Ⅰ第陸話【追憶】
ルミナスカーレッジ事務所_
キャットライトが来た日の夜の事。
「……ねぇ、霊唯」
実音が屋根にいた霊唯に話しかけた。
表情は真剣そうな感じがした。
「何?実音」
霊唯はその事には触れることなく、実音に要件を聞く。
「あの時なんて言ってたの」
「?あの時って?」
「昨日来たキャットライトの人達を見送った後、
何か言ってたでしょ?」
実音は鋭い視線で聞いた。
霊唯があの時呟くように言った『D6』
実音はそれの意味が聞きたかった。
だが…霊唯はこう答えた。
「……そのままやね」
「え?」
「そのままなんよ。ただそれだけ」
実音には理解ができなかった。
あれは日本語発音で『ゆめ』に似ていたが、
少し違った。
「どういう事?はぐらかさないで」
霊唯は時々回答をはぐらかす事がある。
話しのそらし方が上手いから、よく脱線する。
「はぐらかしてなんかないよ。意味はそのまま」
「………」
何回聞いても霊唯は同じ答だった。
「………そっか…」
実音は諦めたように溜息をついた。
「やっぱり、貴方は_」
「実音ー!アイスプラネットの方から通信ー!」
実音が何か言いかけた所で、
下から結が実音を呼んだ。
「…はーい。霊唯、またあとでね」
実音は屋根から飛び降りていった。
「………実音はやっぱり耳が良いな。迂闊に言わないようにしないと」
実音が去ったのを確認した霊唯が呟いた。
その表情にはいつもの光はない。
そして霊唯は神社の屋根から飛び降り、
闇の世界へ消えていった。
――――
次の日、無神社の裏道で三人が歩いていた。
そこに後ろから走ってきた翠翼が声をかけた。
「すみません。明日さん、春香さん、狐姫奈」
翠翼が話しかけたのは、メンバーの狐姫奈と、
ルミナスカーレッジの補佐でもあり、
狐姫奈の専属執事、専属メイドの双子。
ターコイズブルーの髪が特徴の時羽明日。
コーラルピンクの髪が特徴の時羽春香だ。
「どうかしましたか?池水さん」
春香が翠翼に要件を聞いた。
その表情はいつもと同じ無機質な表情で、
何を考えているかわからない。
「少し聞きたい事があるんです。
狐姫奈、少しどちらか借りていい?」
翠翼が真剣な表情で狐姫奈に聞いた。
「二人がいいならいいよ〜」
狐姫奈はいつもの調子ですぐ了承。
「私達は構いませんが、どちらかは残らなければ
なりません。」
明日が困ったような表情を浮かべながら言った。
「う〜ん…なら春香に残ってもらうよ」
「わかりました」
そう言って狐姫奈と春香は用事があった為、
去っていった。
―――
無神社に戻り、翠翼は話を切り出す。
「明日さんは塩苗家という貴族は聞いた事ありますか?」
翠翼が聞いたのは『塩苗家』という貴族。
「塩苗家…ですか?」
「はい。少し次の任務を先に聞いていたんですが、そこで少し調べると『塩苗家』という貴族に現在は辿り着きました」
翠翼は次の任務を少し聞いており、
少し先に調べていた。
そこで出てきた『塩苗家』という貴族について
聞きたかったのだ。
「知っています」
「できたら教えていただけませんか?」
翠翼は食い気味に聞く。
「………構いません。ですが、すぐ近くに本人がいらっしゃられますよ。その方から直接伺う方がよろしいのでは…」
明日がそう言いかけたが、翠翼は制止した。
「答えてくれないですよ。あの子は」
そう静かにそして強く言った。
表情は真剣そのものだ。
「……そうでしたね。わかりました」
明日もまた真剣に応えた。
「私の知ってる限りで構わないのであれば、お伝えしましょう」
「お願いします」
まだ朝だと言うのに空気は重く立ち込めていた。
今回使わせていただいた地は無神社です。
モチーフにした神社は愛媛県内のどこかにあります。(愛媛だけではありません)




