表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビだらけの終末世界でおれたちわりと無双界隈  作者: 卯月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/55

第47話 またな、みんな!

『ゲーム』のスタート地点だった基地へ帰る。

 冷凍睡眠コールドスリープで拘束している鉄男さんを助けに行くんだ。

 帰還メンバーはまずおれ、カズヤ。

 次に鉄男の妹、大原紫織。

 それと、ジルヴァも同行どうこうすることになった。

 理由は『偽聖剣』のジークに襲われたあの日以来、研究所のみんなと人間関係がギクシャクしてしまったから。


 ジルヴァの正体は超上級天使『水銀』のメルクリウスだった。

 彼女の正体を知っていたのは先代所長の勝さんと、ごく少数の初期メンバーのみ。

 ずっとかくされていた大きな秘密。それが敵によって明かされるという最悪の展開に住民たちの心がついていけない様子なんだ。

 勝さんの「女の過去を掘り返すな」という発言の効果があったのか、真正面から「裏切り者!」とか言っちゃう奴はいない。

 そもそもこの街が錬金術研究所として大きく成長できたのは『水銀』のメルクリウスが知恵と力をあたえてくれたから。

 つまり今の自分たちが自分たちでいられるのはメルクリウス、つまりジルヴァのおかげなんだ。

 そんな彼女が敵なわけがない。分かっている、分かっているんだ。

 しかし……。

 とまあこんなどうしようもない周囲の心境とジルヴァ本人の居心地いごこちの悪さを考え、いったん距離をおいたほうが良いんじゃないかと。そういう話になったんだ。



 出発直前。

 おれの車の前で、真美所長とジルヴァが最後の挨拶あいさつをかわす。


「ジルヴァ……!」

「やだなに泣いてんのよ、どうせすぐ帰ってくるってば」


 抱き合って友情を確かめあう二人。

 ジッと見つめているのも何だったので、おれと紫織は見送りに来てくれた他の人たちに目をむける。

 車イスに座った勝さん。壁のように整列してあつをかけてくる大柄おおがら筋肉マッチョ軍団。

 はじめのころは何だこの異常空間は! なんて思ったけれど、離れる今はなんだかさみしい。


「それでは、健康には気をつけてな」


 勝さんにそんなことを言われて、おれはちょっと言い返したくなる。


「『エリクサー(おれ)』に言いますかそれ?」

「わははは」


 ここの住民たちは『エリクサー』の効果で全員Z-ウィルスに対する免疫めんえきをゲットした。

 もうゾンビとの戦闘は怖くない。負傷したってへっちゃらだ。

 これをもっと大きく広めれば、まさに世界が変わる。

 自分の一歩一歩が世界のためになるって、なんだかすげえ事だなって興奮するぜ。


「それじゃ、行きます」


 われながらひどくない言葉を残して、おれは愛車に乗り込んだ。

 男の別れなんてそんなものだろ。

 紫織とジルヴァもそれぞれ挨拶あいさつを終えて乗る。

 さあ出発。その時だった。

 外からみんなのうたが聞こえてくる。



 マッチョ マッチョ マッチョマン

 脳汁とびだせ

 マッチョ マッチョ マッチョマン

 筋肉全開 マッチョマン

 胸の下ではぐくまれた シックスパックのマッチョマン

 厚い胸板 かたまり 燃えろ背筋マッチョマン

 負荷を乗り越え いつもきたえてくれるよ

 サイドチェストで魅せたなら  

 マッチョ マッチョ マッチョマン

 きみの胸板むね

 マッチョ マッチョ マッチョマン

 筋肉全開 マーッチョマーン!



「そんな歌で見送るの!?」


 思わずまどから顔を出すと、みんながおれに笑いかけてくる。

 ついつられて、おれも笑ってしまった。


「ははっ、またなみんな!」


 こうしておれたちは錬金術研究所をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
おもしろい 続き期待
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ