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特典用SS:セレスの午睡

セレスティーノのうたた寝タイム。

「セレスさん、起きてください!」


 好きな子の声で起きるとか、最高だと思う。結婚したらこんな風に毎朝起こしてくれたりして……なんて、夢想しながら目を開けると、見知らぬ天井を背景に、ルチアが笑っていた。


「おはようございます。朝ごはんできてますよ!」


 朝ごはん?

 ルチアと食べるのは昼ごはんばかりだというのに、朝ごはんとはどういうことだろう? でも、たしかになにかいい匂いがする。

 怪訝に思いながらシーツに手を突き身体を起こすと、いつものエプロン姿のルチアがニコニコ笑いながら手を伸ばしてきた。


「ふふ、寝癖ついてますよ」


 前髪を直されて赤面する。なに、なんなのこの都合のいい話! 夢? 夢なのか?

 夢なら、覚めないでほしい……。

 俺の願いが通じたのかわからないが、願望が爆発したようなその都合のいい夢は続く。


「さ、起きてください! 一緒に食べましょ? 今日はセレスさんの好きなお豆のスープですよ。パンもね、焼いてみたんです。木の実を混ぜてみたんですけど、感想聞かせてくださいね?」


 手を引かれて寝室を後にすると、ダイニングらしい部屋へと通される。完全に俺の住む単身寮とは違う光景だ。見たことない調度品だったが、どれもあたたかく、居心地がいい。ルチアがいるせいだろうか。

 促されるままテーブルに着くと、笑顔のルチアが朝食を運んできた。


「はい、どうぞ」


 パンとサラダとスープというありふれた献立だったが、彼女の手料理かと思うだけですごく特別に感じるのはなんでだろうか。


「おいしいよ」

「よかった!」


 やばい、笑顔がまぶしすぎる!

 そこには理想の生活があった。可愛いお嫁さんに居心地のいい空間。穏やかな時間。きつい香水の香りはなく、代わりにおいしい食事の湯気と、爽やかな薬草(ハーブ)の香りが部屋に満ちている。


「今日は国境まで行くんでしたっけ?」

「うん、バチスからの使者を迎えに行ってくる」

「気を付けてきてくださいね。あの……」


 食事が済み、身支度を整えていると、マントを手にしたルチアがやってきた。剣帯を締めた俺の肩に、ふわりと青いマントがかけられる。


「さみしいから、早く帰ってきてくださいね……」


 電流が奔ったかと思った。上目遣いでそんな可愛いこと言われたら、どうしていいかわからないよ!

 思わずその柔らかい身体を抱きしめると、ふわりと石鹸のいい匂いがする。


「セレスさん!」

「ん?」

「起きてください!」


 え? 起きて? 起きてるよ、なにを言って……。


「って、え?」


 目を開けると、青空を背にしたルチアの顔があった。


「よく寝てましたね。でも、そろそろ起きないと午後の鐘が鳴っちゃいますよ」


 夢と同じ笑顔で、ルチアが笑う。夢……そうだ、夢だったのか。

 覚めてしまった幸せな夢を少し残念に思いつつ、けれども君がいてくれる現実に幸せを感じた。

絶賛片想い中のセレスティーノの夢は、なんていうかこう……願望に満ち溢れていますね笑

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