表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/69

第57話 帰ってきちまったな

 とりあえずお客さんたちに今後のことを聞いてみたところ、「もう危険な旅はしたくない」ということだった。まあそりゃそうだ。

 けどこの基地にずっと住んでもらうわけにはいかない。そこまで食料の備蓄びちくは無いし、野菜の生産力だって限界があるんだ。

 だからお客さんたちが選ぶべき選択肢はふたつ。

 別の土地に移住いじゅうするか故郷に帰るかだ。

 さいわい移住先はある。錬金術研究所ともう一つの街が。

 しかしお客さんたちの答えは「できれば帰りたい」だった。

 本心ではしたしんだ場所で安心して暮らしたいのだと。新しい土地は対人関係などが不安だと。


 うん。その気持ちはわかる。

 だけど今現在発生している問題を解決しないと、安心した暮らしってのは取り戻せないよな。それ、実行するのはおれたちっていう流れになっちゃうよなあ、多分。

 

 結局、おれたち四人が先に鉄男さんたちの故郷に行き、現地を見てなにができるかを判断する。

 そのあとで今いる十人の客や、まだ現地に残っている人たちのあつかいを考える。

 必然的に基地をしばらく客たちにまかせる形になってしまうが、セキュリティ関係はコンピューター制御でガチガチに守ってあとは彼らの善意ぜんいに期待するしかない。

 こんな感じに決まる。

 ジルヴァだけでも基地に残って、研究をつづけながら彼らの監視もやってもらおうかって意見もあった。

 けど、彼女のもつ圧倒的な知識量を現地で生かせないのはキツイということで、四人そろって行くことになったんだ。


 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


 かつてはアスファルトで完璧に舗装ほそうされていたであろう、荒れはてた道路。

 樹木じゅもく侵食しんしょくされて廃墟はいきょ……、というよりもはや『家の残骸さんがい』とでも言うべき存在がたちならぶ住宅街。

 そしてなによりかつて地域の住民だったゾンビたち。

 彼らのペットだったイヌやネコその他、小型獣のゾンビ。


 そんな空間をいくつか突破し北上していくうちにだんだん農地が増えてきて牧場なども発見する。

 そこで野生化した家畜かちくとバトルになるも、貴重な新鮮食材をゲット。


 今のおれたちは自動車やバイクを使った移動なのでそれほど大変でもない。

 でもかつての鉄男さんたちや、基地に残してきた客たちは、これを歩いて突破してきたんだよな。

 しかも銃も剣もなし。かすり傷一つでZ-ウィルスに感染してアウトという狂気的難易度ルナティックモードで。


「すごいね二人とも。こんな大変な思いして基地まで来たんだ。おれどんな旅だったのか考えたこともなかったよ」

「人間、死ぬ気でやればなんとかなるもんさ」


 皮肉な笑顔で微笑ほほえむ鉄男。無言で物思ものおもいにふけってしまう紫織。

 とんでもない苦行だったはずだが、二人はあえて言葉にしない様子だった。


「さあ、それよりも、見えてきたぜ」


 目の前に長大なさくがならんでいる。街そのものをグルっとかこむ大規模なものだ。

 鉄骨だったり、木造だったり、素材や高さはバラバラだった。

 きっとゾンビと戦いながら必死に作った柵なのだろう。

 死人も何人も出したにちがいない。

 だから素材をそろえるとか、緻密ちみつな設計をもとにきずくとか、そういう余裕よゆうぶった行動ができなかったのだ。

 粗雑そざつにして厳重げんじゅう

 矛盾むじゅんした荒々(あらあら)しい風情ふぜいの街に近づいていく。


 鉄男さんが紫織にポツリとつぶやいた。


「……帰ってきちまったな」

「うん」


 大原兄妹は複雑そうな視線で故郷を見つめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ