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やっぱり、そうだったんだ~

「なんか、凄いです」

「うん、大きな傷が付く可能性が有ると判断した途端、その武器から離れた所に自動で移動してくれるみたいだね。ただ、変身魔法は解ける、と」


 これなら防具の代わりになる。魔法が解けるのがどの位の傷か判らないが、多少なら問題なく続行出来るようなのだから。


「後は……」


 他の三属性の精霊石にも服のレシピを付与し、杖にセットした。付与したレシピは、先程付与した制服の色違いだ。

 風は緑、土はオレンジ。そして水は薄い青にした。うまく出来たら制服では無くて、ゲームやアニメの少女戦士のような、ちょっと普段は着れない服にしようと思う亜美奈だった。

 けれどその前に、確認しなければならない事がある。


「ファイヤーエレメント・マジエスッ。何も無いみたいだ? 駄目になってすぐは、起動できないのかな?」


 鑑定してみれば火の精霊石は『魔力充填中』となっていた。


「じゃあ、次。ウインドエレメント・マジエスッ」


 ワードを唱えれば、無事緑色の制服に変身出来た。違う精霊石なら続けて起動出来るようだ。という事は、囲まれている時に解除になったら、すぐに違う精霊背石を起動すれば良いってことになる。


「凄いです。何時でも好きな服に着替え放題ですっ」

「本当だ、着替え放題だね」


 防具として考えている亜美奈と違い、アンジェは純粋に早着替えが楽しいようだ。

 天使は戦う事が無いのだろうから、そう考えるのも仕方ないだろう。もっとも亜美奈も、城の中のダンジョンに入らなければ、戦う事も無いだろうが。


 アンジェの分も、試しに付与してみれば、問題無く起動出来た。となれば、次は服のデザインだ。

 人に会わないダンジョンの中で使う物だから、アニメのような派手で可愛いデザインにしようと思っている。けれどアンジェは意外なほど派手好きで、更に上の派手さを求めるから困る。


「ここに、大きなリボンが欲しいです。後、小さなキラキラを一杯付けるです」

「いや、戦う時に着る服だからね」

「でも、キラキラでフワフワでヒラヒラが良いです」


 精霊石への付与は、レシピだけなので幾らでも宝石を散らす事が出来る。

 だからアンジェの希望通りに、思い切りキラキラにする事も可能だけれど、あまりにもヒラヒラ過ぎると、『戦う気無いだろう』と言いたくなるのだ。

 そんな訳なので、突然のメッセージは有り難いことこの上無かった。


「誰からです?」


 可愛いメロディを奏でたのは、バッグに付けてあった、メッセージボードだった。

 桃子が作ってくれたこのメッセージボードは、だだっ広く住人の少ないこの城の、呼び鈴代わりにもなっている。

 中にいる人間が帰る時は、どこからでも適当に扉を開けて出て行けるが、逆が出来るのはこの城の住人だけなのだ。

 その為この城を訪れる者がいるときは、先ずメッセージを送って来ることになっている。


「久我くんみたい。もう、入り口にいるって」

「それなら、私が行って来るです」


 久我の用事は、バッグの引っ越しだろう。結局バタバタして、久我はもちろん、誰一人としてバッグの引っ越しに取り掛かる事が出来なかったのだ。

 付与のせいで使えなくなった服を片付け、亜美奈も玄関の方へと足を向けた。

 そうして、亜美奈が工房を出た頃、ちょうど久我とアンジェが並んで亜美奈の方へと歩いて来るのが見えた。


「忙しいとこ悪い。桃子は?」


 そう言って久我は、キョロキョロと辺りを見回す。どうやら、桃子を探しているようだ。


「桃子なら、例の部屋に籠もってるよ」

「喧嘩でもしたのか?」


 心配そうに久我は、二階の方へと目をやる。

 そんなことをしても、例の部屋にいる桃子には伝わらないのに、それでも久我は何も無い空間を伺っていた。


「精霊の大量保護があってね、精霊石の鑑定をしてるんだ」

「もしかして、レベル一気に上げたとか?」

「うん、まあちょっとね」

「みんな、一度はやるよな」


 言いながら久我は、まだ辺りを見回している。どうしても、桃子が気になるようだ。


「なる程ねぇ。なんか良く来ると思ったら、桃子が目当てだったんだ」


 途端、久我の顔が真っ赤に染まった。これでもかと言うほど、赤々とだ。


「夕食は、一緒に食べる約束してるから、久我くんも食べて行けば?」


 恨めしく見て来る久我に提案する。


「大丈夫、本人には言わないから」

「絶対だぞ?」

「そういうのは、本人から伝えないと、後々響いて来るからね。私は言わないよ」


 ただし、態度から察せられるのは有るかもしれない。そうなった場合の責任は、亜美奈は取る気は無い。


「バッグが出来るの楽しみに待ってるから、今日はすぐ帰るよ」

「そっか、そうだよね」


 軽く返したとき、思い付いて魔法の杖を起動してみた。本当に、ただの思い付きだ。

 なのに久我は、信じられないほどの驚きを見せた。凍り付いたと、ハッキリ言える程の驚きだった。


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