第53話 同居人がガーデニング(?)をはじめた
ボコッ!
紫織の手に乗っていた小さなスライムは、なにを思ったか突然おれに飛びかかり体当たりしてきた。
「いだっ!?」
ボコッ! ボコッ!
「あだだっ! なにしやがんだ!」
「あららだめよスラちゃん」
紫織が抱きかかえても、スライムは小さな身体をブルブルふるわせて興奮状態。
「こいつ、敵味方の識別できてねーぞ!」
どうやら紫織のことは味方だと思っているようだが、おれには明らかに敵意を見せている。
ジルヴァが肩をすくめながらあまりフォローになっていないフォローをいれた。
「まーありあわせの素材で作ったヤツだからねー。最初はこんなモンよ」
「素材って?」
「コ・レ」
ジルヴァは懐からジャラジャラと安物の宝石を取り出した。
これらはジルヴァの錬金術で宝石と化したゾンビモンスターの成れの果てだ。
「冷蔵庫に入ってた肉と水と宝石を化合して生まれたのがこのスライムってわけ」
「そんな適当な素材で良いのか?」
「質を問わないならね。あんたが戦ったウマ男みたいな、人と動物のミックスなんかを作るならもっと厳選しないとダメよ」
「……ぶっちゃけアイツは人とウマの悪魔合体だよな?」
「そーいうこと」
おれとジルヴァがこんな会話をしているうちに、スライムは鉄男さんの肩に乗ってスリスリと頬ずりしていた。
紫織と鉄男の二人のあいだで、スラ公はなんだかほのぼのとした空気感を出している。
「なんで鉄男さんには懐いてんの!?」
「いやなんでと言われても」
「匂いとかですかねえ? 兄妹だって分かるんじゃないですか?」
「ぐぬぬぬ」
ちなみにおれには敵対的なこのスライム。
ジルヴァのことは 怖 が っ て い た 。
格の違いみたいなものが分かるらしい。
「まっ、ともかく今後は素材集めのために出かけることも増えるから、そのへんヨロシク」
ジルヴァはそういって地下を出ていった。
なんかだんだん「おれの家」っていう印象が薄くなってきたな。
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後日。
ジルヴァは基地の外に植林をはじめた。
もちろん普通の木じゃなくて、天使の力をもつ木だ。
「こいつが大きくなったら、触手のばしてゾンビや野良の獣を勝手に捕まえるようになるのよ。自動で素材が集まって便利だから期待してなさい」
「ドラクエに人面樹っていうモンスターがいたな……」
「アハハ、そんな感じよ」
今はまだウゾウゾうごめく不気味で小さな植物。
一年後この基地がモンスターハウスになってないことを祈るぜ。




