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シナリオ22 子供達

 「おい!俺は疲れたぞ!」

 「トイレェェ!!!」

 「お前何?邪魔だよ」


 うぅん。予想通り面倒な集団だった。明らかに見下すような視線を向けてきているやつもいるし、これは俺だけで御しきるのは無理かもしれないな。

 ということで、こういう時に頼りになるのが、


 「ほ、ほら。皆さん落ち着いて。ここは智龍様のいらっしゃる村なんですから、我がままにしていると怒られますよ」


 フルールである。

 うん。さすがに侯爵家の人間なだけあって、全員を一瞬でだまらせたぞ。今の静かになりようから考えて、親たちからおそらくフルールには逆らわないよう厳しくしつけられているのだろう。

 とりあえず静かにはなったので、フルールに軽く頭を下げて感謝を示しつつ問題を片づけていく。


 「まず厠ですが………」


 トイレへ案内し、水を飲ませ、ゆっくり時間をかけて子供たちを誘導していく。

 そして待っている時間などに村の子たちにいろいろと指示を出し、


 「ほら。こうすればいいんだよ」

 「す、すげぇぇぇ!!!!」


 「これをこうするとこうなるんですよ」

 「ふぅ~ん………面白いですわね」


 貴族の子供1人につき、村の子供3~5人をあてて対応させる。ちなみに全員村の子で、落とせるように仕掛けはしてある。

 面倒極まりない奴らだがどうにかするためにもこうして接待させるのは大切だ。

 貴族たちは皆それぞれの村の子たちの相手に夢中になり、中にはすでにいい雰囲気になってデレデレし始めたやつまでいる。早いな。


 「ふぅ~。ひとまずはこんなものかな。後はほかの村の子たちに明日以降の準備をしてもらいつつ………」

 「すごいですね師匠!こんなに簡単に皆をなだめるなんて!」


 俺が一息ついているところで、フルールが女子を侍らせながら話しかけてくる。声も弾んでるし、尊敬のまなざしらしきものを俺に向けているな。

 今でこそどうにかなっているが、昔はこの子供たちを管理するのにも苦労したのだろう。


 「ハハハッ。まあ私の言うことを聞かせているわけではありませんからね。ただそれぞれ好きなことをしてもらっているというだけですし」


 「それでもこんなにできませんよ!やっぱり師匠はすごいですねぇ」


 居心地が悪くなるくらいキラキラしたまなざしで俺を見つめてくるフルール。その様子からは、彼の普段の苦労がうかがえた。もしかしたら先ほどは静まったが、普段は言うことを聞かない時もあるのかもしれない。

 あと、言うことは聞いてもいらんことをしたりとか………想像しただけで面倒くさくなってきた。こういうやつらの相手は接待役(本人たちには伝えてないけど)に任せておこう。

 俺は全体を見つつ、何か問題が起きそうなところがあったらカバーする感じだな。楽ではないが、直接的な接待よりはこっちの方が慣れてるし楽だ。


 「ヴェン!」


 「ん?レオ君、どうかしたのかい?」


 「準備の方はとりあえず俺たちで分かるところまで終わらせたぞ」


 「ああ。ありがとう。じゃあしばらくここを見てもらえるかい?何かあればすぐに呼びに来てほしいんだけど」


 「分かった良いぞ!ただ、2人も一緒にもいてもらっていいか?」


 「ああ。あの2人なら別に構わないよ」


 村の子たちの裏方作業が進んだようで、レオから呼ばれる。とりあえず監視員ポジションを任せて、俺は作業場へと向かった。


 「あっヴェン!見て見て!こんな感じなんだけど」


 「おぉ。良いね。じゃあこれから追加で………」


 着々と準備を進めていく。途中で何度か貴族の方に問題が起きて呼び出されたりもしつつ、どうにか全体の管理を終わらせた。

 そして夜。


 「いやぁ~。疲れましたね」


 「お疲れさまだヴェン。今日はマジで忙しかったからな」


 「確かにみんな忙しかったけど、ヴェンは1番疲れたんじゃねぇか?子供とはいえあれだけの人数を世話するのは大変だっただろ」


 「なまじ貴族様だから強く注意もできねぇしな。俺は絶対やりたくねぇ」


 大人たちに囲まれつつ、その日の愚痴を言いあう。

 大人たちは手に酒の入ったジョッキ。俺は水だ。大人たちは酒に酔って少し声が大きくなってしまっている気もするが、それでも貴族たちの方は貴族たちの方でうるさくなっているから聞こえているということはないだろう。

 会話の流れ的に今は俺が褒められる感じになっていて、


 「ハハハッ。やりたくなかったのは確かですけど、1番適任だったから仕方ないですよ。それに、貴族様の案内というのも大変だったでしょう?きっと監視とか警戒とかがかなり違ったと思うんですけど」


 「あぁ~。分かるか?実はそうなんだよな」

 「お貴族様たちの護衛はよぉ~………」


 すぐに他人をねぎらう話に方向性を変える。

 俺としては、侯爵含めた貴族たちやその護衛の話を聞きたいのだ。メインシナリオのタイトルも不穏だったし、少しでも情報が欲しいんだよな。

 だからこそおだてて、情報を引き出していく。


 「だから、できれば交易したいなんて言われちまってよぉ」


 「そうなんですか?でもそう言われても困りますよねぇ」


 「そうそう。そういう権利は俺にはねぇっていてどうにかその場はやり過ごしたけど、この後絶対村長とか大変だぞぉ」

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