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シナリオ7 けっとう

 「おっ!今日もすごいな!めちゃくちゃ奇麗になってるし……」


 レオは枝の1つを持ち上げ、まじまじと観察し始める。その様子を取り巻きたちが早く始まんないかなぁ~みたいな表情で眺めている。

 しかしそんな様子には気づかず数十秒ほど観察を続けた後、やっと話が再開され、


 「よぉし!それじゃあみんな武器をとれ!騎士らしく、『けっとう』するぞ!」


 けっとう。恐らく決闘のことだとは思うのだが、レオが言いたいことが本当にそれなのかは分からない。

 まだ4歳だし言葉の意味もあまりはっきりとは理解していないだろうからな。

 それに、決闘というには、


 「おらおらぁ!行くぞお前たち!みんなでヴェンを倒すぞぉぉぉ!!!!」


 理不尽だからな。

 取り巻きたちに指示を出し、レオが俺に襲い掛かってくる。


《サブシナリオ『小さな頂点』が発生しました》


 「いつも通り、隙ありかな」


 俺はまずレオをすれ違うようにかわしつつ、脇腹を軽く小突く。レオはわざとらしく「ぐえぇ」と言いながらその場に倒れた。近くにいた取り巻きが配慮してちょっと離れてるな。せっかくいいコースで攻めようとしていたというのに、邪魔過ぎるだろ。

 しかし、そんなことを思ってもいられない。

 レオの指示で他の取り巻きたちは迫ってきており、


 「1,2,3,4………5,は避けられたか」


 続けざまに4人をさばいて軽くたたく。

 流れるような動作で攻めたのだが、さすがに途中で1人に止められたな。これまで何度もやってきているから、ある程度相手も慣れているし仕方のないことだ。もしかしたら数人は子供たちの中に剣術のスキルを覚えた子がいるかもしれない。


 「相変わらずヴェンは強いよなぁ~」


 「まあ、これでも智龍様の供物として日々精進しているから、ね!」


 少し年上の組が固まっているところがあったので、俺は逆にその差を活かして攻める。背丈の違いにより中に入り込まれると向こうは対処が難しく、あっという間に全滅。何人かは味方を間違えて斬ったりしていたな。


 「………………さて、残りはいつも通りかな」


 「そうだね!今日も私たちが最後だよ‼」


 「レオ様のため。今度こそ勝つ」


 次々と倒していく中で、最後に相手側に残ったのは2人。双子の姉妹だ。

 2人はレオの許嫁で、人一倍レオへの思い入れが強い。そのため、俺に勝ってレオが強いことを証明するのだと毎度意気込んでるんだ。

 しかもやる気がある分成長度も高くて本当に困る。


 「じゃあ、いつも通り俺もいろいろと試させてもらおうかな」


 「むっ!今日は何かな!」

 「何が来ても、倒す」


 この2人は高い連携力を持ち、力業ではなく研ぎ澄まされた技術で攻めてくる。だからこそ、真面目に戦うのには面倒くさく、訓練相手には非常に良いんだよな。

 俺もサブシナリオをいろいろと達成してスキルを得たりしているのだが、そのスキルで得る中には戦闘用のスキルもあったりする。ただ、そういったものを持っていても本当に俺に合うかどうかなんて分かないんだよな。そのため基本的な動きを自主練で身につけた後、この2人で実際に使って試してみるというのがよくある流れになっている。


 「今日は魔法がないから、こっちが『ゆうり』だからね!」

 「智龍様に捧げてなくなったときが、狙い目」


 「うわっ。こっすい考えしてるなぁ………まあいいけどね。それくらいのハンデがちょうどいいでしょ」


 騎士ごっこという今回のようなときには使わないが、もう少し本格的なケンカに近い戦いになる場合は俺が魔法を使う。さすがに魔法の力は強力で、それさえ使えば一方的になるものだ。

 そのため、2人は智龍ちゃんにささげて魔力がない今が勝機だと考えたらしい。

 もちろん最初から使う気などなかったのだが、向こうに合わせて挑発をしてやる。

 煽り耐性を持った幼児などそうそう居るわけもなく、


 「むかぁ!」

 「……泣かす」


 キレて襲い掛かってきてくれる。

 2人の息の合った、きれいな連携。姉が縦に剣を振り、それに対して俺がどう対処したとしても攻撃できるように妹が突きの構えを取っている。

 では、その動きに俺が対処できるのかといえば、


 「できるんだよなぁ」


 「「っ⁉」」


 まず片手に持った武器で姉の剣をそらしつつ、妹の方へ押して吹き飛ばす。

 普通なら2歳児にはできない攻撃なのだが、ここで強打のスキルを併用することで無理やり可能にしたのだ。

 妹はとっさに姉を支えようとするも、すでにその姉は俺が左手の武器で狙っていて仕留めたことになっている。

 これで妹1人だけになり、


 「あとは消化試合、か」


 武器になれるという意味も込めて、両手に持った武器をクルクルと回して連撃を行ないながらじりじりと妹の方を追い詰めていく。

 そしてかなり俺の方も武器に慣れてきたところで、


 「あっ」


 相手側が避けきれずに攻撃を受けてしまう。

 これにより俺の勝ちとなった


 「くそおおおぉぉぉ!!!!!!」

 「負けたああああぁぁぁぁ!!!!!!!」


《サブシナリオ『小さな頂点』を達成しました》

《シナリオ達成ボーナスが与えられます》

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