表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/87

第74話 傲慢の女王

 以下はジルヴァから聞いた話。


 ビューンと空を飛んでいっておれたちと別れ、城に無断侵入したジルヴァ。

 すると即座に発見されて、アリと人間を足して二で割ったような二足歩行のアリ兵士が群がってきた。


「やっほ~あたしのこと分かる? ミチコに会いたいんだけど~」


 といつものノリで話しかけるも、アリ兵士は最低限の知能しかないらしく対話不可能。

 それどころか単なる侵入者とみなし彼女に襲いかかってきた。

 そこでジルヴァは 仕 方 な く 反撃し五、六体を宝石の山に変えてしまう。

 そしてホクホク顔……もとい命を粗末そまつにしないため 仕 方 な く 宝石を回収していると次なる獲物えもの……もとい警備主任に遭遇そうぐうする。


「もし、そこのお方、もしや『水銀』のメルクリウス様では?」


 話しかけてきたのは二足歩行のカマキリ人間だ。

 顔は大きな白い仮面をかぶっており、まったく分からない。

 仮面が邪魔をしているのか、にごった女の声を出してくる。


「ええそうだけど、貴女は?」

「申し遅れました。私は女王アナスタジア様をお守りする三騎士の一人、『白面』のマンティースと申します」


 言葉づかいはまともだが、正体不明の仮面と濁った声がどうにも不安感をあおってくる。

 いつ両手のカマで攻撃してきてもおかしくないような危うさを感じた。


「そう。それじゃあマンティース、あなたの女王様に会いたいんだけど案内してくれる?」

「うけたまわりました。しかし急のことですのでまずは別室にご案内いたします」


 言葉どおりマンティースは豪華な一室までジルヴァを連れて行き、しばし待たせた。

 そして荘厳華麗そうごんかれいな玉座の間へと案内される。


「久しいなメルクリウス。息災そくさいであったか」


 ムダに大きな玉座で傲慢ごうまんにふんぞり返っている旧知の女を見て、ジルヴァはげんなりした。

 なにが「息災であったか」だ気持ち悪い。

 虚栄心きょえいしんにみちた巨大な玉座とこの部屋。

 けばけばしいドレスと厚化粧あつげしょう

 クッソえらそうな態度とセリフ。

 いい年ぶっこいてあまりにもこじらせすぎである。

 おたがい元・人間として、たまらない恥ずかしさを感じた。『共感性羞恥きょうかんせいしゅうち』というやつだ。


「あのねえミチコ、そういうのカッコ悪いからやめなさいよ」


 場の空気感を無視したジルヴァの発言に、『女王クイーン』アナスタジアのほうもヒクッ、と顔をしかめる。


「今のわらわは『女王クイーン』アナスタジアであるぞ。貴様のほうこそいつまで前世にとらわれておるか。そろそろ己の立場をわきまえよ」


 一人称がわらわときた。

 言葉の端々(はしばし)からも異常なほど気取っていることがうかがえる。

 どれだけ自分の心を見栄とウソで塗り固めているのやら。

 いよいよ心の病は深刻だ。


「フーン、あたしとあんた、おかしいのはどっちのほうかしらね」


 肩をすくめて冷笑するジルヴァ。

 自分を侮辱ぶじょくするその態度をみて、アナスタジアの表情が硬くなる。

 同時に周辺で整列していたアリ兵士たちが殺気だちはじめた。

 一触即発かと思われたが、一人の男が鼻で笑うのをきっかけに危険な空気は消え失せる。


「フッ」

「あらジークじゃない、いつからそこにいたのよ」

「俺の気配に気づかないのは、この世でお前くらいだ」


 男はべつに隠れもせず太い柱によりかかっていた。

 同じ超上級天使、『偽聖剣』のジークだ。

 やる気なさそうによりかかっていても、彼の全身からは恐ろしげな紫色のオーラがただよっている。

 これに気づかないのはやはりおかしい。


「アリスもどこかにいるはずだ。あとで声をかけてやれ」

「ゲッ、あいつも来てんの! だったら来るんじゃなかったわ~!」


 この場にはいないもう一人の超上級天使の名前も出てくる。

 二人のあいだで会話の流れになってしまたので、戦闘が始まりそうだった空気はどこかに消えていく。

 これで超上級天使が四人。

『水銀』のメルクリウスことジルヴァは違う理由で来たわけだが、それでも三人。

 いったいどういう理由でここに集まっているのか。


「え~っとアナスタジアさん? こんなに集めてあんた一体なにをたくらんでいるのかしらぁ?」


 話が先に進まないのであえてミチコとは呼ばずアナスタジアと呼ぶジルヴァ。

 傲慢ごうまんな女王は陰惨いんさんな笑みを浮かべた。


「このところ人間どもが少々浮かれておるようなのでな」


 女王は右の手のひらを目の前に出し、それをギュッとにぎる。


「おのれの分際ぶんざいというものを分からせてやらねばならぬ。それこそが天使たる我らの崇高すうこうなる使命!」


 つまり集めた軍勢で人間勢力に戦争を仕掛けると。


曖昧あいまいね。標的ターゲットを具体的に言ってくれる?」

「東京の政府残党軍! ついでに関東全域を無垢むくなる更地さらちにしてくれようぞ!」


 ジルヴァの顔色がさすがに変わった。

 関東全域。

 それはつまり彼女がこれまで人間と共に歩んできた生活、そのすべてが破壊されるという意味だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ