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シナリオ19 連れていく

 「ヴェン君。女の子と仲良くする方法を教えてください!」


 「ああ。はい。微力ながらお手伝いをさせていただきます」


 「本当ですか!」


 「本当です。なのでまずは事情の説明をお願いできますか?」


 「は、はい。あの、実は………………」


 そこから語られるのは、俺の思い通りに動いてくれたフルールの心のうち。

 例の女子たちに心を奪われているらしく、もっと仲良くなりたいと考えているらしい。しかし、仲よくしようにも今までそんな方法を考えてこなかったし教わっても来なかったので分からないんだとか。

 まさに俺の計画通りの流れだな。しかもそれを俺に相談してくれるとはなお都合がいい。


 「ふむ。分かりました。ではここで1番大切なことをお伝えしましょう」


 「な、何でしょうか?」


 「それは簡単なことであり、非常に難しい事です」


 何かといえば、


 「あの子たちは数日共に過ごしたところで、少ししたらその記憶もあまり思い出されなくなります」


 「っ⁉」


 フルールは目を見開く。

 だが、悲しいことにそれが現実なのだ。子供の記憶というのはたいして残るものではなく、遊んだ記憶というのは若干あっても顔や声、話した内容なんかは数年すれば忘れてしまうのだ。

 そんなものなのだから当然、恋愛感情というのまで発展することはない。もしこの数日間でそこまで行けても、結局は忘れ去られてしまう可能性が大。


 「じゃ、じゃあ、仲良くなろうとすること自体が無駄ということですか?」


 不安そうに尋ねてくるフルール。

 今までの話をまとめると、達する結論はこうなってしまうかもしれない。フルールもほかの子供なら自分が質問の答えでないと怒るところだというのに、冷静に考えてきたな。

 確かにそれも間違いではないのだが、


 「そうですね。このままただ仲良くなった場合は無駄になります」


 「ただ仲良くなった場合は?ということは?」


 「ええ。そうでなければいいのです。例えば、この村を出ていくときに彼女たちも一緒についてきてもらう、とか」


 「「っ!」」


 息をのむフルール。そして、レオ。

 フルールはその手があったかという顔で、レオは今まで過ごしてきた仲間が消えてしまうことが受け入れられないという顔………ではないな。

 どちらかと言えばそれは暗い顔ではなく、


 「そ、そっか。どっか別のところに行くなら、ついてきてもらえばいいんだな!」


 何やら喜ぶような顔だった。あまりこの話題でレオが喜ぶ要素はないと思うのだが、不思議だな。

 もちろんもう1人の俺が喜ぶだろうと思っていたほうは予想の通り顔を輝かせていて、


 「で、でも、どうやってついてきてもらえばいいんですか?」


 「それは勿論、フルール様のお立場をお使いになればよろしいのですよ。村人の数人、つまり彼女たちの両親などを領地の方へ連れていかれても何も問題は起きないはずです」


 「な、なるほど!」


 仕事などは確実に必要になる。

 が、そこは親である侯爵に丸投げしてしまえばいいのだ。そこまで自分でやる必要はおそらくない。


 「あ、ありがとうございます。相談してみます」


 「ええ。そうしてみてください………あっ。後これから少しモノづくりの練習をするのですが、フルール様もご参加なされますか?彼女たちへのプレゼントなどをご自分で作られてみるというのも悪くないと思うのですが」


 「参加します!させてください‼」


 その後男3人で他の子たちに隠れながら木彫りの指輪づくりなんかを行なった。もちろん刃物なんかは危ないから、使うのは俺が最初から中をくりぬいたもので、あとはやすりで削ったり細かい装飾を施したり。

 途中でフルールには適度にその気になってる子たちと遊ばせたりもしたがな。プレゼント作りに夢中になって関係の発展がおろそかになっても困るのだ。

 まあ、そんな俺の苦労のおかげで、


 「フルール様!あっち行こ!」「今日の夜お泊りしようよ」「夜ご飯一緒に食べない?」


 「は、はい!もちろんです!」


 フルールと女子たちをセットで行動させることに成功した。フルールは俺ほどではないが大人びているので、ませたガキどもにとっては魅力的に映るらしい。

 小学校に来る教育実習生みたいなものだろうか?(多分違う)

 フルールは俺と違って可愛げもあるし、彼女たちに積極的に絡んでいこうとしている。自分たちがすべて負けているという認識にもならないのでちょうどいい関係なのだろう。


 「あっ。お父様。少しお話があるのですが」


 「何だ?向こうで聞こう」


 おっと。侯爵を見つけたフルールが俺の助言に従って話をしに行ったな。これはかなり高確率であの3人がこの村から出ていくことになるだろう。

 後は今のフルールがいないうちに3人へ、


 「少し良いかな?」


 「あっ。ヴェン。良いよ」「何~?」「どうかしたの?」


 今後貴族といろいろやりあうために最低限必要なことを教えておく。

 フルールの家でも教えてもらえるとは思うのだが、そこで教わるのはあくまでも貴族としての立ち振る舞い。平民上がりでやっていくためには、恨みや妬みを買わないために少し工夫が必要なのだ。

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