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空飛ぶ大きな

「そんな事より、コレ、住居部分は良いとして、操縦席はどこにする?」


 リエルが、船のイラストを指差し聞いて来た。


「操縦席は、その高くなっている所の輪が付いている所のつもり何だけど」

「寝てる間に雪降ったら、埋もれないか、これ」

「確かに」


 けれど、屋根を付けると漁船のように見えてしまう。

 以前見た映画に有った、海賊船のようにしたかったのだが。確かに雪が降ったら埋もれてしまう。本物の海賊船は、いったいどうやっていたのだろうか。 


「これって、どうやって飛ばすのかしら?」

「どうやって、って、魔法を付与するしか無いだろう?」

「それなら円盤なんてどうかしら?」

「桃子のチャームみたいな?」

「もしくは卵とか。ほら、アクセサリーで羽の付いた卵が有ったじゃない。下から見たら卵で」

「実際は上に平らな部分が有って、自由に使える。とか?」

「そうそうっ。チャームの着陸場所にもなるわ」

「バーベキューしたり、プールなんかも有ったら良いね」

「そうすると、開閉式の屋根が欲しいわね」


 盛り上がって出されたアイデアを元に、亜美奈がイラストを描いてみた。

 全体的には卵を寝かせた形で、尖った方に操縦席を設置。居住区は卵の下半分だ。

 桃子とあれこれアイデアを出し合いながら、居住区のイラストや設計図も描いていく。中身のモデルは、テレビで見た大型旅客船だ。パーティルームや おとぎ話のような大階段も描いてみた。


「この規模だと、建築班にも協力を要請するようだから、少し時間が掛かるかもしれないけど、構わないかな?」

「はい、もちろんです」

「じゃあ、何か聞きたい事が出来たら、または来るから」


 新しい乗り物作りに、リエルはワクワクしているようだ。

 扉を使っての移動のため落ちる心配は無かったが、代わりに開けずに扉を潜ろうとして、盛大にぶつかった。

 彼が作ったチャームが落ちたと言う話しは聞かないから、そっちの腕は良いのだろうが、やはりどこか抜けていると思う亜美奈だった。


「さて、ダンジョン攻略の準備しようか」


 と言っても、精霊騒ぎで時間を食ってしまったせいで、たいして時間が有る訳じゃ無い。亜美奈達に出来るのは、明日に向けての軽い打ち合わせぐらいだ。

 何しろこの後、精霊の鑑定と言う果てしなくも楽しい作業が待っているのだから。


「そうそう。さっきの大量の精霊石だけど、一気に袋に入れちゃダメだからね」

「まさか、一つ一つやれって言う事?」


 数日前までの桃子レベルなら、きっとそうなっていただろう。

 だが今は、病人の鑑定で鍛えられている。もちろんムチャはダメだが、状況しだいでは,それなりの数を見ることが出来るはず。


「例の部屋なら、十個ぐらいは大丈夫です」

「十個? あの量を十個ずつ……」

「それ以上は、さすがに無理です。頭がグルグルになるです」

「ああ~、なるよねえ……」


 かつての失敗を思い出し、遠い目をしてしまう亜美奈だった。

 鑑定が暴走すると、頭の中をかき混ぜられるようで、本当に気持ち悪いのだ。あの感覚は、忘れられない。


「大変だけど、鑑定のレベルも上がるし、新しいスキルも手に入るかもしれないよ」

「それで、また精霊に囲まれるのね?」


『レベルが上がるとまた精霊が集まって来る、そしてまた』と、桃子がそう思ってしまうのも当然だ。


「鑑定は『手』に含まれている能力だから、精霊は関係無いみたいだよ」


 亜美奈が、大量の精霊石を鑑定するのは二度目だが、前回鑑定しまくった後、精霊に囲まれる事は無かった。

 精霊の成長に関わるのは、魔法とスキルだと言う事だから、集まって来るレベル上げもやはり、魔法とスキルなのだろう。


「集中して何かを作った後、気を付けないといけないと言うことなのね」

「はい、そのようです」


 ノートの中に、必要な情報を見つけられたのか、アンジェもニッコリ頷いた。


「悪いんだけど、私、あの部屋に籠もっても良いかしら」

「もちろん。良いスキルや魔法、見つかると良いね」

「ありがとう。また夕食の時間にね」


 嬉しそうに後ろ手を振って、桃子が玄関を出て行く。もちろんホントに出て行った訳では無く、例の部屋に籠もったのだと分かっている。部屋に入るために使った適当な扉が、玄関だっただけだったと。

 それなのに城から出て行った所を見たせいなのか、不思議なほど寂しくなる。

 幸い、今は一人きりじゃ無い。役に立つかと言えば少々微妙では有るが、アンジェはそばにいて楽しい仲間で有ることは確かだ。


「亜美奈はこの後、何するです?」

「ん~、そうだなあ…… 魔法の杖の改良と、精霊が巣立った精霊石の使い方を探してみようかな」


 きれいな石だから、ただ飾りにしても良いだろうが、便利に使えるならそれに越したことは無い。

 付与も出来ると言っていたから、どんな魔法が付与出来るのかも試してみたい。


「付与。付与って、どんな物に出来るのかな」

「ソレは…… 書いて無いです」


 ペラペラとノートを捲ったアンジェは、残念そうに呟いた。

 どんな物に、何を付与出来る物なのか。実験するのは楽しそうだ。


「色々試してみようか?」

「やりたいですっ」

「巣立った精霊石はまだ少ししか無いから、後回しにして。まずは洋服に付与、次に武器に付与して見ようっ」


 二人揃って工房に向かう。後から付いて来るアンジェは、ちまちまチョコチョコしていて小動物のようでとても可愛い。







                      つづく 

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