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シナリオ21 再来

《メインシナリオ『神と人と権利と』を達成しました》

《シナリオ達成ボーナスが与えられます》


 発生していたメインシナリオもこれで終了。恐らく名前から考えて、この村の権利などでいろんな陰謀がうごめくタイプのシナリオだったんだろうな。

 ここで終わったということは、フルールへのハニートラップはかなり有効に働いたということだろう。でなければもっとドロドロした醜い争いを繰り広げることになったのではないかと思う。

 俺も、前世の知識総動員であまり楽はできなかっただろうな。本当にハニトラを思いついて、というか知っていてよかった。つらい前世の記憶もいろいろと役に立つものだ。


 「おぉい!ヴェン!そろそろ戻るぞ!」


 「あっ、はい!分かりました‼」


 村の人から呼びかけられ、見送っていた場所から村へと戻っていく。

 そうして村に戻って始まるのは、いつも通りの日常。智龍ちゃんへスキルを使ったり供物として魔力をささげたり、村の手伝いをしたり子供たちの相手をしたり。

 双子の誕生日にレオが俺の教えた装飾品を渡した時なんかは大盛り上がりしたものだ。なにせ、


 「こ、婚約指輪かな!」


 「婚約指輪、ですよね?」


 「え?お、おう?」


 指輪を送ったら双子が勘違いした挙句その勢いに飲まれてレオがうかつにうなずいてしまったがために、正式(親同士のものではなく本人たちが同意した)な形での婚約も決まってしまったのだ。もちろんしまったと言う程悪いことはないのだが、本当はレオがもう少し成長して恋愛感情というのを正しく理解してからその感情に従わせて婚約は申し込ませてやりたかったんだよな。

 将来の円滑な関係構築のために。

 将来、そんなつもりじゃなかったなどとレオが言い出さないようにするため、俺も骨を折ることとなるのだった。



 「ヴェン!今日は冒険者ごっこやろうぜ!」


 「はいはい。誰がモンスター役やるんだい?」


 「ヴェンだ!」


 「………………扱いがひどいね、まったく。2人とは一緒に戦うようにしなよ?」


 「分かったぜ!2人は俺と一緒にパーティを組んで戦うんだ!」


 「「わぁい!もちろんです‼」」


 損な役回りだなんて思うときもあるが、それも別に悪くはない。スローライフ願望のある俺にとって、村が平和なのはいい事なのだから。このまま村長周辺と侯爵家周辺と智龍ちゃん周辺を固めておけば、俺の望みはかなうだろう。

 なんて思いながら過ごして約1年ほど経過してみると、


 「こ、侯爵様がいらっしゃったぞ!」


 「「「「え?また?」」」」


 また来るとは言っていた侯爵。それが、思っていた以上に早いタイミングでやってきたのだ。

 しかも予想外なことに、


 「この者達は私の連れだ。そこの数人で集まっているのが男爵。そこにいる数名が子爵。そしてそこの3人が伯爵になる」


 「み、皆さんお貴族様⁉」

 「「「「へ、へへぇ~」」」」


 なんかやけに今回は人を連れてるし戦争でも吹っ掛けに来たのかと思ったら、どうやらほかの貴族を集めて連れてきたようだった。

 20人近い貴族たちを前に、村人たちは平伏するしかない。

《メインシナリオ『入り乱れる思惑』が発生しました》

 俺も村人たちに合わせて頭を下げていると、なんかシナリオが発生した。貴族関連だからできれば関わりたくなかったというのに。

 名前も嫌な予感しかしないものだな。絶対陰謀とか諸々があるんだろ。


 「とりあえず彼らの案内を頼めるかね」


 「も、もちろんでございます‼」


 侯爵に促され、村長ら村の大人たちは貴族たちの案内や接待といったものに動く。見た限り俺のイメージする威張り散らして暴力をふるうタイプの貴族はいないようだ。

 侯爵から事前に何かしら言われているのかもしれないな。一応智龍ちゃんのいる土地ではあるし。

 なんて思っていると、その侯爵から、


 「ヴェン」


 呼び出された。村人たちの視線ががっつり俺に集まる。

 村人たちも多少俺が侯爵に覚えられているのは分かっていたようだが、さすがにここで呼び出される何かがあるほどだとは思っていなかったようだ。もちろん俺も思っていなかったぞ。


 「はい。何か御用でしょうか?」


 「うむ。貴様は前回のように子供たちと遊んでいろ。それぞれの家の者が見てはいるが、基本的な世話は貴様が行うように」


 「はっ。かしこまりました」


 子供たちの世話を俺に押し付けてきやがった。侯爵の視線の先に目を向けてみれば、子供たちの集団が見える。

 その中には、フルールやそれについて行った女子たちの姿も。

 恐らく周囲にいる子供たちは貴族の子供や、それに近しい者達といった高貴という名の面倒な奴らだろう。

 フルールは年齢の割に落ち着いていたし頭もよかったためどうにかなったが、典型的なわがままな貴族の子供は相手しきれんぞ。


 「では任せた」


 ただそんな俺の気持ちは無視して侯爵は去って行った。もしかしたら俺に前回良いようにやられたことの意趣返しかもしれんな。本当に面倒な奴だ。

 溜息を吐きそうになるのをこらえつつ、俺は例の集団に移動し、


 「皆様。それでは少し移動しましょうか」


 とりあえず張り付けたような笑みを浮かべて呼び掛けてみる。

 が、


 「おい!俺は疲れたぞ!」

 「トイレェェ!!!」

 「お前何?邪魔だよ」

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