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シナリオ6 村の子供

 「………………ふむ。これで終わりじゃな。満足なのじゃ。また頼むぞ」


 「はいっ!もちろんです」


 智龍ちゃんの吸収が終われば、あとはこの体が転送されるだけ。

 一瞬で景色が切り替わり、気づいたときにはいつも通り俺は村の中にいた。


 「おっヴェン。戻ったのか」


 「ん?ああ。はい。戻りましたよ」


 戻ると顔なじみの村の人から声がかけられる。

 そして、

《定期シナリオ『土地神への供物』を達成しました》

《シナリオ達成ボーナスが与えられます》

 聞きなれたメッセージ。


 ここまで説明してこなかったが、このメッセージはシナリオのスキルによる効果だ。何かしらのシナリオ、というかイベントの発生や達成を教えてくれるものとなっている。

 イベントは俺の知る限り3種類。

 メインシナリオ。サブシナリオ。定期シナリオだ。それぞれ説明しよう。


 まずメインシナリオ。こちらは、おそらく俺の人生を大きく左右するイベントが起きた時に発生するものだ。今まで経験したメインシナリオは『誕生』『追放からの逃走劇』『土地神への供物』の3つ。すべて生まれてから1年しないうちに経験したもので、この数年は一切発生していない。つまりこの期間にそこまで俺の今後へ影響を与えるような出来事はなかったということだな。


 次にサブシナリオ。こちらに関しては日々の生活で、少し今後に影響があるかもしれないというものから、ほとんど関係ないだろというものまで幅広くある。村人から頼みごとをされるときなんかによくこのサブシナリオは発生して、3種類のイベントの中では1番多く経験しているかもしれないものだ。


 そして最後の定期シナリオ。これは定期的に発生して何度も受けているのだが1つしか経験したことがない。どういうことかといえば、『土地神への供物』というメインシナリオで1度経験したものと同じ名前のものが、智龍ちゃんに魔力を提供するときに発生するのだ。ただ、これ以外に定期シナリオは経験していない。


 ちなみにイベントはそれぞれ達成すると報酬がもらえる。報酬の内容はスキルか能力値の上昇だな。

メインシナリオの報酬は非常に良く、3回しか経験していないがそれぞれ良いスキルが手に入っている。今度またそのスキルなども紹介しよう。

 サブシナリオの報酬は内容によって価値がばらばらで、俺の人生の影響度が高かったり難易度が高かったりするほど価値が高い印象があるな。

 定期シナリオである智龍ちゃんへの魔力の提供は俺にとってはかなり重要な役どころでありイベントとしてスキル側も認識しているようだが、さすがに同じ内容の繰り返しであるため報酬は大したことがない。魔力が微増する程度だからな。とはいっても智龍ちゃんへの魔力の供給は俺にとって大切な仕事なので、それに副産物としてこういう報酬がもらえるのは悪いことではない。

 で、こんなに長々とシナリオのスキルの副産物について説明したのだが、


 「もうシナリオじゃないんだよな……」


 俺のスキルは、シナリオという名前から名称が変化していた。

 その名も、『智龍の使徒』だ。恐らく、シナリオというスキルは俺の人生のシナリオを示している。そのため智龍ちゃんの供物としてある程度馴染んできたからシナリオが俺という人間を主人公にした作品のタイトルとなったのだろう。

 供物になっている程度なのだが、それでも智龍ちゃんの使徒とまでなっているなんて言われると嬉しいな。


 「あっヴェン!見つけたぞ‼」


 俺が変化した自分のスキルに思いをはせ納得気にうなずいていると、幼げな声で呼びかけられる。

 幸福な時間を邪魔されてしまったわけだが、俺は一切怒りも感じずに振り返り、


 「ん?レオ君か。何か用かな?」


 「ちりゅーさまとのお仕事は終わったんだろ?一緒に遊ぼうぜ!」


 話しかけてきたのはレオ。村長家の長男の息子で、4歳の少年だ。村長家の人間ということで子供たちの中では発言権を持つ人間となっている。

 本来は俺もこのレオという子供の子分のようになる必要があったのだが、それは大人たちから止められた。なんでも、智龍ちゃんのお気に入りである俺はたとえ村長家の人間であったとしてもそう軽々しく扱ってはよくないそうなのだ。

 一応これでも村の大人たちとは良好な関係を築いてきたのだが、それでもやはり線引きはあるらしい。

 まあそういうわけで俺はレオと対等かそれ以上の関係になっているわけだが、


 「ああ。もちろん構わないよ。何をしたい?」


 「決まってるぞ!騎士ごっこだ!」


 何故かなつかれていた。

 こちとらまだ3歳にもなっていないというのに、毎日騎士ごっこという名のチャンバラやら鬼ごっこやら体力を使うものに付き合わされるのだ。

 まあ、これでもシナリオのスキルの影響でいろいろと能力値は上がっているしスキルも持っている。だから、それぞれ頭を使えばどうにかほかの子供を上回る結果は出せている。ただ、逆にその所為で余計にレオからは遊びへ引き入れられるんだろうがな。


 「では、邪魔にならないところに行こうか……あっ。もしかして他の子も参加するのかな?」


 「おう。そうだな」


 「じゃあ広いところに行った方が良いね。今日は狩りが休みだって聞いてるし、解体場にでも行こうか」


 「おう!分かった!じゃあ、あいつら呼んでくる!」


 あいつら、というのは取り巻きたちのことだな。レオが呼んで来るらしいので俺は1人先に行って待っておくことになる。

 1人で何もせず待っているのも暇なので、軽く準備をしておくか。

 レオは今日やる遊びを騎士ごっことか言っていたから、その辺から枝を拾ってくる。そして、凹凸があったりして危ないので、握るところ以外を削ってしまう。削るのは大した道具もなく地面や石などで行なうのだが、スローライフ用に『木工』というスキルを取っていたのでかなりきれいに出来上がる。

 ちなみにスローライフ用にモノづくり系統は木工だけでなく、『鍛冶』や『裁縫』、『調合』なんかも持っているぞ。


 と、そんな風に準備をしていると、


 「おぉい!連れてきたぞ‼」


 「あぁ。ちょうどいいね。こっちも枝の調整ができたところだよ」


 レオが取り巻きを引き連れてやってきた。

 俺はできるだけ安全なようにしておいた枝を並べて出迎える。


 「おっ!今日もすごいな!めちゃくちゃ奇麗になってるし……」

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