シナリオ18 プレゼント
「何かプレゼントとかあげようかなって思うんだけど、何あげればいいのかわかんなくて」
恋人への誕生日プレゼントの悩み。めちゃくちゃ初々しい感じの恋の相談が来た。
当然仲を取り持った身としては、責任取ってこういう相談などにも乗っていく所存だ。ここまでやったんだから後は自分たちで何とかしろ、なんていうのはさすがに言わない。
ただ、
「ふむ。レオ君からのプレゼントなら2人は何でも喜びそうだけどね。最悪その辺で虫捕まえてきても「2人のために捕まえたんだ」っていえばすごい喜びそうだし」
「そ、そうか?まあ、2人ともいっつも喜んでる気はするけど」
あの2人、つまりレオの許嫁である双子はチーレム物のハーレムメンバー並みにレオへの好感度が高い。何やっても「さすがですレオ様」略してさすレオ、もしくは黄色い歓声が飛ぶのだ。
何あげたって喜ぶだろうし、最悪何もあげずに祝いの言葉を述べるだけでも満足するのではないかと思うほどだ。
だが、逆に言うと、
「普段以上に喜ばせるというのが難しいのは分かるね?」
「ああ。分かる。でも!俺はやっぱり2人に喜んでほし「ちょっと待て声を張るな。2人聞こえるぞ」あっ。すまん」
声を張って宣言しそうになるレオの口を俺は慌ててふさぐ。自分から離れたところへ誘ったというのに、何と警戒心が足りていないことか。
それだけ思いは強いということなのだろうが、さすがにどうかと思うな。
「まあいいや。それじゃあ話の続きだけど、2人をより喜ばせるなら苦労をアピールするのが大事だと思うんだよね」
「苦労のアピール?」
「そう。要するに、2人のためにこんなに頑張ったんだよって分かりやすく示すってこと」
「はぁ?それ、何か意味あるのか?」
「あるんだよ。イメージしてご覧。例えば、ただ単純に「お土産」とだけ言われて物をもらうのと、「人気店のを朝から並んで買ったんだよ」って言われて渡されるの。どちらがうれしいか」
「あぁ~………………お土産ってだけ言われたらありがとうって軽く言って終わるけど、人気店って言われたらそれより喜んでもらうかもしれない」
「そうだよね?」
苦労のアピールというのはやりすぎると面倒な人になってしまうが、適度にやる分には相手を喜ばせるし自分も感謝される大事な材料となる。よくこの技術を使って取引先で点数稼ぎをしたものだ。
「でも、苦労って何すればいいんだ?」
「うぅん。そうだね。例えば、アクセサリーを自分で作ってみるとかは苦労が出てくると思うよ」
「おぉ。アクセサリーか、それいいな!」
「うん。それはよかったけど声量に気を付けて」
「あ、ああ。ごめん…………でも、俺にアクセサリーって作れるのか?」
時折気分が高ぶって声を張ってしまうレオをたしなめつつ、話し合っていく。どうやらレオは自分でアクセサリーを作れるものなのかどうかと不安になっているみたいだな。
無理だと思うならアクセサリー以外にしてもいいとは思うのだが、
「できるとは思うよ。必要なら手伝うけど?」
「本当か!?じゃあ頼む!!」
「良いけど、声」
「あっ。悪い」
とりあえずアクセサリーを作ってみるということで方向性は定まった。具体的にどういったものを作るのかということや、どれくらい練習時間が取れるのかといったことを確認して詰めていこうと考えているところで、
「あ、あのぉ~」
「「ん?」」
人が近づいてきているのは分かっていた。が、話しかけてくるのは予想外だったな。レオは話を聞かれてしまったのではないかと隣で分かりやすくうろたえている。
ただ、様子を見る限りたいして聞いてもいないようだし、こいつなら聞かれても問題はないはずだ。
なぜなら、
「どうかされましたか?フルール様」
すぐにこの村からはいなくなるであろうフルールなのだから。俺たちの話を誰かに言うほどのメリットなどを感じていないはずだ。
で、逆に考えるとそれに関してメリットがないはずのフルールが近づいてきた理由は気になるところではあるな。隅にいる俺たちが何を離しているのか気になったというだけなら簡単なのだが、
「あ、あの。お願いがあるんです!」
「「お願い?」」
予想外の言葉に俺とレオは目を合わせる。
そして、その先を促すように視線をフルールへと戻した。
「ぼ、僕に、どうやったら女の子と仲良くなれるのか教えてください!」
ある程度は周りに聞こえない程度に、それでいて強い気持ちがこもった程度には声を張って俺たちに頭が下げられる。
ここで恐れ多いとか言わなければならないところなのだが、
「え?あ、あの、俺に言われても困るんだけど」
レオはそんなことを言う。
まずは頭上げさせてからにしろとは思うのだが、気持ちは分からないでもないな。頭まで下げられて自分は何も持っていませんていうのは早い段階の方が心も楽だし。
あまり遅い段階で言うと、先に言っておけよとか言われそうだしな。フルールはさすがにそうは言わないかもしれないが。
どちらかといえば早いタイミングで言われて、
「え?あ、あの。2人の女の子と仲良くしてたように見えたんですけど」
「あ、ああ。うん。許嫁だからな、じゃなくて、ですから、な!でも、2人と仲が良いのは仲良くさせようとしてヴェンが頑張ってくれたおかげだし……」
「そうなんですか?」
俺に視線が向けられる。
レオもあの双子も、仲良くなれたのは俺のおかげという認識はあるんだよな。だけど俺を子供全員で囲んで倒そうとするという………感謝しているならもっと大切に扱ってほしい限りだ。
そんな俺の気持ちなどこの2人がくみ取ることなど当然なく、
「あ、あの!じゃあ、ヴェン君。女の子と仲良くする方法を教えてください!!」




