付与の失敗と成功
寒中見舞い 申し上げます
今年一回目の更新です。
今年もこんな感じですが、偶に覗いてみて下されば幸いです。
上手く材料が揃ってぬいぐるみが作れるようになったら、アンジェのような可愛くて生意気な感じが良い。作るためには、まず材料を集めなければならないが。
そして材料を集めるためには、武器と防具が必要だ。問題は、防具のイメージが掴めない事だが、洋服に付与が出来るなら、防具として使えるかもしれない。
そんな事を考えながら、テーブルに幾つかの洋服を並べた。
「まずは硬化ね」
デニムのスカートに、硬化魔法を付与してみた。その後触って見ると、なるほど硬化していてカチカチだ。
「ダメだこれ、もう洋服じゃないや」
「武器になりそうです」
「うん、人を殺せる硬さだね」
「人は殺しちゃダメです」
「大丈夫。本当に殺す訳じゃ無いからね」
魔物ですらも殺さないのが、アンジェ達の流儀だ。
他の天使にも、そういう所が有るようで、冗談でもそれに近い事を言うのを許さない所が有る。たとえ話も通じないから、時々苦笑いが出て来る。
「じゃあ、次は反発を付与してみよう」
「攻撃を弾き飛ばすです」
「そうそう、って、持ち主の手まで反発したら、やっぱり着れないじゃん」
持ち上げようとしても、触れる事すら出来ないなんて、反発の魔法強すぎ。
それから癒やしの魔法に、弾力、睡眠と思い付く限りの魔法を付与してみた。
けれどそのどれも上手く行かず、直ぐに亜美奈達は無口になった。
「そもそも、服に付与するのが間違えだったみたいだね」
「そのようです」
「逆に、服を付与してみたらどうだろう?」
「服を、です?」
「そう、服を」
もちろん、おかしな事を言ってるのは分かっているが、どうせ駄目ならお遊びでもして、笑って気分を変えたいのだ。
「服を、何に付与するです?」
「そうだなぁ…… 精霊石に付与して、武器か魔法の杖に着けるってどうだろう?」
思い付いた通りになれば、杖の起動に合わせて服が変わってくれる。はず。
なんて事になったら、アニメみたいで楽しそうだなぁ。と言う、亜美奈の妄想だ。
もちろん、本当に出来るなんて思って無いが、楽しい事がしたいのだ。失敗しても、笑える事がしたい。
「先ずコレっ。コレは炎系の精霊だったから、赤い服が良いな。ん~、とりあえず制服にしておこうかな」
制服の赤バージョンのレシピを作り、取り出した精霊石に付与してみた。
「どうです?」
「付与は上手く出来てるみたいだけど」
それがどういう効果になるかは、起動してみない事には分からない。もちろん鑑定もして見たが、『洋服のレシピが付与された精霊石』としか出ない。
良く考えてみれば、服と言うのは生地やボタンなどの小物を揃え、それを縫い上げて初めて服になる。レシピだけ付与しても、何も出来ないのでは無いだろうか。
「なんか、やらかしちゃったかも」
いやでも、失敗しても笑えるなら良いのだ。この付与は、気分転換のためにやったのだから。
「ま、良いや。取り敢えず魔法の杖に取り付けて、マジエスッ!!」
ちょっぴり格好付けてワードを叫んで見た亜美奈の姿が、フワリと柔らかな光に包まれ変化した。
「おおっ、着替えたですっ」
そう、着替えたのだ。精霊石に付与した服に、光に包まれた瞬間に、着替えた。
再び鑑定して見ると、服は魔力で出来ているようだった。
触って見ると、さっきまで着ていた服を感じる事は出来ない。つまり、完全に置き換えられていると言うことになる。
それは、かなり便利だ。何しろ、真冬にモコモコ着込んでも、杖を起動するたけで身軽に動けるようになるのだから。
「杖は、どこ行ったです?」
「無い、ね……」
これはつまり、杖を着ていると言う事になるのか?
手近な棚からブラウスを一枚取って、クリーニングの魔法を掛けてみた。すると、魔法は問題なく発動した。
「やっぱり、杖を纏っているんだね」
「杖を、ですか?」
「うん、だから杖が無くても魔法が使える。これなら、武器を両手に持ってても、魔法が使えるよね」
「それは便利です」
なぜだかバッグは隠れて無いから、荷物の出し入れも問題なく出来る。
自分の手を叩いたり抓ったりして見ると、痛みは感じなかった。試しに鉛筆の先で突いてみた所、小さな穴が開いたようだった。
更に爪切りで爪を切ったら、そこから光の粒子がわずかに噴出した。最後に思い切って包丁を持ち、スカートの上から太ももにゆっくりと突き立てた。
すると刃先が皮膚に当たった辺りで、着ていた服は光と共に弾け飛び、今居た所から一メートル程後退した辺りに移動していた。
つづく




