表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/70

第67話 そこは能力主義のディストピア

 川を渡ることで一時間程度のショートカットができたのは皮肉というかなんというか。

 おれたちは夜明けまでしっかり身を休めてから出発した。

 で、途中合流した合体スライムを屋根ルーフのうえに乗っけて車を走らせていたところ、意外すぎる協力者たちが現れた。

 山林に巣くう野良スライムたちである。

 

「ピー!」

「ピー!」


 木の上や草むらから飛び出してくる小さな野良スライムたち。

 けっこう数が多くて運転しながら目視できただけでも30体以上いた。

 紫織スライムとの大きな違いは、色がくすんでいてあざやかじゃないという点。天然の動植物をエサにしているからかな。


『ピッピッピー!』


 合体スライムは屋根の上でどことなくえらそうな声を出している。

 そして野良スライムたちは偉そうな声に反応して身体をプルプルゆらしていた。

 これはもしかして野良スライムたちから王様認定されてしまったという話だろうか。


『ピピッ!』

「ピー!」


 なんだかよく分からないコミュニケーションの直後、野良スライムたちは四方にねていった。

 合体スライムは我が愛車の屋根にドスンと座って微動だにせず。

 まるで玉座で威をはるキングのごとし。

 いったいなにが始まるんです……?


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


「ここか……!?」


 長いような短いような追跡行ついせきこうのはてにたどり着いたのは、想像をはるかにこえる規模の都市だった。

 大きさだけだったら世界崩壊前の地方都市と比べても負けないくらい。

 はるか遠くに白い巨城の姿が見える。

 白い宮殿。白い城壁。白い巨塔。

 ファンタジックなデザインの、いかにもなお城だ。

 もしかしなくてもあそこが『女王クイーン』とかいうここのボスの居所だろう。

 一方、城の周辺に広がる広大な都市は無惨むざんなものだった。

 ひとことで言うとザ・廃墟はいきょ

 Z-ウィルスによるゾンビパニックの結果を放置しているとしか思えない状態。


 すごい格差を感じた。

 光と闇。白と黒。貧と富。その他なんでもいい。

 とにかくちょこっと見ただけでとんでもない差が見て取れる。

 おれたちは異様な気配に圧倒されてしまったが、しかし逃げるわけにはいかない。


「行ってくれカズヤ。慎重にな」

「はい」

「スライムも、周囲の警戒をおこたらないでくれ」

『ピーッ!』


 鉄男さんにうながされて、おれたちは街の中に入る。

 心底不思議なのは、普通の人間たちをやけにたくさん見かけることだった。

 ボロボロの衣服を着た人々が、路上で物々交換などをおこなって当たり前のように生活している。

 まずしいながらもここの人々は地に足のついた生活を送っているように見えた。


「どーなってんだこりゃ……?」


 おれたちは首をかしげながらさらに先へすすむ。


「なあジルヴァ」

「は~い?」

「ミチコとかいう人はどういう人なんだ。ここの女王様ってことでいいんだよな?」

「ん~、前に話したことでほとんど全部よ? 学者で、上昇志向のかたまりみたいな女。あんまり仲は良くなかったな~」

「こういう格差社会を作りそうな感じ?」

「ん~」


 ジルヴァはしばし虚空こくうを見つめながら熟考じゅくこう

 そして。


「やるかもね。『この社会はおかしい。エリート層が高い税金払って弱者のだいになるなんてバカげている』って、そんなことを昔いっていたわ」

「あーそういうタイプか―、なるほど」


 自分の力で生きられない奴は〇ね。ってそういう意見もあるよなー。

 高収入の人ほどブッ高い税率でしぼりとられていたらしいから、イヤになる気持ちは想像できる。

 あくまで想像だけね。


「んじゃこの街は弱者切り捨て御免ごめんの、超実力主義社会ってことか」


 白い巨城の姿がいよいよ視界内を圧迫あっぱくしていく。

 もうすぐ到着だ。  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ