第50話 夜空に輝け中二病
鉄男さんが復活した。
だから、っていうわけでもないんだけどおれたち四人の生活は男女で真っ二つに分かれるようになった。
ズバリ、おれは鉄男さんに剣道を習っている。
勝さんに託された新兵器『レーザーブレード』をはやく使いこなせるよう強くならなきゃいけない。
……まあぶっちゃけ、カッコつけるのをやめて鉄男さんに使ってもらったほうが現在あきらかに強力ではある。
だけどせっかくおれにまかされた武器なんだ。
自分で使えるようになりたいってのが、人情だろ?
だから日々気合を入れて鉄男さんの指導を受けつづけた。
そして紫織とジルヴァの女性コンビ。
こちらは地下のよくわからん研究施設にこもって毎日機械の動作確認やら試運転やら、いろいろと試しているようだ。
ジルヴァも専門職じゃないから完全にはあつかえないそうだが、それでもおれたちの中ではブッチギリで詳しい人材だ。まかせてみるしかない。
こんな感じで基地に戻ってきたおれたちは、わりと平穏な暮らしをしていた。
こんな物騒な世の中だ。
安心とか安全みたいなものがある生活をしていると、この基地がやっぱりおれの家なんだなって実感がわいた。
どことなくノンビリマッタリした気分で日々をすごしているおれたち。
今までずっと生きるか死ぬかの連続だったからな。修行も研究もマジメにやっているんだが、なんとなく心の中が平和だ。
そのうちまた戦いの日々がはじまるだろう。
今はその時にそなえての充電期間だ。
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ある日の夜。
おれは屋上でレーザーブレードの素振りをやることにした。
あまり真面目な思考からじゃない。
急に中二病的な衝動にかられたんだ。
だってカッコイイだろ、光る剣だぜ!
暗い場所でやったほうがイイと思ったんだ!
「ベル、レーザーブレードを起動してくれ」
『はぁいかしこまりましたぁご主人様』
勝さんから受け継いだ元脳内コンピューター『ベル』が妙に甘ったるい声で返事をする。
言っとくがおれの趣味じゃないぞ。
『ノヴァ』と『ベル』が同じ声じゃまぎらわしくて混乱するから、別の音声パターンにしてくれって指示したらこうなったんだ。
けっしておれの趣味じゃない。違う違う。
暗い屋上でおれは光剣をブンブン振りまわす。
気分はジェダイの騎士だ。
昔リアルスケールのライトセーバーが数万円で売っていたそうだが、あれは叩いたら壊れるニセモノだ。
こっちはホンモノだぜ。マジでスゲー!
ハイテンションで十分くらいブンブン振って遊びつづけた。
「ハア、ハア」
息がつづかなくなって終了。
真っ暗闇のなか、鉄柵によりかかって休憩していると他の誰かが屋上に姿をあらわした。
「あらカズヤじゃなーい、ハロー」
ジルヴァだった。
彼女も就寝前にすこし夜風をあびたくなったのだろうか。それとも星を見上げたくなったのだろうか。
「こんな所で自主トレーニング? ずいぶん頑張ってるじゃない?」
「いや、ちょっと遊んでただけさ」
ジルヴァはなにげなく近づいてきて、おれと同じく鉄柵にもたれかかった。
「そういえばあんたにちょっと聞きたいことがあったのよ」
「なんだ」
「あんたの本当の名前について」
ドクン、と心臓が強くはねあがった。
「鉄男から聞いたわ。あんた以前はゼロワンって名乗っていたんだって?」
「あ、ああ」
……なんだろう。大したことのない話題のはずなのに、やけに胸がざわつく。




