ての世界で戦うことを奪ってしまうと、他の役目が見つけられない。
みんなそれ以外の生き方がわからないのだ。
やはりこんな世界は悲しすぎる。
俺が目指す世界は、力が強かろうが、頭が良かろうが構わない。
芸術センスがあったり、人を笑わせるのが得意だったり、みんながそれぞれの強みで活躍できる世界だ。
そのために、Fクラスのみんなには申し訳ないが、一度俺の力で心を折らせてもらう。
「これでも、まだ続けたいか?」
雲を貫くほど空高く、校庭一面を覆うほどの超級火炎魔法を放ってみせる。
これを校庭目掛けて放っていれば、FもCもまとめて焼き尽くされるだろう。
「くそ……こんなの、ずりぃだろ……」
もうそれ以上の声を上げる者はいなかった。
ライアンとしてFクラスに戻ると、葬式会場のように皆が落ち込んでいる。
葬式というのはあながち間違ってはいない。
武力では敵うことのない、圧倒的な存在を目の当たりにし、その道を選択することはできないだろう。
Fクラスになった時点で覚悟していたものも多いはずだが、それでも改めて世界の皆が目指す道を歩めないと突きつけられるのは精神的に堪えたはずだ。
「あの、みんなちょっといいかな?」
ここまでやってしまった責任は取らないとな。
「……なんだよ、今は黙っててくれよ」
あのコニーも今は元気がない。
それだけ言って、また俯してしまった。
だが、俺はここで辞めるわけにはいかない。
「みんなに"力"をあげられる方法があるよ」
俺はみんなが自分に自信を持てるような居場所を作りたい。




